碧は澪のマンションに向かった。
時間は夜11時。
マンションの玄関から澪の部屋を見上げると明かりがついていた。
そこへ大沢が来た。
「すいません。こんな時間に来ていただいて。」
「いえ。私があの時躊躇したばっかりに私たちはユイを失ってしまった。
今助けなければあなたの友達もユイと同じ事になってしまうでしょう。
それだけは止めないと。さあ、行きましょう。」
「はい。」
碧はごくっと息を飲んで大沢の後に続いた。
碧と大沢が澪の部屋の前に着いた。
碧はチャイムを鳴らしたが澪は出てこない。
「澪・・・いないの?」
碧がドアノブを回すとドアが開いた。
鍵はかかっていなかった。
碧は不吉な予感に震えながら、ドアを大きく開けた。
部屋に入った碧と大沢は静かに奥へ進んだ。
すると浴室の方からずるずるっと何かを引きずるような音と低いうめき声が聞こえて来た。
「うううぅぅ。許して・・・キャシーちゃん・・・」
澪の声だった。
「だめよ。澪ちゃん。あなたが悪いのよ。私と遊んでくれないから。」
「ごめんなさい。でもほんとに動けなかったのよ。」
「だめよ。、もう。また別のお友達を探すから、もうあなたはいらないのよ。」
「あうううっ。やめて・・・お願い。助けて。」
碧と大沢が浴室のドアを開けると、キャシーが澪の髪をつかんで浴槽の中に引きずり込もうとしていた。
浴槽には水が溢れていた。
碧と大沢は恐怖のあまり動けないでいた。
やがて澪は浴槽の中に上半身を突っ込んだまま足をバタバタと動かしていたが、急に動かなくなった。
その時になってようやく碧と大沢は浴室に飛び込んだ。
二人は必死で、澪の身体を引っ張った。
キャシーの美しい顔がゆがみ、恐ろしい表情になっていた。
キャシーは碧たちを睨んだ。
ブルーの瞳が光っていた。
人形の力はもの凄く、なかなか澪の身体を浴槽から引きずり出す事が出来なかった。
それでも少しずつ澪の身体を引っ張りようやく浴槽から出すと、人形のキャシーが碧と大沢を睨んだ。
「どうして?私は遊んでほしかっただけなのに。どうしてみんな邪魔をするの?」
そう言うとキャシーは青白く光ったかと思うと宙に浮かんだ。
そしてそのまま飛んで部屋から出て行った。
碧と大沢は澪をベッドに運んだ。
「澪、澪。しっかりして。」
「ゴホッ。ゴホッ。」
「澪。大丈夫?」
「あれっ!碧、どうしたの?」
「よかった。澪、生きてて。」
「いやだ。生きてるわよ。」
「ははは。そうね。生きてるよね。」
「あははは。」
碧と澪は笑った。
その時テレビのスイッチが入った。
そして画面に一人の少女の姿が映った。
「パパ。ありがとう。お姉ちゃんを助けてくれて。」
大沢は少女の姿を見てハッとした。
「ユイ。」
「パパ。ママと仲良くしてね。」
「うん。うん。ユイ。わかった。」
「じゃあね。パパ。バイバイ。」
テレビの画面が揺れたかと思うと少女の姿は消えていた。
「ユイ・・・」
大沢は泣いていた。
ある町の大きなマンションの玄関に、きれいな人形が落ちていた。
5,6歳の可愛い女の子とその母親らしい親子連れが、その前を通り過ぎようとした。
その時女の子が人形を見つけ、抱き上げた。
「可愛い。ママこの人形連れて帰ってもいいでしょ。」
「やめなさい。こんな落ちてる人形より、ママがもっといいのを買ってあげるから。」
「いや。このお人形がいい。」
「ママのいう事を聞きなさい。」
「いや。絶対この人形がいいの。」
「しようがないわね。でもどうしてこんなきれいな人形が落ちてるのかしら・・・」
親子連れは人形を抱いて歩いて行った。
女の子に抱かれた人形は小さい声で言った。
「遊びましょ。」
人形は美しい微笑を浮かべ、ブルーの瞳が妖しく光っていた。
