ルゥ-シュは今ではビスクールの国軍の兵士だった。

今度の任務をうまくこなせば、司令官への道も開けるのだ。
そうなるためには今度の任務での失敗は許されない。
自分をコントロール出来なければ務まらない。

この事は誰にも気付かれてはならない。
まして今は自分が任されている重大な任務が頓挫しようとしていた。


あの時オルグ王に接見した際、マクビテクスにビスクール軍への忠誠を求められた。
しかしルゥ-シュは迷わなかった。
オルグ王の目の前で即座にビスクール、すなわちオルグ王への忠誠を誓った。

ビスクールの正統な後継者だという事はマクビテクスから告げられた。
しかし今は縁続きのオルグがビスクールを支配している。

そしてオルグがルゥ-シュの事を良く思っていない事もよくわかっていた。
なぜなら未だにビスクールにはルゥ-シュを担ぎ上げてオルグを引きずり下ろそうと画策する者が残っていた。


オルグはそのためにルゥ-シュに忠誠を誓わせた。
だが本心からルゥ-シュの忠誠を信じるほどオルグ王も無能ではなかった。

オルグ王に不信感があるのはルゥ-シュも承知の上で今はおとなしくつかえるしかなかった。


マクビテクスが言うように機会を待つしかないのだった。

だからここで失敗は許されない。
なんとしても任務を成功するしかない。

今は日本にいるウ-サナに一刻も早く接触しなければいけなかった。

ルゥ-シュの顔は再び冷酷な戦士に戻っていた。



タイートは混乱していた。
ニングが聞いたというビスクールの戦士から出た「ルゥ-シュ」という名前。


あのルゥ-シュだろうか・・・

いや、まさか・・・

ルゥ-シュがビスクールにいるのか?

生きているならルゥ-シュに会いたい。

ルゥ-シュがたとえ敵になっていたとしても・・・



それがタイートのユークにも言えない本心だった。



しかしユークの表情が気になっていた。

ニングの口からルゥ-シュの名前が出た時タイートは見た。


ユークの顔が苦しそうにゆがむのを。



なぜだろう・・・

あのユークの表情は・・・

ユークはルゥ-シュを知っているのだろうか・・・


タイートはユークに聞きたかった。
だが聞こうとしたタイートが気圧されるようなユークの苦悩に満ちた顔が、タイートの頭の中でずっと消えることはなかった。



             つづく