昨日の朝起きていちばん、

「あー、いい天気だなー。
どっかお出掛けしよう」

と、思って相棒は、ふらりと家を出たそうな。


とはいえ、世の中はGW真っ只なか。

サラリー業はお休み満喫中、
サービス業はお仕事爆進中。


どこもかしこも混んでるんである。


ちょいとした観光地に行くための列車の指定席なんぞ、当日の朝に買おうと思っても、そうそう空きはない。

案の定、窓口のお姉さんに

「○○○○行きは満席ですね・・・。申し訳ありません」

「うーん。鎌倉にでも行くか・・・」

鎌倉は、彼女の家からなら、ローカル線を乗り継げば行ける、お手軽観光スポット。
わざわざGWに出掛けなくとも・・・という場所だ。
せっかくの連休にそこを選ばなくても・・・って感じである。
とはいえ、遠出しようにも足が無いのじゃあ動くに動けぬ。

うーぬ。



まあ。
せっかく家を出たんだし。
いい天気なんだし。

すごすご家にUターンするのは、残念すぎる。
そして、したくない。(←ここらへん、書き手の気持ちが流入しております)

じゃあ、まあ遠出じゃなくても。
と、諦めかけた。
その時。


「あ!いま、キャンセルでひと席空きが出ました!😊」

「😳💖!」

「帰りの列車もひと席空きが出ました😊」

なんと、目の前でたったひと席、キャンセルが入ったというのだ。


なんというタイミング。
なんというラッキー。

こういうのを、神の計らいと言うのだろうか。
あ、采配だっけか?


こうして、彼女は朝の思い付きから、○○○○への小旅行に出掛けたんである。

そして、混雑のなかを、お目当の神社の奥宮にもお詣りし、さて、お腹を満たそうかと一軒のお蕎麦屋さんに並んだらしい。

GWのお昼時。
結構な列を並んで、いよいよ自分の番という段になって。

「え?お一人様ですか?」

「はい」

「えー・・・お一人様だと、席がですね・・・(めっちゃ迷惑そう)」

よく分からない言い訳をもごもごさせながら、嫌な顔をされた(らしい)。



・・・・それは、どうなの?

最初から一人の客が嫌なら。
迷惑なら。
店頭に「お一人様お断り」とか、書いとけばいいじゃん!

・・・と、思うが、相手に譲る気配はない。

こっちはこっちで、いい加減列に並んで待った上に、この対応されたら、文句を言うエネルギーもなくなるってもんである。
私なら、不愉快を声に出すぐらいしたかもしれないが、相棒は、腹に持ちつつもその店を見限って離れたらしい。

ああ、腹がたつ。(繰り返すが、ひどい目にあってるのは相棒であって私ではない)

しかし、この辺りの飲食店がみんなこんな体制だったら、お昼どうしよう・・・と思いながら次の店の暖簾をくぐった時。

やはりひとり旅の品の良い女性が

「ご一緒にどうぞ(^ ^)」

と、相席を申し出てくれたそうな。


捨てる神あれば、拾う神あり。


最初の蕎麦屋が、クソ腹立たしい(おっと口がお悪い)イヤな対応をしなければ、その女性の優しさには出会えなかったわけで。


物事は、たった一つの道のりではないということである。
そして、それは人には計り知れない。


お陰でお腹を満たすことのできた相棒は、その後、温泉も堪能し。
夜の9時まで指定席は満席という状況で、目の前で出たキャンセル席にゆったり座って帰ってきたそうな。

キャンセルしてくれた人、ありがとう。
相席してくれた優しいマダム、ありがとう。

めでたし。
めでたし。


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・・・・なんだが。


おまけに、自分の体験したことじゃないんだが。



やっぱり、納得いかん。

○○○○の蕎麦屋。

大人気なく暖簾の端なりとも写メを上げたいくらいである。

(いや、そんな写真はないが)



もしくは、店名を載せたいくらいである。


(相棒は店名も覚えてないらしい)


せめて、どの辺りの蕎麦屋か特定したいくらいである。


(どのへんかも、覚えてないらしい)






・・・・運のいいヤツめ。



もし、今度相棒と一緒にその観光地へ出掛けたら、その店に入って「この間立ち寄った時にね」とチクリと言ってやろう。
相棒にそう言ったら。


「その時には、その店ないんじゃない?」




・・・・出掛けようと決めて、目の前でキャンセルを捻り出した相棒の一言は深いんである。



私がその蕎麦屋にお目にかかることはないかもしれない(笑)


蕎麦騒動は、どうやら、これで終息になりそうである。