「じゃあ私そろそろ帰るわ。」
「あ、そう・・・もう少しゆっくりして行けば?」

「うん、でもこの頃うちの近く物騒なのよ。」

「ああ、そうだったわね。ニュースで見たわ。通り魔だってね。」

「うん・・・3ヶ月で9人も殺されているのよ。」

「ひどいね。まだ犯人捕まらないのかな・・・」

「うん、まだみたいよ。早く捕まえてくれなきゃ怖くて・・・」

「そうよね。でもこの時間に帰って大丈夫?泊まっていったら?」

「うん、そうしたいんだけどダメなのよ。今日は帰ってゴミ出さないといけないのよ。明日ゴミ出しの日なのよ。先週旅行に行っててゴミ出せなかったから・・・今日は出さないと。」

「そうか~広美はきっちりしてるもんね。私なら少しぐらい放っておくけど。あはは。でも気をつけて帰ってね。」

「うん、ありがとう。じゃあね。バイバイ。」

広美は友人の家を後にし、帰途についた。
電車を降りて少し行くと大きな公園があるのだが広美はその公園の横を通らなければ自宅へ帰れない。

広美の住んでいる町では最近立て続けに通り魔に襲われる事件が起きている。
警察も必死に捜査いるらしいいが未だに犯人は捕まっていない。
被害者はみんな鋭い刃物で身体を切り刻まれ、頭部や手足を切断されているらしい。

陰惨過ぎて警察も詳しい状況を発表するのを控えているくらいだ。
変質者か愉快犯の犯行ではないかとの見方で過去の事件も含めてリストアップしているが依然容疑者は浮かんで来ていないとの報道があった。


広美は真っ暗な公園の近くまで来た。
公園には外灯もあるのだが、ちょうど公園を回り込んで続いている道路に面したところの外灯は灯りが消えたままだ。

広美がその消えた外灯の下を通り右に曲がりかけた時右手の公園の木々の間からガサッという音が聞こえた。
広美は音のした方を見たが暗くて何も見えなかった。

「何でもないよね。」
広美は言いながら足早に公園を通り過ぎようとしたが、その時木の間で大きな影が動いた。

次の瞬間、広美の身体から頭部だけが切り離されていた。
広美の頭部がコロコロと道路を転がって行った。

驚いた広美の顔は恐怖に目が大きく開かれていた。
こうして叫び声をあげる間もなく広美は10人目の犠牲者になった。



                   つづく