捜し求めるルゥ-シュが自分達のすぐ近くにいることを知らないタイートとユークは一路東京に向かって車を走らせていた。
「おい。」
「何よ。」
「後ろの車、ちょっとおかしくないか?」
「あら、今頃気付いたの?」
「今頃ってしってたのか?」
「当たり前じゃない。」
「どうするんだ?」
「まあ見てなさい。」
そう言うとユークはアクセルを踏み込んだ。
スピードを上げた車は振動しながら進んで行った。
当然後ろの車も同じようについてくる。
ユークはさらにスピードを上げて振り切ろうとしたが、ビスクールの車も必死なのだろう。
ぴたりとついて来る。
ビスクールもやはりウ-サナが運転している。
そして助手席にはュグーニラが揺れる車の中でウ-サナに何か言っている。
そして時折後部座席を振りかえっていた。
後部座席にはもう一人いた。
サングラスをかけたその人影は、座席にゆったりと座り前方を走るタイートたちを見据えていた。
しかしタイートとユークからは人影しか見えなかった
ウ-サナもユークも運転の腕は超一流だった。
ユークはビスクールの車を引き離そうと必死になってハンドルを右に左に操っていた。
しかしビスクールの車は執拗に追い続けた。
「しようがないわね。片付けるしかないようね。」
信号の手前で右手に別れている道があった。
するとユークは猛然と脇道に入って行った。
しばらく行くと道は広い空き地のような草の生えた場所で行き止まりになった。
ユークは車を止めた。
ビスクールの車も少し手前で停まった。
ユークはニングに言った。
「ここで待ってて。すぐに片付けるわ。」
「大丈夫なの?」
「もちろん。私もだけど、タイートはとっても強いのよ。心配しないで。」
「そうなの?」
ニングはそう言うとタイートを見直したような眼で見た。
タイートもさすがにこの場では張りきらざるを得ない。
「任せとけよ。ちょちょっとやってくるよ。」
そう言ってユークとタイートは車を降りた。
ビスクールの車から、ウ-サナとュグーニラも降りてきた。
「手間をかけさせてくれたわね。」
ウ-サナがその大きな瞳で睨みつけるように言った。
「それはお互い様ね。」
ユークもウ-サナに負けずに返した。
ユークとウ-サナの間には見えない火花が散っていた。
ュグーニラはそんな二人の様子を窺いながらもじりじりとしている。
ウ-サナの大きな瞳は鋭い光を帯びていた。
ユークを睨みつけたまま、ウ-サナはュグーニラに向かって眼配せをした。
「もういいわ。余計な時間をかけたくないわ。」
何秒か睨み合いが続いた後、ウ-サナの方が先に切れてしまった。
ュグーニラは待ってましたとばかりに身構えた。
タイートも負けずに戦闘態勢をとった。
「お前なんかあっという間に片付けてやる。」
言ったかと思う間もなくュグーニラはタイートに向かって拳を突き出した。
タイートはュグーニラの突きを軽くかわすと、飛び上がり回し蹴りで応戦した。
身体を回転させながら繰り出した左足はュグーニラにかわされたが、すぐに右足がュグーニラの顔面を捉えた。
ュグーニラは後ろにのけぞりながらも1,2歩退いただけで再び身構えた。
「子供みたいな顔をしているわりには出来るじゃないか。」
そう言うュグーニラもまた少年だった。
少年と少年との闘いだった。
そしてやはりすぐ横で睨みあっているのもまた、同じ年頃の少女二人だった。
タイートとュグーニラの動きを眼の端に捉えながら、ユークとウ-サナも戦闘態勢にあった。
二人とも少年たちに劣らない激しい闘いをしていた。
細く長い手足からいくつもの突きや蹴りが少女に向かって放たれ、相手の少女もまた軽やかな動きで攻撃をかわしていた。
その動きは流れるように美しく、まるで舞を見ているかのようだった。
