家に帰ると母が太一に小さな瓶を手渡して言った。
「これ、飲みなさい。栄養ドリンクよ。」
「ええ~いいよ。疲れてないし。」
「これ脳の働きが活発になるらしいのよ。いいから飲みなさい。」
太一は仕方なく飲み干した。
飲んでみると栄養ドリンクは、少しドロッとしていて甘くてとても美味しかった。
確かに頭がすっきりしたような気がした。
「この栄養ドリンク、効きそうだな。」
その晩太一は不思議な夢を見た。
見た事もない金属のようなものを全身にまとって太一は戦っていた。
ステンレスのようだがステンレスよりも柔らかく、身体にぴったりとフィットしてちょっとした身体の動きにも対応してまるで皮膚のようだった。
まるで圧迫感がないのに、それでいて外からの圧力にはびくともしない。
しかもつけている事を感じないほど軽い。
手に持っているのは銃身の細い小型の武器だった。
軽く引き金を引けば、銃身の先からレーザーのような細い光が発射される。
その光が当たったところは一瞬で焼けて溶けていく。
夢の中で太一は防具や武器を使いこなし次々と敵?をやっつけていく。
しかも周りを見ると太一と同じような服を着て何十人もが同じように戦っている。
そしてまわりの戦士も全て太一と同じぐらいの少年たちだった。
みんな中学生ぐらいにしか見えない。
その戦士たちに向かってくる相手もまた少年たちだった。
同じような武器を手に次から次へと太一たちに向かってくる。
次の瞬間太一は右足が熱くなるのを感じた。
見ると右足のもものところが真っ赤になって少し服が溶けている。
太一は痛みに耐えかねて倒れこんだ。
「ううう・・・」
自分のうめき声に太一は目を覚ました。
太一はベッドの中にいた。
「夢か・・・変な夢だったな~。」
太一は何気なく右足の太ももをさわった。
「あれ?ちょっと待てよ。」
太一はパジャマを脱いで右足を見た。
太一の右足の太ももの真ん中あたりに小さな火傷の痕があった。
小さい頃からあったようで、母に聞いた事があったが母も知らない傷だと言う。
さっきの夢の中で怪我をした場所がちょうどその傷の場所と同じ位置だった。
「はは・・・まさかな・・・あいつが変な事言うからこんな夢見たんだな・・・きっと。」
太一は古い傷跡を軽くさすって再び眠ろうとしたが妙に目が冴えてきた。
「それにしてもあいつ、変なやつだなあ。目覚めるとかなんとか変な事言って。ノイローゼかなんかなのかな?」
太一は何か飲もうとベッドから出て階下へ下りて行った。
階段を降り台所のドアに手をかけようとすると、1階の両親の部屋から話し声が聞こえた。
太一は両親の部屋の前まで行くと息を潜めた。
すると部屋の中から聞こえて来た声はどうも二人だけではないようなのだ。
ドアの隙間から明かりが漏れて来る。
その明かりは小さく点滅している。
太一はドアに耳をつけて声を聞こうとした。
「・・・・・・・・・・・・・はい、了解しました。」
「まもなく完全に目覚める時が来る。その時までお前たちの正体を知られてはならない。不完全な
状態では我々の世界を理解する事は不可能だ。」
「はい、承知しております。」
「でも事態は切迫しているはずです。覚醒はいつになるのでしょうか?」
母の声が聞こえた。
「我々もタイートの覚醒を待っている。今の状態で戻しても覚醒は未完成に終わるだろう。タイートが覚醒するのはもう少し時間が必要だが・・・それまでは防衛軍が持ち堪えてくれるだろう。」
「はい、ところでユーク様は?」
「ユークは既にタイートに接触している。タイートの覚醒はユークに全て任せているのだ。ユークならタイートの覚醒の事は全て把握しているし、ユークは優秀な科学者だ。ユークに任せておけば大丈夫だろう。」
太一は耳を疑った。
そっと両親の部屋の前を離れて自分の部屋に戻った。
部屋に入りベッドに腰掛けると思わず息を吐いた。
今まで息を潜めていた事にやっと気づき肩から力を抜いた。
「どういう事だ?父さんも母さんも何を言ってたんだ?タイートとかユークとか・・・一体誰なんだ?」
太一が両親ともう一人の人物との会話を思い出しながら考えようとした時太一の頭が激しく痛み出した。まるで頭の中を鉄の棒でかき回されているような強烈な痛みだった。
「あああああぅっ~」
太一は頭を両手で押さえながらあまりの痛みにベッドに倒れこんだ。
やがて痛みは治まったが、いつの間にか気を失っていた。
