ユークとタイートは新幹線の座席に座り、流れる車窓を見ていた。
新幹線は町を抜け、窓から見える景色は緑が多くなった。
二人は木々や田畑を不思議な思いで見ていた。
緑の木々や畑は、エルンゼにはないものである。
エルンゼには木はもちろんの事、草もほとんど生えない。
土はパサパサと乾燥していて、水分がない。
放射能の影響がまだ残っているからだろう。
しかも土のある所は一部だけで、あとはゴツゴツとした岩肌が広がるばかりの荒涼とした風景の禁断の森がある。
さらにその奥には生物には決して踏み入れる事の出来ない「果て」が広がる。
それに比べると、ここは美しい風景が残っていてタイートとユークにも安らぎを与えていた。
だが二人はそんな荒廃した祖国を守るために、今見知らぬ土地で一人の少女を探していた。
「少し話しておくわ。ニングのお母さんが大統領と愛し合って、ニングが生まれた事は話したわね。」
「ああ。」
「その時大統領は結婚したいと頼んだそうよ。でも先代の大統領、つまり大統領の父親は決して許さなかった。次期大統領が他の国の娘と結婚する事は許可出来ないって。
もちろん大統領には幼い頃から決まった相手がいた。それが大統領に定められた運命だった。」
聞きながらタイートはまるで自分の事を聞いているような気がした。
自分とそっくりな話しは、ルゥ-を思い出させた。
そしてユークもまた話しながら少し淋しげな瞳になった。
ユークにも似たような過去があったのだろうか・・・
「ところで君はいくつ?」
「何?突然。」
「いや君の年齢を聞いてなかったと思って。」
「あらそうだったかしら。あなたと同じ16歳よ。」
「同じ年齢だったのか・・・その割には・・・」
「何?その割って?」
「いや、何でもないよ。」
「言いたい事があるなら、はっきり言いなさいよ。私、ぐずぐず言う人、大嫌いなの。一緒に任務を成功させなきゃいけないんだから、面倒くさいのは嫌よ。」
「ああ。それはこっちが言いたいくらいだ。君とは任務があるから、仕方なく・・・いや、頑張るよ。」
「あら、そう。期待しているわ。」
あわてるタイートを、ユークは余裕の笑顔で見ている。
タイートには、そんなユークが同じ年とは思えなかった。
自分よりも2、3歳年上のように感じるユークの態度は出会った頃から変わらない。
「えっと、それでニングはお母さんに会えたのかな?」
「さあどうかしら・・・今は新しい家族もいるし、難しいかもしれないわ。」
「でも親子だろう?」
「あなたは単純ね。親子だからって同じように思い合ってるとは限らないのよ。」
「でも・・・」
「とにかくニングを早く見つけないと。」
「ああ。見つける手段はあるのか?」
「もちろん。彼女にはちゃんと尾行システムがつけてあるから大丈夫よ。」
「なんだ。そうか。じゃあ安心だ。」
「馬鹿ね。だから単純だって言ったのよ。この世界の人間は時々思いがけない行動をするから、いくら尾行システムで追いかけていても一瞬でとんでもない変化をする時もあるのよ。」
「単純って!そりゃそうかもしれないけど、単純ってちょっと言いすぎじゃないか。」
「嫌ね。そういう所が単純だって言っているのよ。もう少し冷静に対応できなきゃこの任務あなたと一緒にやっていくのが不安だわ。」
「それじゃこの任務から降りればいいじゃないか。」
タイートの声は、いつの間にか周囲の乗客の注目を浴びるほど大きくなっていた。
つづく
新幹線は町を抜け、窓から見える景色は緑が多くなった。
二人は木々や田畑を不思議な思いで見ていた。
緑の木々や畑は、エルンゼにはないものである。
エルンゼには木はもちろんの事、草もほとんど生えない。
土はパサパサと乾燥していて、水分がない。
放射能の影響がまだ残っているからだろう。
しかも土のある所は一部だけで、あとはゴツゴツとした岩肌が広がるばかりの荒涼とした風景の禁断の森がある。
さらにその奥には生物には決して踏み入れる事の出来ない「果て」が広がる。
それに比べると、ここは美しい風景が残っていてタイートとユークにも安らぎを与えていた。
だが二人はそんな荒廃した祖国を守るために、今見知らぬ土地で一人の少女を探していた。
「少し話しておくわ。ニングのお母さんが大統領と愛し合って、ニングが生まれた事は話したわね。」
「ああ。」
「その時大統領は結婚したいと頼んだそうよ。でも先代の大統領、つまり大統領の父親は決して許さなかった。次期大統領が他の国の娘と結婚する事は許可出来ないって。
もちろん大統領には幼い頃から決まった相手がいた。それが大統領に定められた運命だった。」
聞きながらタイートはまるで自分の事を聞いているような気がした。
自分とそっくりな話しは、ルゥ-を思い出させた。
そしてユークもまた話しながら少し淋しげな瞳になった。
ユークにも似たような過去があったのだろうか・・・
「ところで君はいくつ?」
「何?突然。」
「いや君の年齢を聞いてなかったと思って。」
「あらそうだったかしら。あなたと同じ16歳よ。」
「同じ年齢だったのか・・・その割には・・・」
「何?その割って?」
「いや、何でもないよ。」
「言いたい事があるなら、はっきり言いなさいよ。私、ぐずぐず言う人、大嫌いなの。一緒に任務を成功させなきゃいけないんだから、面倒くさいのは嫌よ。」
「ああ。それはこっちが言いたいくらいだ。君とは任務があるから、仕方なく・・・いや、頑張るよ。」
「あら、そう。期待しているわ。」
あわてるタイートを、ユークは余裕の笑顔で見ている。
タイートには、そんなユークが同じ年とは思えなかった。
自分よりも2、3歳年上のように感じるユークの態度は出会った頃から変わらない。
「えっと、それでニングはお母さんに会えたのかな?」
「さあどうかしら・・・今は新しい家族もいるし、難しいかもしれないわ。」
「でも親子だろう?」
「あなたは単純ね。親子だからって同じように思い合ってるとは限らないのよ。」
「でも・・・」
「とにかくニングを早く見つけないと。」
「ああ。見つける手段はあるのか?」
「もちろん。彼女にはちゃんと尾行システムがつけてあるから大丈夫よ。」
「なんだ。そうか。じゃあ安心だ。」
「馬鹿ね。だから単純だって言ったのよ。この世界の人間は時々思いがけない行動をするから、いくら尾行システムで追いかけていても一瞬でとんでもない変化をする時もあるのよ。」
「単純って!そりゃそうかもしれないけど、単純ってちょっと言いすぎじゃないか。」
「嫌ね。そういう所が単純だって言っているのよ。もう少し冷静に対応できなきゃこの任務あなたと一緒にやっていくのが不安だわ。」
「それじゃこの任務から降りればいいじゃないか。」
タイートの声は、いつの間にか周囲の乗客の注目を浴びるほど大きくなっていた。
つづく