ユークとタイートは、ニングを車に押し込んだ。

まだニングは催眠剤が効いているのだろう。
ぐっすりと、眠ったままだった。

その方がユークとタイートには都合が良かった。
おかげでビスクールとの戦いをニングに見られなくて済んだ。

ニングに見られれば、説明するのが面倒だ。
ニングが眠っていてくれれば余計な嘘を言わなくて済む。


「起きないよ。どうする?」

「そうねえ。ここで少し待つしかないわね。あまり起きないようだったら、薬を使うしかないけど。」

「そうだな。」


二人が話している時、ニングが少し動いた。
ニングの様子を見ていると、まぶたがひくひくとしている。

「そろそろ催眠剤が切れそうだわ。覚醒剤を使わなくても良さそうね。」

「ああ。良かったよ。あれ、目覚めた後、頭が痛くなるから。」

「しようがないじゃないの。でもニングはあなたの時ほど痛まないわ。ビスクールの催眠剤はどうやらそんなに強力なものじゃなかったみたいだし。催眠が深くなければ、覚醒剤もそんなに強いものは必要ないのよ。」

「それってビスクールはニングをどうするつもりだったってこと?」

「おそらく早めに目覚めさせて、洗脳した後自分たちの言う通りにニングを操るつもりだったんでしょ。」

「そんな事しなくても、そのままでも世界は戦争に突入するんだろ?」

「ビスクールは今ニングを操る事で、エルンゼをもっと楽に侵略するつもりだったのよ。」

「でもどうしてそんなにビスクールはエルンゼを侵略する事しか考えないんだ?」

「そりゃビスクールの星自体の命がもう長くないからよ。それに国王のオルグは冷酷な人だし、そのオルグにいつもぴったりと張りついているマクビテクス、この二人がビスクールを動かしているのよ。」

「へえええ。さすがに良く知っているね。」

「これぐらい常識よ。」

「そうか。」

二人で話しているうちに、夜はさらに更けて行った。


「そろそろ起きるんじゃないかしら。」

「ニング?」

「ええ、他に誰がいるの?」

「そりゃそうさ。ちょっと言っただけさ。」

「無駄な事を言うのね。」

「君は相変わらずだな。」

「えっ?なに?」

「いや。何でもない。」

「あなたっていつもちゃんと言わないのね。」

「そ、そうか?言ってないかな?」

「言わないじゃない。ずっとそうね。だから・・・」

「え?だからって何?」

「何でもないわ。もういいのよ。」


そう言ったユークはタイートに背を向けて黙りこんでしまった。



                つづく