今回は、ロボット・ビジネスについて考えていることをお話したいと思います。
「ロボット・ビジネス」と聞いて、すぐ「二足歩行のヒューマノイド・ロボット」を開発して販売しよう、と考えるのは早計です。(大変、魅力的ではありますが・・・)
現状では、技術的にも資本的にも、多額のコストが掛かります。また市場としても、人間が働く場合のコストに太刀打ちできません。
ちなみに、イベント用に貸し出されているロボットを見てみると、ホンダのASIMOは1日:200万円、産総研のHRP-2(プロメテ)は1年間の貸与契約額:4000万円となっています。(フェラーリが買えます。)
資本力のある大手企業や公的な研究機関であれば、コストを気にせずに開発に取り組むことが可能ですが、中小企業が取り組むには、あまりにもハードルが高すぎます。
「鉄腕アトムを作りたい!」という夢を多くの人たちが持っています。私もその一人です。
現在、産業用ロボットの生産で、日本が世界一の売上(約7000億円:平成17年度)を誇っていますが、その原動力は手塚治虫氏の「鉄腕アトム」の影響が大きいことは間違いありません。
しかし、鉄腕アトムのようなヒューマノイド・ロボットがモチベーションになっている企業家には、それ以外はロボット・ビジネスに見えなくなっています。
これを『アトムの呪縛』と呼び、多くの企業家や企業が事業に失敗しています。
特に、技術者に多く、「ロボットを作りました。これはすばらしいロボットです。だから売れるはずです。さあ売り方を考えてください。」
アントレプレナーに言わせると、このタイプが一番厄介だそうです。
「ロボット」を「インターネット・システム」や「発明品」と置き換えると、理解できると思います。
市場のニーズを無視した製品やシステムは、消費者には受け入れがたいものなのです。
「ビジネス」は「ビジネス」であり、それ自体に価値があり、利益を生まなければ事業としてなりたちません。
インターネットやロボットなどの高度な技術を使わなくても、ビジネスとして成り立ち、そのビジネスを行う上で必要なプロセスの一部を、インターネットやロボットのテクノロジーを使うことによって、効率化や差別化を図る。
これが、基本的な取り組み方であると考えています。
現在「次世代ロボット」について、取り組んでいますが、ここで注目されているのは、「人間とロボットが相互依存しながら仕事を進める。」形態です。
ヒューマノイド・ロボットにすべての仕事をさせるのではなく、ロボットにしてもらう仕事と人間がすべき仕事の役割を分担して、その相乗効果により、すべての作業を人間が行う場合よりも、高品質で低コストのサービスを提供する。
この取り組みによって、新しいビジネスの市場が創造できるものと考えています。
「鉄腕アトムを作りたい!」というのは、私の夢ではありますが、この夢の実現に着手するのは、もう少し「時を待つ」必要がある、と思っています。