それから二度と両親には会っていない。
風の噂では二人とも亡くなったようだ。
結局母は、父にひどい目に合わされながらも父が病気で倒れるまで耐えつづけ、病気になってからは看病を続け父が死んでからもあの村を出る事も無く淋しく死んで行ったという。
両親の最後を聞かされた後もマクビテクスは故郷には帰らなかった。
運良くマクビテクスはビスクールの王族の一人と知り会った。
その伝を使い王族の一人に苦労して取り入り、王に仕えるようになった。
その後、今の地位まで登りつめた。
登りつめるためには手段を選ばなかった。
あらゆる手を使って、他の者を蹴落として来た。
謀略を駆使し、失脚はもちろんのことその命さえ奪ってきた。
マクビテクスの手は真っ赤な血に染まっていた。
腹の中はどす黒い澱のような物でいっぱいだった。
しかしマクビテクスは人生を後悔した事はない。
この道しか自分にはなかったと思っている。
兄とはぐれた幼い少年には、人の先を行く頭脳だけが頼りだった。
マクビテクスが唯一感傷を感ずるのは兄だけであった。
ビスクールは二人の少年が暮らしていくには住みにくい町だった。
階級が厳しく決められており、二人だけでは故郷にいた頃と変わらぬ生活を送るしかなかった。
そのために二人は当時まだ基礎の固まっていないビスクールを目指した。
ビスクール最大の町、タンドに兄弟二人で足を踏み入れた日、マクビテクスはその町の巨大さに驚いた。
町並みを美しい服装の人もいれば、貧しい服装の人々も。
大勢の人たちが通りすぎる。
ビスクールはこれから発展する国だった。
そしてここなら二人の生きる場所を見つけられると思った。
マクビテクスはしばし呆然と人波を眺めていた。
ぼーっと見ていたマクビテクスは後ろから押され、いつの間にか人混みに巻き込まれてしまった。
やっと人混みから逃れ兄を探したが、兄の姿はどこにもなかった。
必死で兄の姿を探し続けたが何日経っても兄の姿を見つける事は出来なかった。
探すにも暴動がたびたび起こっていて、自分の身を守るだけで精一杯だったからだった。
マクビテクスはそれからも何度も兄とはぐれた場所に行ってみたがいつも肩を落として帰るしかなかった。
一人になったマクビテクスは覚悟を決めた。
一人で生きて行こうと。
つづく
風の噂では二人とも亡くなったようだ。
結局母は、父にひどい目に合わされながらも父が病気で倒れるまで耐えつづけ、病気になってからは看病を続け父が死んでからもあの村を出る事も無く淋しく死んで行ったという。
両親の最後を聞かされた後もマクビテクスは故郷には帰らなかった。
運良くマクビテクスはビスクールの王族の一人と知り会った。
その伝を使い王族の一人に苦労して取り入り、王に仕えるようになった。
その後、今の地位まで登りつめた。
登りつめるためには手段を選ばなかった。
あらゆる手を使って、他の者を蹴落として来た。
謀略を駆使し、失脚はもちろんのことその命さえ奪ってきた。
マクビテクスの手は真っ赤な血に染まっていた。
腹の中はどす黒い澱のような物でいっぱいだった。
しかしマクビテクスは人生を後悔した事はない。
この道しか自分にはなかったと思っている。
兄とはぐれた幼い少年には、人の先を行く頭脳だけが頼りだった。
マクビテクスが唯一感傷を感ずるのは兄だけであった。
ビスクールは二人の少年が暮らしていくには住みにくい町だった。
階級が厳しく決められており、二人だけでは故郷にいた頃と変わらぬ生活を送るしかなかった。
そのために二人は当時まだ基礎の固まっていないビスクールを目指した。
ビスクール最大の町、タンドに兄弟二人で足を踏み入れた日、マクビテクスはその町の巨大さに驚いた。
町並みを美しい服装の人もいれば、貧しい服装の人々も。
大勢の人たちが通りすぎる。
ビスクールはこれから発展する国だった。
そしてここなら二人の生きる場所を見つけられると思った。
マクビテクスはしばし呆然と人波を眺めていた。
ぼーっと見ていたマクビテクスは後ろから押され、いつの間にか人混みに巻き込まれてしまった。
やっと人混みから逃れ兄を探したが、兄の姿はどこにもなかった。
必死で兄の姿を探し続けたが何日経っても兄の姿を見つける事は出来なかった。
探すにも暴動がたびたび起こっていて、自分の身を守るだけで精一杯だったからだった。
マクビテクスはそれからも何度も兄とはぐれた場所に行ってみたがいつも肩を落として帰るしかなかった。
一人になったマクビテクスは覚悟を決めた。
一人で生きて行こうと。
つづく