タイートは入隊してからも、ルゥ-シュの事が気になってたまらなかった。
防衛軍に入隊すると、半年間誰にも連絡を取ることは許されなかった。

その間、激しく厳しい訓練が続く。
その訓練に耐え抜くために、防衛軍では外部との接触は一切遮断されていた。
持っていた通信機も取り上げられた。

過酷な訓練は、半年間一人でどんな事にも対応出来る精神力を鍛えるためでもあった。
タイートはその訓練で優秀な成績を上げ、新兵の間でひときわ目だった存在になっていった。


しかしその間に、愛するルゥ-シュの身に大変な事が起こっている事をタイートは知らなかった。
タイートはその厳しい訓練に耐え、素晴らしい成績を収めた。
誰もが認める優秀な戦士になっていた。
だがその時間は、容赦なくルゥ-シュの身にふりかっていた。


タイートは訓練を終え、故郷にいるルゥ-シュに手紙を書いた。
だがルゥ-シュからの返事は来なかった。

再びタイートは手紙を出した。
だがやはりルゥ-シュからは何の返事も来なかった。

タイートはイライラしていた。
ルゥ-シュが返事をよこさないのはおかしいと思った。
きっとルゥ-シュに何かがあったのだと。

タイートは父、キロイにルゥ-シュの様子を尋ねる手紙を出した。
ところがキロイからの返事はもうルゥ-シュの事は忘れるようにという事だけで、何一つルゥ-シュに何が起こったのか知ることは出来なかった。
このままでは埒があかないと思ったタイートは、上官に頼み込んでやっと休みをもらった。

タイートは故郷へ急いだ。
つい半年前まではルゥ-シュがいて、我が家がある故郷へ・・・


我が家にたどり着き、タイートはルゥ-シュのもとに急いだ。
しかしルゥ-シュの部屋には、ルゥ-シュの姿はなかった。

父キロイの部屋へタイートは走った。
父ならルゥ-シュの事がわかると思った。
いや、ルゥ-シュがいないのは父が何かしたと思っていたからだった。

「父さん、ルゥ-シュはどこに行ったんだ?」

「知らないよ。ルゥ-シュは自分からこの家を出て行ったんだ。」

「どうしてルゥ-シュは出て行ったんだ?父さんが何か言ったんじゃないのか?」

「いいかい。ルゥ-シュは勝手に自分でここを出て行ったんだ。誰にも何も言わずに。お前の事はもう忘れているよ。」

「そんな事あるもんか。父さん、ルゥ-シュに何をしたんだ?」

「私は勝手に自分から出て行ったルゥ-シュの事は忘れた。もうお前とこの事について話す気はない。」

キロイはそう言うと、タイートに背を向けた。


しかしキロイはタイートに一つ伝えていない事があった。

ルゥ-シュの行方に、一つだけ心当たりがあった。


キロイは念のため、あの男に連絡を取った。
しかしあの男からは「知らぬ」という言葉だけが返って来た。
禁断の森に住むあの男から・・・


キロイはタイートには言わなかった。
決してタイートには知られてはならない事だったからだった。
ルゥ-シュの秘密を。



                つづく