「マクビテクス様、いかがでございました?」

「ふんっ。オルグなど何もわかっておらん。ルゥ-シュの事はこちらの思いどおりよ。」

「おおっ。さすがマクビテクス様のおっしゃるとおりでしたか。」

「あのような愚かな王ではビスクールはいずれ滅する。私がいくら進言してもその意味すらわからぬのでは何の役にも立たぬ。」

「まことに。マクビテクス様がいらっしゃらなくては、我らは滅びの道を辿ることになりましょう。」

「カィーア、ルゥ-シュの様子はどうだ?」

「はっ、それが・・・」

「ここ1時間ほど、連絡が途絶えております。」

「なんだと!それで?」

「は?それでと申されますと・・・」

「それからお前は何をしていた?」

「はあ。マクビテクス様にご報告申し上げてからと思いまして。お探ししましたがお姿が見当たらず、やっと王様からのお召しだとわかりましたのでお部屋の前で待機しておりました。」

「ばか者め。何もしておらぬと言うのか?」

「はい。申し訳のないことで。」

「お前はおのれの裁量で動けぬのか!」

「申し訳ございません。やはりマクビテクス様のご指示をいただかなくては。」
「そんな大事な事を何時間も寝かせておいたのか?」

「申し訳ございません。」

こういう時自分で動けば、後で必ず叱責されるのは今までの経験でよくわかっていた。

仕える身というのはうまく動かねばならない。
特にマクビテクスのように、冷酷な上司のもとでは細心の注意が必要だった。
とにかく謝っておくのが一番だった。

マクビテクスが雪を黒いと言えば、真っ白な雪も真っ黒になる。
まあ、ここビスクールでは白い雪は降らなかったが。

マクビテクスに叱責を受けたとしても、多少気分が悪くなるだけだ。
もし意にそむく事をしてしまえば、カイ-アの命が終わる事になるのだ。

少し抜けているぐらいが長続きする事をカイ-アは今までの人生でよくわかっていた。
22歳のカイ-アは小心で、ずる賢い男だった。


二人はマクビテクスの部屋に戻った。

「ルゥ-シュを呼べ。」

「はっ。」

カイ-アは何度かルゥ-シュを呼んでみたが、やはりルゥ-シュからの応答はなかった。

「やはりルゥ-シュ様には連絡出来ません。」

「ふん。ルゥ-シュは何をしているのだ?」

「さあ。私には・・・」

「ルゥ-シュには例のものがつけてある。ルゥ-シュの居所を探れ。」

「やはりルゥ-シュ様にもつけておられたのですか?」

「当然だ。オルグ様は知らぬがな。オルグ様はルゥ-シュ様の事は捨て駒にしか思っておられぬからな。いや捨て駒ならまだいい。ことが成功すればルゥ-シュ様は邪魔になるだけ。国内にいるルウ-シュ様を指導者に望んでいる連中が動く前に処分するおつもりだ。」

「それではマクビテクス様はルゥ-シュ様の失敗をお望みで?」

「ばかを言うな。ルゥ-シュさ・まには今度の任務は必ず成功させていただく。その上でルゥ-シュ様を王に奉り上げる。ただルゥ-シュには私の思うままに動いていただくがな。ふっふっ。」

「さすがでございますな。いよいよマクビテクス様の御代がやってくるのでございますね。」

「オルグの思うままに動くのももうわずかだ。軍も既に司令官を始め主だったものは私の意のまま。だが今度の件をルゥ-シュに成し遂げてもらわねばならぬ。オルグ王はわかっておらぬ。意外に今度の作戦は難しい。ルゥ-シュでなければ成し遂げられない。タイートとユークを操るにはルゥ-シュが必要なのだ。」

「はあ。しかしタイートとユークはそんなに重要なのですか?」

「タイートは優秀な若者だ。それにもましてユーク。全ての鍵はユークが握っている。」

「ユークが・・・」

「そうだ。ユークを我々の手で抑えねばならぬ。それがちと厄介だが。」

「ユークは一体何者なのです?」

「ユークはある力を持っている。そのうちにお前もわかるだろう。それにはルゥ-シュだ。探せ。」

「はっ。」



                 つづく