日曜日、娘が帰ってくる日。
今回は、第三者を介さず、直接夫から娘を引き取ることになっていました。
とはいっても、法律上、未だ私たちは100メートル以内に近づくことが出来ません。
夫が指定してきたのは家の近くの市の体育館。長い長い廊下の真ん中で夫と娘が待っていて、そこに私が来たら、娘を私のほうに歩かせる、というものでした。
夫と娘を見つけた瞬間、一瞬周りが凍り付きました。
恐怖じゃない、何だかよく分からない気持ち。
嬉しそうに走ってきた娘を抱きしめながら、夫に目をやると、彼は何度か振り返り、私たちが大丈夫か確認したあと、背を向けて片手を上げて去っていきました。
その姿が、頭から離れません。
胸のざわつきが収まりません。
ちょっと痩せた。
でも元気そうだった。
この気持ちはなんなのだろうか。
ああ、私はまだ彼を愛しているのだ。
あんなにお互いを傷つけて、もう元に戻れないことは自分が一番よくわかっているくせに。
すごく息苦しい。
いっそのこと早く彼に新しい恋人ができると楽になれるのに。
ずっと自分を忙しくすることで考えないようにしてきたのに。
彼の姿を少し見ただけで、こんなに心が乱れるなんて。
ダメだな、私。もっとしっかりしなくては。