NATURAL
by成田美名子



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成田美名子さんは一世風靡したサイファの方が有名ですが、あえて
ナチュラルに触れたいと思います。


文化人類学者のお父さんがペルーからいきなり9歳の子供を迎え入れて、
両親と養子ミゲールと四人で暮らすことになったリコ。

ペルーとの違いに最初は戸惑いながらも、バスケと弓道を通じてリコや周囲の人間と共に成長していくミゲールを描いています。



ミカエルという名の天使がいますが
こちらは人名にも使われ、

ミゲールとはスペイン語圏の読み方であって、英語圏ではマイケル、ドイツではミハエル、フランスではミシェルです。


そして、ミゲールが養子に入った先の名字は 山王丸。

山王とは山の神を表し、丸とは童名を表すそうで、

偶然にもミゲールは、西洋と東洋、両方の神の子の名前を持つわけです。




ミカエルには子供の頃にペルーに置いてきた 「過去 」 があり、
成長していくに連れ、それと対峙しなければならなくなっていきます。


ミゲールだけでなく、リコや周囲の人間もそれぞれに抱えている 「何か」 があり、各々の葛藤やそれに当てる光 がテーマではないかと思われます。





ミゲールが抱える闇の部分、
リコの言葉を借りると

人は左右に守護天使がいて、
右にいる天使は人を善に導き、
左にいる天使は悪に向かわせる

そうです。


そしてミゲールは、左側の天使を怖れていると。





なぜ天使なのに悪に向かわせるのかということは私にはさっぱり分かりませんが、久しぶりに再読して感じたことは、左側はエゴと置き換えることができるのではないかなあと。




ミゲールと形は変わっても自分の中にもある怒りや怖れ 。

耳を貸しているうちに自分がよく分からなくなってきて、本質どころか自分が何を望んでいるのかすら分からなくなってくるエゴ。


それは一体どこからくるもので、
不安や怖れの原因とは何か。


ちょっとこの漫画から話がずれた感がありますが、心当たりのある方は、光を当てるきっかけになるかもしれません。


これはぜひ、ぶつ切りではなく続けて全巻読んでいただきたいです。
なぜかぶつ切りですと、面白さ半減のような気が。




ここ3年ばかり目を通していないのですが、今日仕事中に突然リコの



「全方位から光を当てるとかえって物事が見えない」

というセリフが浮かんできました。




これだけ聞いても読んでいない方には全く意味が分からないかと思いますが、なんだか急にこのことを書かなきゃいけない気になりました。
はて。




それに気を取られていたら、
書類の日付は今度は10月と記入されていました。



先週に引き続き、ここまでくると
本当に自分は仕事をしているのかも疑われます・・・汗