アジアの小さな国、日本。
地震国、日本。
1億数千万人の人が住む美しい国、日本。
ある日、北陸地方を大きな地震が襲った。
北陸を襲った天災は今までのものと変わっていないように思われた。
しかし2008年7月、北陸を襲った地震の被害は直接的ものだけではなかった。
一つの天災は世界を、人類を変えた。
未来をも。
この年は春が終わる頃から蒸し暑く、5月に入ると連日気温が30度近くまで上がっていた。
温暖化が騒がれ始めてから時間が経つというのに、これといった打開策も打ち出せない状態が続いていた。
人々は茹で上げるような暑さに、うんざりとした毎日を過していた。
7月に入ってそろそろ梅雨も開けようかという日だった。
-午前10時26分。
多くの主婦が汗をかきながら洗濯物を干し終わり、一息つこうかと思った頃だった。
新潟市に住む小椋登志子も4人家族の洗濯を済ませ、一服しようと冷蔵庫から麦茶を取りだそうとしたところだった。
その時マグニチュード6.8の地震が北陸一帯を襲った。
登志子は激しい揺れに冷蔵庫を押さえながら、棚に置いてある食器の箱が落ちてくるのを見ているしかなかった。
その時登志子の脳裏に愛する娘の顔が浮かんだ。
登志子は娘の事を思うと、いつも胸がキュンと痛むのだった。
後ろの戸棚の食器が割れる音に、登志子は揺れる天井を見つめた。
この日、北陸地方を襲った地震は大きな被害をもたらした。
地震による火災こそ少なかったが、多くの家が倒壊し、あちこちの道路には亀裂が走った。
人々は揺れが収まると、近くの学校の体育館や、集会場に避難した。
運悪く家具の下敷きになったり、倒壊した建物に押しつぶされて亡くなった人も大勢いた。
しかしこの規模の割には、死者の数は少なかった。
少なくともこの時にはもっと大きな被害が発生している事は発表されなかった。
もっとも懸念された原子力発電所で、地震後すぐに大きな被害はなかったと発表したからだった。
しかし実際は内部で、とんでもない事が起きていた。
だが首相でさえその内容はすぐには知らされず、事実は伏された。
つづく
地震国、日本。
1億数千万人の人が住む美しい国、日本。
ある日、北陸地方を大きな地震が襲った。
北陸を襲った天災は今までのものと変わっていないように思われた。
しかし2008年7月、北陸を襲った地震の被害は直接的ものだけではなかった。
一つの天災は世界を、人類を変えた。
未来をも。
この年は春が終わる頃から蒸し暑く、5月に入ると連日気温が30度近くまで上がっていた。
温暖化が騒がれ始めてから時間が経つというのに、これといった打開策も打ち出せない状態が続いていた。
人々は茹で上げるような暑さに、うんざりとした毎日を過していた。
7月に入ってそろそろ梅雨も開けようかという日だった。
-午前10時26分。
多くの主婦が汗をかきながら洗濯物を干し終わり、一息つこうかと思った頃だった。
新潟市に住む小椋登志子も4人家族の洗濯を済ませ、一服しようと冷蔵庫から麦茶を取りだそうとしたところだった。
その時マグニチュード6.8の地震が北陸一帯を襲った。
登志子は激しい揺れに冷蔵庫を押さえながら、棚に置いてある食器の箱が落ちてくるのを見ているしかなかった。
その時登志子の脳裏に愛する娘の顔が浮かんだ。
登志子は娘の事を思うと、いつも胸がキュンと痛むのだった。
後ろの戸棚の食器が割れる音に、登志子は揺れる天井を見つめた。
この日、北陸地方を襲った地震は大きな被害をもたらした。
地震による火災こそ少なかったが、多くの家が倒壊し、あちこちの道路には亀裂が走った。
人々は揺れが収まると、近くの学校の体育館や、集会場に避難した。
運悪く家具の下敷きになったり、倒壊した建物に押しつぶされて亡くなった人も大勢いた。
しかしこの規模の割には、死者の数は少なかった。
少なくともこの時にはもっと大きな被害が発生している事は発表されなかった。
もっとも懸念された原子力発電所で、地震後すぐに大きな被害はなかったと発表したからだった。
しかし実際は内部で、とんでもない事が起きていた。
だが首相でさえその内容はすぐには知らされず、事実は伏された。
つづく