「いいかげんにしなさい。目立ってしようがないわ。」
小声でユークがタイートを制した。
「私だって好きであなたと組んでるわけじゃないわ。キーケル総司令官がなぜかあなたにとても期待しているのよ。だから仕方なく一緒にやってあげてるんじゃないの。」
「キーケル総司令官が?」
「そうよ。どうして私があなたと組まなきゃ行けないのかこっちが聞きたいわ。」
タイートにはキーケル総司令官の意図がまったくわからなかった。
「でもあなたの休養先を日本にした時から今度の事は計画されていたと思うわ。わざわざこの時代を選んだのも不思議だったけどね。」
「そうだったのか・・・」
「じゃあ向こうに着くまで少し休むわ。疲れたわ。」
見るとユークの顔色は青白かった。
表情にも先ほどまでの精彩がない。
どこか悪いのだろうか・・・
「少し無理しているんじゃないのか?」
「大丈夫よ。少し休めば。」
それだけを言うとユークはタイートに背中を向けて目を閉じた。
ユークの背中はタイートを拒否しているようだった。
タイートは窓の外をぼんやりと眺めていた。
その脳裏に浮かぶのはルゥ-シュの面影だった。
『タイー』
一瞬ルゥ-シュの声が聞こえたような気がした。
タイートが振り向くとルゥ-シュがいつものように微笑みながら、タイートを見ていた。
『ルゥ-。どこにいたんだ?ずいぶん探したんだよ。』
『ずっと待っていたのよ。タイーが来てくれるのを。』
タイートはルゥ-シュを抱きしめたいと思った。
だがタイートがルゥ-シュに近づこうとするとルゥ-シュが離れる。
『ルゥ-、待って。』
『タイー、私はずっと待っているわ。』
タイートは思わず駆けだしていた。
もうすぐルゥ-シュの手に触れそうになった。
その瞬間、ルゥ-シュは霧のように消えてしまった。
『ルゥ~~~、待ってくれ。』
しかしルゥーシュの姿はもうどこにも見えなかった。
『ルゥーどこだ?どこにいるんだ?どうして、どうして・・・』
タイートは身体の力が抜けてしまい、座り込んだ。
少し湿った土の香りがした。
そしてその土の上にタイートの涙がしみ込んで行った。
「ちょっと。タイート。起きなさい。いつまで寝てるの?」
「うんん・・・。ルゥ-。」
「もう着くわよ。準備して。」
タイートが気づくと、新幹線の座席にいた。
ユークが心配そうにタイートを見ていた。
タイートは泣いていた。
涙が頬をつたい指の上に落ちた。
ユークはタイートの涙には気づいていただろうが、何も言わなかった。
その代わりに白いハンカチをタイートに渡した。
タイートが涙を拭うとユークは少し寂しそうに、しかしいつもとは違う優しい笑顔で言った。
「大丈夫?」
「ああ。」
「じゃあ行きましょう。これから頑張ってもらうわよ。」
そう言った時には、いつものユークに戻っていた。
新幹線から降りた二人はニングを追うべく歩き出した。
そして二人は新たな地へ足を踏み入れた。
つづく
小声でユークがタイートを制した。
「私だって好きであなたと組んでるわけじゃないわ。キーケル総司令官がなぜかあなたにとても期待しているのよ。だから仕方なく一緒にやってあげてるんじゃないの。」
「キーケル総司令官が?」
「そうよ。どうして私があなたと組まなきゃ行けないのかこっちが聞きたいわ。」
タイートにはキーケル総司令官の意図がまったくわからなかった。
「でもあなたの休養先を日本にした時から今度の事は計画されていたと思うわ。わざわざこの時代を選んだのも不思議だったけどね。」
「そうだったのか・・・」
「じゃあ向こうに着くまで少し休むわ。疲れたわ。」
見るとユークの顔色は青白かった。
表情にも先ほどまでの精彩がない。
どこか悪いのだろうか・・・
「少し無理しているんじゃないのか?」
「大丈夫よ。少し休めば。」
それだけを言うとユークはタイートに背中を向けて目を閉じた。
ユークの背中はタイートを拒否しているようだった。
タイートは窓の外をぼんやりと眺めていた。
その脳裏に浮かぶのはルゥ-シュの面影だった。
『タイー』
一瞬ルゥ-シュの声が聞こえたような気がした。
タイートが振り向くとルゥ-シュがいつものように微笑みながら、タイートを見ていた。
『ルゥ-。どこにいたんだ?ずいぶん探したんだよ。』
『ずっと待っていたのよ。タイーが来てくれるのを。』
タイートはルゥ-シュを抱きしめたいと思った。
だがタイートがルゥ-シュに近づこうとするとルゥ-シュが離れる。
『ルゥ-、待って。』
『タイー、私はずっと待っているわ。』
タイートは思わず駆けだしていた。
もうすぐルゥ-シュの手に触れそうになった。
その瞬間、ルゥ-シュは霧のように消えてしまった。
『ルゥ~~~、待ってくれ。』
しかしルゥーシュの姿はもうどこにも見えなかった。
『ルゥーどこだ?どこにいるんだ?どうして、どうして・・・』
タイートは身体の力が抜けてしまい、座り込んだ。
少し湿った土の香りがした。
そしてその土の上にタイートの涙がしみ込んで行った。
「ちょっと。タイート。起きなさい。いつまで寝てるの?」
「うんん・・・。ルゥ-。」
「もう着くわよ。準備して。」
タイートが気づくと、新幹線の座席にいた。
ユークが心配そうにタイートを見ていた。
タイートは泣いていた。
涙が頬をつたい指の上に落ちた。
ユークはタイートの涙には気づいていただろうが、何も言わなかった。
その代わりに白いハンカチをタイートに渡した。
タイートが涙を拭うとユークは少し寂しそうに、しかしいつもとは違う優しい笑顔で言った。
「大丈夫?」
「ああ。」
「じゃあ行きましょう。これから頑張ってもらうわよ。」
そう言った時には、いつものユークに戻っていた。
新幹線から降りた二人はニングを追うべく歩き出した。
そして二人は新たな地へ足を踏み入れた。
つづく