放課後、太一は由貴に言われた桜の木の下にいた。
由貴が自分にいったいなんの話があると言うのだろうか・・・
そして太一は由貴が風のように消えた事も不思議だった。
太一は木の下で由貴を待った。
10分ぐらい立った頃、少し風が出てきた。
やがて強い風が吹き出した。
桜の梢が揺れ、木全体がざわめいた。
そのざわざわという音に、太一は空を見上げた。
太一の頭上には、青い空が広がっていた。
青い空には、ぽっかりと白い雲が浮かんでいる。
その時太一は不思議な光景を見た。
いくつもの高い円筒形の建物が立ち並び、建物の間にたくさんのパイプが通っている。
さらに上を見ると、ガラスのようなもので全体が覆われている。
太一は驚いて瞬きをした。
すると一瞬の後には、再び太一の頭上には青い空と白い雲が見えるだけだった。
太一は昔同じ光景を見た事があると思った。
「そうだ、あれはシアールの街だ。」
太一はつぶやいていた。
「え?シアール?シアールって言ったよな・・・今俺。」
太一は戸惑っていた。
「シアールって何だ?シアールなんて知らないのに・・・どうして・・・」
すると太一の背後で声が聞こえた。
「そう・・・やっぱり思い出していたのね。今シアールって言ってたわよね。」
いつの間にか由貴がそばに立っていた。
「シアール?知らないよ。」
「うふふ。知らないのにどうして口にしたの?」
「わからないけど・・・勝手に出て来たんだ。」
「そう・・・まだ完全に目覚めたわけじゃないのね。」
由貴は少しがっかりしたように見えた。
「何言ってるんだ。目覚めたって何だ?」
太一は由貴と話しているうちに、次第にイライラして来た。
不機嫌な顔の太一を見て、由貴はふっと息を吐いてその美しい顔で太一を見つめた。
「まあ、どうせ近いうちに全て思い出すわ。」
「何の事だよ。いったい何の話をしているんだ?」
「あなたは優秀な戦士だったと聞いてるわ。目覚めの時が来た以上そんなに時間はかからないでしょう・・・それにそんなに長い時間をかけていられるほど状況は良くないのよ。」
「何だよ、それ。戦士だって?まるで戦争でもしているみたいじゃないか。」
「しているみたいじゃなくて、しているのよ。今、我がエルーゼの防衛軍は総力を挙げてビスクール帝国からの攻撃を何とかしのいでいる状態よ。」
「・・・」
太一は由貴の話についていけなかった。
由貴の話していることは、何が何だかさっぱりわからない。
「君、可愛い顔しているけど、ちょっと・・・変わってるな。ドラマの見すぎじゃない?」
太一はさすがに頭がおかしいんじゃないかとは言わなかったが、もう由貴の事は放っておこうとその場を離れる事にした。
「いいわよ。どうせすぐにあなたはこっちに来る事になるんだから。」
由貴は太一に捨て台詞のように言葉を投げた。
太一はばかばかしくなって、由貴の言葉を背中に聞きながら学校を出た。
つづく
由貴が自分にいったいなんの話があると言うのだろうか・・・
そして太一は由貴が風のように消えた事も不思議だった。
太一は木の下で由貴を待った。
10分ぐらい立った頃、少し風が出てきた。
やがて強い風が吹き出した。
桜の梢が揺れ、木全体がざわめいた。
そのざわざわという音に、太一は空を見上げた。
太一の頭上には、青い空が広がっていた。
青い空には、ぽっかりと白い雲が浮かんでいる。
その時太一は不思議な光景を見た。
いくつもの高い円筒形の建物が立ち並び、建物の間にたくさんのパイプが通っている。
さらに上を見ると、ガラスのようなもので全体が覆われている。
太一は驚いて瞬きをした。
すると一瞬の後には、再び太一の頭上には青い空と白い雲が見えるだけだった。
太一は昔同じ光景を見た事があると思った。
「そうだ、あれはシアールの街だ。」
太一はつぶやいていた。
「え?シアール?シアールって言ったよな・・・今俺。」
太一は戸惑っていた。
「シアールって何だ?シアールなんて知らないのに・・・どうして・・・」
すると太一の背後で声が聞こえた。
「そう・・・やっぱり思い出していたのね。今シアールって言ってたわよね。」
いつの間にか由貴がそばに立っていた。
「シアール?知らないよ。」
「うふふ。知らないのにどうして口にしたの?」
「わからないけど・・・勝手に出て来たんだ。」
「そう・・・まだ完全に目覚めたわけじゃないのね。」
由貴は少しがっかりしたように見えた。
「何言ってるんだ。目覚めたって何だ?」
太一は由貴と話しているうちに、次第にイライラして来た。
不機嫌な顔の太一を見て、由貴はふっと息を吐いてその美しい顔で太一を見つめた。
「まあ、どうせ近いうちに全て思い出すわ。」
「何の事だよ。いったい何の話をしているんだ?」
「あなたは優秀な戦士だったと聞いてるわ。目覚めの時が来た以上そんなに時間はかからないでしょう・・・それにそんなに長い時間をかけていられるほど状況は良くないのよ。」
「何だよ、それ。戦士だって?まるで戦争でもしているみたいじゃないか。」
「しているみたいじゃなくて、しているのよ。今、我がエルーゼの防衛軍は総力を挙げてビスクール帝国からの攻撃を何とかしのいでいる状態よ。」
「・・・」
太一は由貴の話についていけなかった。
由貴の話していることは、何が何だかさっぱりわからない。
「君、可愛い顔しているけど、ちょっと・・・変わってるな。ドラマの見すぎじゃない?」
太一はさすがに頭がおかしいんじゃないかとは言わなかったが、もう由貴の事は放っておこうとその場を離れる事にした。
「いいわよ。どうせすぐにあなたはこっちに来る事になるんだから。」
由貴は太一に捨て台詞のように言葉を投げた。
太一はばかばかしくなって、由貴の言葉を背中に聞きながら学校を出た。
つづく