経済産業省は16日、節電対策を議論する有識者による検証委員会を開き、沖縄電力を除く大手電力9社の今夏の電力需給見通しを示した。火力発電の活用や節電の定着などで、8月の需要に対する供給余力を示す「予備率」が、9社すべてで安定供給に最低限必要な3%を確保できる。このため政府と各電力は3年連続で、今夏の節電要請に数値目標を設定しない方向だ。
ただ、原発比率の高い関西電力と九州電力の8月の予備率はそれぞれ3・0%と綱渡りの状況だ。「原発ゼロ」が続くなか、火力発電にトラブルが生じれば供給力不足に陥りかねない。
他社からの電力融通がなかった場合の予備率は、関電が0・8%、九電がマイナス2・3%。それぞれ中部電力と中国電力から電力融通を受け、予備率3・0%をかろうじて確保する。九電は川内原発(鹿児島県)1基が稼働した場合、8月の予備率は5・1%に拡大する見通しだ。
8月の9電力平均の予備率は7・0%。地域別に見ると、北海道、東北、東京電力など東日本は比較的余裕がある。
同日の委員会では東日本と西日本の間の送電能力を2020年代後半までに、現在の120万キロワットから300万キロワットに増やす方向が改めて示された。
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