新潟に着いたユークとタイートは、ニングの母親のもとへ急いだ。
ニングの母親はニングと無理に引き裂かれた後、両親の住む新潟へ帰っていたが一時ノイローゼのようになっていた。
やがて時間と共に、少しずつ生活も落ち着いていった。
しばらくした後、今の夫と知りあい結婚した。
今は二人の娘も生まれ、穏やかに暮らしているらしい。
これらの事は全部ユークから聞かされた。
ユークは性格的にはちょっと問題があるが?能力は素晴らしいとタイートも見とめざるを得なかった。
「ここよ。ニングの母親が住んでいるのは。」
タイートとユークは、1軒の民家の前にいた。
ユークは玄関から裏口の方へ廻った。
タイートもユークの後を追った。
裏へ廻ると小さな門があり、右手の方に小さな庭が見えた。
庭にはさらに小さな花壇があった。
花壇には小さな花が咲き乱れ、見る者を癒してくれる。
花壇の前には、一人の女性がしゃがんで雑草を抜いていた。
「彼女がニングの母親よ。」
「あの人か。」
「どうやら何とかニングより先に着いたようね。」
「そのようだな。」
二人は少し離れた所から見ていたが、その時車の止まる音がした。
やがて表の方でインターホンの鳴る音が聞こえた。
「来たわ。あれがニングよ。」
ユークとタイートは、ニングの母親が家の中に入って行くのを見送った。
「これからどうなるんだ?」
「ニングは母親に拒絶されるのよ。傷ついたニングはこの後病気の父親に代わって実質的な後継者になるんだけど、父親と同じ独裁者になってしまうの。父親が核攻撃のボタンを押すのを後ろから誘導したのがニングだと言われてるわ。」
「そんな・・・それじゃあ母親との関係から独裁者になるっていうのか?」
「そうね。それだけ彼女にとっては大きな打撃だったのよ。小さい頃に引き離されてずっと寂しい思いをしながら成長してやっと会えたのに、母親はニングに冷たかった。無理もないわ。」
「しかしそのために人類は苦難の道を歩む事になるんだろう?」
「そうよ。だからニングが暴走する前に止めなきゃ。そのために来たんだから。エルンゼが生き残るにはそれしかないのよ。」
ユークはそう言うと表玄関の方に歩いて行った。
タイートもすぐ後に続いた。
表の方に行ってみると、ドアは閉まっていたが女の声が聞こえてきた。
ニングだろう・・・
やがてドアを開けて出て来たニングは泣いていた。
するとそこへタイートより少し年下の少女がやって来た。
「ただいま。」
と声をかけたが、ニングの姿を見て不思議そうな顔をしている。
その顔を見たとたん、タイートは凍りついた。
「ルゥ-・・・」
その少女は・・・
タイートが愛する女性、ルゥ-シュにそっくりだった。
つづく
ニングの母親はニングと無理に引き裂かれた後、両親の住む新潟へ帰っていたが一時ノイローゼのようになっていた。
やがて時間と共に、少しずつ生活も落ち着いていった。
しばらくした後、今の夫と知りあい結婚した。
今は二人の娘も生まれ、穏やかに暮らしているらしい。
これらの事は全部ユークから聞かされた。
ユークは性格的にはちょっと問題があるが?能力は素晴らしいとタイートも見とめざるを得なかった。
「ここよ。ニングの母親が住んでいるのは。」
タイートとユークは、1軒の民家の前にいた。
ユークは玄関から裏口の方へ廻った。
タイートもユークの後を追った。
裏へ廻ると小さな門があり、右手の方に小さな庭が見えた。
庭にはさらに小さな花壇があった。
花壇には小さな花が咲き乱れ、見る者を癒してくれる。
花壇の前には、一人の女性がしゃがんで雑草を抜いていた。
「彼女がニングの母親よ。」
「あの人か。」
「どうやら何とかニングより先に着いたようね。」
「そのようだな。」
二人は少し離れた所から見ていたが、その時車の止まる音がした。
やがて表の方でインターホンの鳴る音が聞こえた。
「来たわ。あれがニングよ。」
ユークとタイートは、ニングの母親が家の中に入って行くのを見送った。
「これからどうなるんだ?」
「ニングは母親に拒絶されるのよ。傷ついたニングはこの後病気の父親に代わって実質的な後継者になるんだけど、父親と同じ独裁者になってしまうの。父親が核攻撃のボタンを押すのを後ろから誘導したのがニングだと言われてるわ。」
「そんな・・・それじゃあ母親との関係から独裁者になるっていうのか?」
「そうね。それだけ彼女にとっては大きな打撃だったのよ。小さい頃に引き離されてずっと寂しい思いをしながら成長してやっと会えたのに、母親はニングに冷たかった。無理もないわ。」
「しかしそのために人類は苦難の道を歩む事になるんだろう?」
「そうよ。だからニングが暴走する前に止めなきゃ。そのために来たんだから。エルンゼが生き残るにはそれしかないのよ。」
ユークはそう言うと表玄関の方に歩いて行った。
タイートもすぐ後に続いた。
表の方に行ってみると、ドアは閉まっていたが女の声が聞こえてきた。
ニングだろう・・・
やがてドアを開けて出て来たニングは泣いていた。
するとそこへタイートより少し年下の少女がやって来た。
「ただいま。」
と声をかけたが、ニングの姿を見て不思議そうな顔をしている。
その顔を見たとたん、タイートは凍りついた。
「ルゥ-・・・」
その少女は・・・
タイートが愛する女性、ルゥ-シュにそっくりだった。
つづく