つづく
「これ、飲みなさい。栄養ドリンクよ。」
「ええ~いいよ。疲れてないし。」
「これ脳の働きが活発になるらしいのよ。いいから飲みなさい。」
太一は仕方なく飲み干した。
飲んでみると栄養ドリンクは、少しドロッとしていて甘くてとても美味しかった。
確かに頭がすっきりしたような気がした。
「この栄養ドリンク、効きそうだな。」
その晩太一は不思議な夢を見た。
見た事もない金属のようなものを全身にまとって太一は戦っていた。
ステンレスのようだがステンレスよりも柔らかく、身体にぴったりとフィットしてちょっとした身体の動きにも対応してまるで皮膚のようだった。
まるで圧迫感がないのに、それでいて外からの圧力にはびくともしない。
しかもつけている事を感じないほど軽い。
手に持っているのは銃身の細い小型の武器だった。
軽く引き金を引けば、銃身の先からレーザーのような細い光が発射される。
その光が当たったところは一瞬で焼けて溶けていく。
夢の中で太一は防具や武器を使いこなし次々と敵?をやっつけていく。
しかも周りを見ると太一と同じような服を着て何十人もが同じように戦っている。
そしてまわりの戦士も全て太一と同じぐらいの少年たちだった。
みんな中学生ぐらいにしか見えない。
その戦士たちに向かってくる相手もまた少年たちだった。
同じような武器を手に次から次へと太一たちに向かってくる。
次の瞬間太一は右足が熱くなるのを感じた。
見ると右足のもものところが真っ赤になって少し服が溶けている。
太一は痛みに耐えかねて倒れこんだ。
「ううう・・・」
自分のうめき声に太一は目を覚ました。
太一はベッドの中にいた。
「夢か・・・変な夢だったな~。」
太一は何気なく右足の太ももをさわった。
「あれ?ちょっと待てよ。」
太一はパジャマを脱いで右足を見た。
太一の右足の太ももの真ん中あたりに小さな火傷の痕があった。
小さい頃からあったようで、母に聞いた事があったが母も知らない傷だと言う。
さっきの夢の中で怪我をした場所がちょうどその傷の場所と同じ位置だった。
「はは・・・まさかな・・・あいつが変な事言うからこんな夢見たんだな・・・きっと。」
太一は古い傷跡を軽くさすって再び眠ろうとしたが妙に目が冴えてきた。
「それにしてもあいつ、変なやつだなあ。目覚めるとかなんとか変な事言って。ノイローゼかなんかなのかな?」
太一は何か飲もうとベッドから出て階下へ下りて行った。
階段を降り台所のドアに手をかけようとすると、1階の両親の部屋から話し声が聞こえた。
太一は両親の部屋の前まで行くと息を潜めた。
すると部屋の中から聞こえて来た声はどうも二人だけではないようなのだ。
ドアの隙間から明かりが漏れて来る。
その明かりは小さく点滅している。
太一はドアに耳をつけて声を聞こうとした。
「・・・・・・・・・・・・・はい、了解しました。」
「まもなく完全に目覚める時が来る。その時までお前たちの正体を知られてはならない。不完全な
状態では我々の世界を理解する事は不可能だ。」
「はい、承知しております。」
「でも事態は切迫しているはずです。覚醒はいつになるのでしょうか?」
母の声が聞こえた。
「我々もタイートの覚醒を待っている。今の状態で戻しても覚醒は未完成に終わるだろう。タイートが覚醒するのはもう少し時間が必要だが・・・それまでは防衛軍が持ち堪えてくれるだろう。」
「はい、ところでユーク様は?」
「ユークは既にタイートに接触している。タイートの覚醒はユークに全て任せているのだ。ユークならタイートの覚醒の事は全て把握しているし、ユークは優秀な科学者だ。ユークに任せておけば大丈夫だろう。」
太一は耳を疑った。
そっと両親の部屋の前を離れて自分の部屋に戻った。
部屋に入りベッドに腰掛けると思わず息を吐いた。
今まで息を潜めていた事にやっと気づき肩から力を抜いた。
「どういう事だ?父さんも母さんも何を言ってたんだ?タイートとかユークとか・・・一体誰なんだ?」
太一が両親ともう一人の人物との会話を思い出しながら考えようとした時太一の頭が激しく痛み出した。まるで頭の中を鉄の棒でかき回されているような強烈な痛みだった。
「あああああぅっ~」
太一は頭を両手で押さえながらあまりの痛みにベッドに倒れこんだ。
やがて痛みは治まったが、いつの間にか気を失っていた。
つづく