「じゃあ被害者の佐藤広美さんが帰ったのは9時過ぎだったんですね。」

「はい。通り魔の話を聞いて引き止めたんですけど帰るって言って広美がうちを出たのが9時10分ぐらいでした。」

「そうですか・・・じゃあお宅から帰る途中に襲われたという事になりますね。」

「刑事さん、まだ通り魔は捕まらないんですか?」

「はあ・・・」

「お願いします。広美をあんなひどい目に遭わせたやつを少しでも早く捕まえてください。」

「はい、鋭意捜査中です。ですが、とにかく変わった事件ですので・・・」

「それはテレビや新聞で知ってますけど・・・それにしても残酷すぎる・・・広美がかわいそう・・・」

広美の遺体を確認する為、広美の両親と共にめぐみも広美の遺体を見ていた。
同行した刑事も一瞬顔をそむけるほどの悲惨な姿だった。

広美の目は開いたままだった。
目を閉じようとしたがどうしても広美の目は閉じなかったそうだ。
その目は恐怖に満ち、何か信じられないものでも見たように一点を見つめていた。
今も広美の目は自分をこんな姿にした犯人を見つめているのだろうか・・・

広美の母はそんな広美を見て気を失い、倒れこんでしまった。
広美の父と二人で身体を支えていたが、めぐみは吐き気をこらえるだけで精一杯だった。

広美の首は胴体から切り離されていた。
その切り口はすっぱりとまるでレーザーででも切ったようだった・・・

「あの、テレビで言ってましたけどまだ凶器が見つからないって本当ですか?」

「ああ、調べてはいるんですが現場からも一切見つかっていませんし、それに該当するようなものが今のところわかっていないんです。まるで焼き切ったように切れていましてね。使用された凶器がいったい何なのか捜査本部でも必死で捜しているんですが・・・」

めぐみは広美の目を思い出していた。
あの今にも叫びだしそうな広美の瞳に映っていたものは何だったのか・・・
めぐみは広美の為にも真実を知りたいと思った。



                  つづく