終わり
時間は夜11時。
マンションの玄関から澪の部屋を見上げると明かりがついていた。
そこへ大沢が来た。
「すいません。こんな時間に来ていただいて。」
「いえ。私があの時躊躇したばっかりに私たちはユイを失ってしまった。
今助けなければあなたの友達もユイと同じ事になってしまうでしょう。
それだけは止めないと。さあ、行きましょう。」
「はい。」
碧はごくっと息を飲んで大沢の後に続いた。
碧と大沢が澪の部屋の前に着いた。
碧はチャイムを鳴らしたが澪は出てこない。
「澪・・・いないの?」
碧がドアノブを回すとドアが開いた。
鍵はかかっていなかった。
碧は不吉な予感に震えながら、ドアを大きく開けた。
部屋に入った碧と大沢は静かに奥へ進んだ。
すると浴室の方からずるずるっと何かを引きずるような音と低いうめき声が聞こえて来た。
「うううぅぅ。許して・・・キャシーちゃん・・・」
澪の声だった。
「だめよ。澪ちゃん。あなたが悪いのよ。私と遊んでくれないから。」
「ごめんなさい。でもほんとに動けなかったのよ。」
「だめよ。、もう。また別のお友達を探すから、もうあなたはいらないのよ。」
「あうううっ。やめて・・・お願い。助けて。」
碧と大沢が浴室のドアを開けると、キャシーが澪の髪をつかんで浴槽の中に引きずり込もうとしていた。
浴槽には水が溢れていた。
碧と大沢は恐怖のあまり動けないでいた。
やがて澪は浴槽の中に上半身を突っ込んだまま足をバタバタと動かしていたが、急に動かなくなった。
その時になってようやく碧と大沢は浴室に飛び込んだ。
二人は必死で、澪の身体を引っ張った。
キャシーの美しい顔がゆがみ、恐ろしい表情になっていた。
キャシーは碧たちを睨んだ。
ブルーの瞳が光っていた。
人形の力はもの凄く、なかなか澪の身体を浴槽から引きずり出す事が出来なかった。
それでも少しずつ澪の身体を引っ張りようやく浴槽から出すと、人形のキャシーが碧と大沢を睨んだ。
「どうして?私は遊んでほしかっただけなのに。どうしてみんな邪魔をするの?」
そう言うとキャシーは青白く光ったかと思うと宙に浮かんだ。
そしてそのまま飛んで部屋から出て行った。
碧と大沢は澪をベッドに運んだ。
「澪、澪。しっかりして。」
「ゴホッ。ゴホッ。」
「澪。大丈夫?」
「あれっ!碧、どうしたの?」
「よかった。澪、生きてて。」
「いやだ。生きてるわよ。」
「ははは。そうね。生きてるよね。」
「あははは。」
碧と澪は笑った。
その時テレビのスイッチが入った。
そして画面に一人の少女の姿が映った。
「パパ。ありがとう。お姉ちゃんを助けてくれて。」
大沢は少女の姿を見てハッとした。
「ユイ。」
「パパ。ママと仲良くしてね。」
「うん。うん。ユイ。わかった。」
「じゃあね。パパ。バイバイ。」
テレビの画面が揺れたかと思うと少女の姿は消えていた。
「ユイ・・・」
大沢は泣いていた。
ある町の大きなマンションの玄関に、きれいな人形が落ちていた。
5,6歳の可愛い女の子とその母親らしい親子連れが、その前を通り過ぎようとした。
その時女の子が人形を見つけ、抱き上げた。
「可愛い。ママこの人形連れて帰ってもいいでしょ。」
「やめなさい。こんな落ちてる人形より、ママがもっといいのを買ってあげるから。」
「いや。このお人形がいい。」
「ママのいう事を聞きなさい。」
「いや。絶対この人形がいいの。」
「しようがないわね。でもどうしてこんなきれいな人形が落ちてるのかしら・・・」
親子連れは人形を抱いて歩いて行った。
女の子に抱かれた人形は小さい声で言った。
「遊びましょ。」
人形は美しい微笑を浮かべ、ブルーの瞳が妖しく光っていた。
終わり