しかしやがてその闘いにも決着がついた。
つづく
「おい。」
「何よ。」
「後ろの車、ちょっとおかしくないか?」
「あら、今頃気付いたの?」
「今頃ってしってたのか?」
「当たり前じゃない。」
「どうするんだ?」
「まあ見てなさい。」
そう言うとユークはアクセルを踏み込んだ。
スピードを上げた車は振動しながら進んで行った。
当然後ろの車も同じようについてくる。
ユークはさらにスピードを上げて振り切ろうとしたが、ビスクールの車も必死なのだろう。
ぴたりとついて来る。
ビスクールもやはりウ-サナが運転している。
そして助手席にはュグーニラが揺れる車の中でウ-サナに何か言っている。
そして時折後部座席を振りかえっていた。
後部座席にはもう一人いた。
サングラスをかけたその人影は、座席にゆったりと座り前方を走るタイートたちを見据えていた。
しかしタイートとユークからは人影しか見えなかった
ウ-サナもユークも運転の腕は超一流だった。
ユークはビスクールの車を引き離そうと必死になってハンドルを右に左に操っていた。
しかしビスクールの車は執拗に追い続けた。
「しようがないわね。片付けるしかないようね。」
信号の手前で右手に別れている道があった。
するとユークは猛然と脇道に入って行った。
しばらく行くと道は広い空き地のような草の生えた場所で行き止まりになった。
ユークは車を止めた。
ビスクールの車も少し手前で停まった。
ユークはニングに言った。
「ここで待ってて。すぐに片付けるわ。」
「大丈夫なの?」
「もちろん。私もだけど、タイートはとっても強いのよ。心配しないで。」
「そうなの?」
ニングはそう言うとタイートを見直したような眼で見た。
タイートもさすがにこの場では張りきらざるを得ない。
「任せとけよ。ちょちょっとやってくるよ。」
そう言ってユークとタイートは車を降りた。
ビスクールの車から、ウ-サナとュグーニラも降りてきた。
「手間をかけさせてくれたわね。」
ウ-サナがその大きな瞳で睨みつけるように言った。
「それはお互い様ね。」
ユークもウ-サナに負けずに返した。
ユークとウ-サナの間には見えない火花が散っていた。
ュグーニラはそんな二人の様子を窺いながらもじりじりとしている。
ウ-サナの大きな瞳は鋭い光を帯びていた。
ユークを睨みつけたまま、ウ-サナはュグーニラに向かって眼配せをした。
「もういいわ。余計な時間をかけたくないわ。」
何秒か睨み合いが続いた後、ウ-サナの方が先に切れてしまった。
ュグーニラは待ってましたとばかりに身構えた。
タイートも負けずに戦闘態勢をとった。
「お前なんかあっという間に片付けてやる。」
言ったかと思う間もなくュグーニラはタイートに向かって拳を突き出した。
タイートはュグーニラの突きを軽くかわすと、飛び上がり回し蹴りで応戦した。
身体を回転させながら繰り出した左足はュグーニラにかわされたが、すぐに右足がュグーニラの顔面を捉えた。
ュグーニラは後ろにのけぞりながらも1,2歩退いただけで再び身構えた。
「子供みたいな顔をしているわりには出来るじゃないか。」
そう言うュグーニラもまた少年だった。
少年と少年との闘いだった。
そしてやはりすぐ横で睨みあっているのもまた、同じ年頃の少女二人だった。
タイートとュグーニラの動きを眼の端に捉えながら、ユークとウ-サナも戦闘態勢にあった。
二人とも少年たちに劣らない激しい闘いをしていた。
細く長い手足からいくつもの突きや蹴りが少女に向かって放たれ、相手の少女もまた軽やかな動きで攻撃をかわしていた。
その動きは流れるように美しく、まるで舞を見ているかのようだった。
しかしやがてその闘いにも決着がついた。
つづく