疲れて来たウ-サナは、肩で息をするようになっていた。
そこへ何度目かのユークの突きが、ウ-サナのみぞ落ちを捉えた。
それまではなんとかかわしていたがウ-サナも力尽きたのだろう。
まともに突きをくらって2,3歩後退し止まったが、足元がふらついた。
そこへユークがとどめの蹴りを入れた。
ウ-サナもついにひざまずくように崩れた。
「う、ううう。」
ユークの肩もあえいでいた。
美しい顔には、大粒の汗が無数に浮かんでいた。
その間にタイートの方もュグーニラにとどめの一撃を放とうとしていた。
身体が浮かぶと同時にくるりと回転し、ュグーニラは仰向けに倒れた。
ユークとタイートがホッとしていた時、ビスクールの車のドアが開いた。
そして一人の少女が降りて来た。
サングラスをゆっくりとはずしたその顔は・・・
「ルゥ-・・・」
ビスクールの戦士を見たタイートは、呆然とつぶやいた。
愛しくて何にも代えがたい大切な人。
探し求めた人が目の前にいた。
しかしその大切な人は、今はタイートたちの前に敵となって現われた。
そしてすぐ横にやはり立ちすくむユークもまたその名を口にした。
「ルゥ-シュ・・・」
しかしその言葉はタイートの耳に届いたかどうか・・・
タイートもユークも心の底では、ルゥーシュの身を心配していたが今がその時だとは思っていなかった。
突然やって来た再会は想像もしていない形で訪れた。
やがて氷が少しずつ溶け、カタっという音が響くように、タイートが静かに一歩足を前に出した。
そのザクっという足音が呪縛を解くように、周りの風景が動こうとしていた。
そして二人の戦士に見つめられたルゥ-シュは不思議な気分だった。
敵のはずのエルンゼの戦士が、二人とも自分を愛しい者を見るような瞳で見つめていたからだった。
-なに?なぜそんな目で私を見るの?-
ルゥ-シュもまたユークとタイートと同じく混乱していた。
エルンゼの戦士は敵なのだ。
少なくとも今のルゥ-シュには見覚えがなかった。
だが・・・
ルゥ-シュの心の奥の底に何かがあった。
知らないはずの二人を前にして、懐かしく甘い思いがかすかに浮かんできた。
しかしルゥ-シュはその思いに気付く前に使命を、野心を思い出していた。
ルゥ-シュが再びエルンゼの戦士に意識を移した。
その時タイートが一歩踏み出したのだった。
だがそれは闘うためではなかった。
愛しい人を前にしておもわず踏み出した一歩だった。
なぜ自分の前から姿を消したのか?
今も尚自分を愛してくれるのか?
タイートはルゥ-シュに確認したかった。
だがルゥ-シュにはそれがわからなかった。
当然だったろう。
ルゥ-シュは何も知らなかった。
・・・いや覚えていなかった。
ぎこちなく動くタイートを見ていたルゥ-シュは、身構えた。
それは優秀な戦士の姿だった。
つづく
そこへ何度目かのユークの突きが、ウ-サナのみぞ落ちを捉えた。
それまではなんとかかわしていたがウ-サナも力尽きたのだろう。
まともに突きをくらって2,3歩後退し止まったが、足元がふらついた。
そこへユークがとどめの蹴りを入れた。
ウ-サナもついにひざまずくように崩れた。
「う、ううう。」
ユークの肩もあえいでいた。
美しい顔には、大粒の汗が無数に浮かんでいた。
その間にタイートの方もュグーニラにとどめの一撃を放とうとしていた。
身体が浮かぶと同時にくるりと回転し、ュグーニラは仰向けに倒れた。
ユークとタイートがホッとしていた時、ビスクールの車のドアが開いた。
そして一人の少女が降りて来た。
サングラスをゆっくりとはずしたその顔は・・・
「ルゥ-・・・」
ビスクールの戦士を見たタイートは、呆然とつぶやいた。
愛しくて何にも代えがたい大切な人。
探し求めた人が目の前にいた。
しかしその大切な人は、今はタイートたちの前に敵となって現われた。
そしてすぐ横にやはり立ちすくむユークもまたその名を口にした。
「ルゥ-シュ・・・」
しかしその言葉はタイートの耳に届いたかどうか・・・
タイートもユークも心の底では、ルゥーシュの身を心配していたが今がその時だとは思っていなかった。
突然やって来た再会は想像もしていない形で訪れた。
やがて氷が少しずつ溶け、カタっという音が響くように、タイートが静かに一歩足を前に出した。
そのザクっという足音が呪縛を解くように、周りの風景が動こうとしていた。
そして二人の戦士に見つめられたルゥ-シュは不思議な気分だった。
敵のはずのエルンゼの戦士が、二人とも自分を愛しい者を見るような瞳で見つめていたからだった。
-なに?なぜそんな目で私を見るの?-
ルゥ-シュもまたユークとタイートと同じく混乱していた。
エルンゼの戦士は敵なのだ。
少なくとも今のルゥ-シュには見覚えがなかった。
だが・・・
ルゥ-シュの心の奥の底に何かがあった。
知らないはずの二人を前にして、懐かしく甘い思いがかすかに浮かんできた。
しかしルゥ-シュはその思いに気付く前に使命を、野心を思い出していた。
ルゥ-シュが再びエルンゼの戦士に意識を移した。
その時タイートが一歩踏み出したのだった。
だがそれは闘うためではなかった。
愛しい人を前にしておもわず踏み出した一歩だった。
なぜ自分の前から姿を消したのか?
今も尚自分を愛してくれるのか?
タイートはルゥ-シュに確認したかった。
だがルゥ-シュにはそれがわからなかった。
当然だったろう。
ルゥ-シュは何も知らなかった。
・・・いや覚えていなかった。
ぎこちなく動くタイートを見ていたルゥ-シュは、身構えた。
それは優秀な戦士の姿だった。
つづく