それから三ヶ月後、とんでもないニュースが日本中を駆けめぐった。
7月に起こった地震によって、原発内では火災が起きていた。
そのために、何人ものけが人も出ていた。
さらに最悪な事は、プルトニウムを処理する際に使用された水が漏れていた事だった。
1メートル以上もあるコンクリートの壁から、水が漏れて流れていた。
放射能に汚染された水が漏れたというニュースが、政府に与えたショックは大きかった。
しかしもっと深刻な事態があった。
以前から問題視されていた危機管理体制が、まったく機能しなかった事に官邸も国民も愕然とした。
こんな重大な問題が起きているにもかかわらず、首相官邸にいる主に知らされたのはある週刊誌がスクープとして出版される1時間前だというのであった。
老魁さで評価の高かった、何を考えているのかわからない首相の面目をつぶすのには格好の材料だった。
そしてその事に、さらに過剰に反応したのは近隣の国々だった。
その中の一つの国は、一人の人間によって治められていた。
全ての権限が彼のもとにあり、全ては彼の独断により決められていた。
そのため国民は苦しい生活を強いられていた。
彼の一族と一部の特権階級によって国の富が集められ、多くの民衆は明日の食べ物にも困っていた。
日本の原発で起こった地震のための被害は、もちろんアジア諸国でも懸念されたが、その国の反応は尋常ではなかった。
その国は小さいとはいえ、核を保持していた。
何度かロケットの発射実験も行っていて、成功も収めていた。
その国の元首である彼は年と共に偏狭になっていた。
アジアの小国であるその国の外交政策は常に強硬なものだったが、彼の猜疑心によってさらにかたくなになっていた。
彼は地震のために原発で起きた騒動から、以前から抱いていた疑念を再び呼び起こした。
前の首相が特に彼の国との間のある問題について強硬派だった事もあり、彼は日本との間で戦争状態になることも視野に入れ、着々と準備を進めていた。
ちょうどその準備が終わったという報告を軍の責任者から受けた時、日本の地震を知った。
ただその時にはその若い首相は既に国を代表する立場にはいなかったが・・・
やがて原発の状況が報道されるに従い、彼の疑念は深くなっていった。
彼は確信していた。
日本は原発と表向きには発表したが、実際は核施設に違いないと。
彼は軍部に命令を下した。
至急、核攻撃の準備を始めるようにと。
こうした動きにすぐに反応した国は一つではなかった。
日本はもちろん、同盟国であるアメリカを始め、ロシア、中国、さらにアジア諸国、すでに核を所有していたインド、パキスタンなど多くの国が脅威を感じそれぞれに動揺し、動き始めた。
そして彼が核攻撃を実行する日が、人々の間でXデーと呼ばれ始めた。
欧米諸国ではXデーについてさまざまな憶測が飛んでいた。
そしてついに9月某日がXデーだという情報がまことしやかに各国に流れた。
そんな世界の中で、なぜか日本は静かだった。
原発が核兵器を製造する基地ではない事は当事国として周知の事実であり、かといって憶測に対して公に抗議する事も出来ず政府も困り果てていた。
しかしこの優柔不断な態度こそ、第3次世界大戦の引き金となってしまった。
Xデーを明日に控えて世界は不穏な空気に包まれていた。
午後1時、アメリカは核戦争を避けるためという言い訳を準備した上で独裁国家であるアジアの1国に警告をした。
つまり独裁国家の近海に向けて、ミサイル攻撃をした。
脅えた独裁者は核兵器のボタンをついに・・・ついに押した。
第三次世界大戦の始まりだった。
核保有国が、次々とボタンを押した。
やがて戦争はまたまたくまに、世界中を巻き込んでいった。
地球は核にまみれていった。
こうして一人の男の狂気が世界を戦いの渦に巻き込んでいった。
つづく
7月に起こった地震によって、原発内では火災が起きていた。
そのために、何人ものけが人も出ていた。
さらに最悪な事は、プルトニウムを処理する際に使用された水が漏れていた事だった。
1メートル以上もあるコンクリートの壁から、水が漏れて流れていた。
放射能に汚染された水が漏れたというニュースが、政府に与えたショックは大きかった。
しかしもっと深刻な事態があった。
以前から問題視されていた危機管理体制が、まったく機能しなかった事に官邸も国民も愕然とした。
こんな重大な問題が起きているにもかかわらず、首相官邸にいる主に知らされたのはある週刊誌がスクープとして出版される1時間前だというのであった。
老魁さで評価の高かった、何を考えているのかわからない首相の面目をつぶすのには格好の材料だった。
そしてその事に、さらに過剰に反応したのは近隣の国々だった。
その中の一つの国は、一人の人間によって治められていた。
全ての権限が彼のもとにあり、全ては彼の独断により決められていた。
そのため国民は苦しい生活を強いられていた。
彼の一族と一部の特権階級によって国の富が集められ、多くの民衆は明日の食べ物にも困っていた。
日本の原発で起こった地震のための被害は、もちろんアジア諸国でも懸念されたが、その国の反応は尋常ではなかった。
その国は小さいとはいえ、核を保持していた。
何度かロケットの発射実験も行っていて、成功も収めていた。
その国の元首である彼は年と共に偏狭になっていた。
アジアの小国であるその国の外交政策は常に強硬なものだったが、彼の猜疑心によってさらにかたくなになっていた。
彼は地震のために原発で起きた騒動から、以前から抱いていた疑念を再び呼び起こした。
前の首相が特に彼の国との間のある問題について強硬派だった事もあり、彼は日本との間で戦争状態になることも視野に入れ、着々と準備を進めていた。
ちょうどその準備が終わったという報告を軍の責任者から受けた時、日本の地震を知った。
ただその時にはその若い首相は既に国を代表する立場にはいなかったが・・・
やがて原発の状況が報道されるに従い、彼の疑念は深くなっていった。
彼は確信していた。
日本は原発と表向きには発表したが、実際は核施設に違いないと。
彼は軍部に命令を下した。
至急、核攻撃の準備を始めるようにと。
こうした動きにすぐに反応した国は一つではなかった。
日本はもちろん、同盟国であるアメリカを始め、ロシア、中国、さらにアジア諸国、すでに核を所有していたインド、パキスタンなど多くの国が脅威を感じそれぞれに動揺し、動き始めた。
そして彼が核攻撃を実行する日が、人々の間でXデーと呼ばれ始めた。
欧米諸国ではXデーについてさまざまな憶測が飛んでいた。
そしてついに9月某日がXデーだという情報がまことしやかに各国に流れた。
そんな世界の中で、なぜか日本は静かだった。
原発が核兵器を製造する基地ではない事は当事国として周知の事実であり、かといって憶測に対して公に抗議する事も出来ず政府も困り果てていた。
しかしこの優柔不断な態度こそ、第3次世界大戦の引き金となってしまった。
Xデーを明日に控えて世界は不穏な空気に包まれていた。
午後1時、アメリカは核戦争を避けるためという言い訳を準備した上で独裁国家であるアジアの1国に警告をした。
つまり独裁国家の近海に向けて、ミサイル攻撃をした。
脅えた独裁者は核兵器のボタンをついに・・・ついに押した。
第三次世界大戦の始まりだった。
核保有国が、次々とボタンを押した。
やがて戦争はまたまたくまに、世界中を巻き込んでいった。
地球は核にまみれていった。
こうして一人の男の狂気が世界を戦いの渦に巻き込んでいった。
つづく