冴子は小学校の校門まで来た。
しかし雅人の姿は見えなかった。
冴子は学校の前の道を見た。
すると向かいの道路の奥に雅人の後ろ姿が見えた。
雅人は振り返りもせず暗い道を歩いて行く。
冴子は雅人の背中に向かって声を掛けた。
「雅人!どこに行くの?待ちなさい。」
雅人は冴子の声が聞こえないのか止まろうともせずどんどん離れて行く。
「しようがないわね。」
冴子は雅人の後を追った。
雅人はどんどん歩いて行く。
冴子は急いで後を追ったが、なかなか雅人に追いつかなかった。
町外れにある病院を通り過ぎ、その先の角を曲がったところで雅人の姿が見えなくなった。
冴子は走り出した。
暗い角を曲がって、雅人の姿を探した。
目を凝らして雅人を探す冴子の目に入ったのは、薄暗い建物に入っていく雅人の姿だった。
冴子はその建物に見覚えがあった。
恵子が飛び降りたあの幽霊マンションだった。
そして江梨子もこのマンションで死んだと信代が言っていた。
冴子は恐る恐るマンションの玄関に入った。
するとエレバーターホールに電気が点いていた。
もう今は誰もいないはずだ。
恵子が飛び降りてから幽霊が出るという噂が立ち、住民も次々と出て行った。
今はすっかりゴーストタウンのようになってしまい、近づくものもいなかった。
・・・だが今その誰もいないはずのマンションに灯りが点いている。
冴子がエレベーターの前に立つと階数表示のボタンを見た。
すると1台のエレベーターが昇って行く。
やがてエレベーターは屋上を示す「R」で止まった。
「雅人・・・」
冴子はあわてて隣のエレベーターのボタンを押した。
エレベーターの扉が開いた。
当然の事だが、誰も乗っていない。
冴子はエレベーターに飛び乗ると屋上へ急いだ。
エレベーターが動き出すと、突然天井の灯りが点滅を始めた。
何回か点滅していたが、急に灯りが強くなったような気がした。
冴子が天井を見上げているとやがてエレベーターは止まった。
冴子はエレベーターを降りた。
「雅人~。お母さんよ。どこ?」
雅人の姿は見えない。
目の前に階段が5,6段続いていた。
その階段を昇れば屋上への扉がある。
冴子は階段を昇り、ドアノブに手をかけた。
ドアがギ、ギーっと音を立てた。
さらに冴子が力をこめてドアを押すと、夜の空気が冴子を包んだ。
つづく
しかし雅人の姿は見えなかった。
冴子は学校の前の道を見た。
すると向かいの道路の奥に雅人の後ろ姿が見えた。
雅人は振り返りもせず暗い道を歩いて行く。
冴子は雅人の背中に向かって声を掛けた。
「雅人!どこに行くの?待ちなさい。」
雅人は冴子の声が聞こえないのか止まろうともせずどんどん離れて行く。
「しようがないわね。」
冴子は雅人の後を追った。
雅人はどんどん歩いて行く。
冴子は急いで後を追ったが、なかなか雅人に追いつかなかった。
町外れにある病院を通り過ぎ、その先の角を曲がったところで雅人の姿が見えなくなった。
冴子は走り出した。
暗い角を曲がって、雅人の姿を探した。
目を凝らして雅人を探す冴子の目に入ったのは、薄暗い建物に入っていく雅人の姿だった。
冴子はその建物に見覚えがあった。
恵子が飛び降りたあの幽霊マンションだった。
そして江梨子もこのマンションで死んだと信代が言っていた。
冴子は恐る恐るマンションの玄関に入った。
するとエレバーターホールに電気が点いていた。
もう今は誰もいないはずだ。
恵子が飛び降りてから幽霊が出るという噂が立ち、住民も次々と出て行った。
今はすっかりゴーストタウンのようになってしまい、近づくものもいなかった。
・・・だが今その誰もいないはずのマンションに灯りが点いている。
冴子がエレベーターの前に立つと階数表示のボタンを見た。
すると1台のエレベーターが昇って行く。
やがてエレベーターは屋上を示す「R」で止まった。
「雅人・・・」
冴子はあわてて隣のエレベーターのボタンを押した。
エレベーターの扉が開いた。
当然の事だが、誰も乗っていない。
冴子はエレベーターに飛び乗ると屋上へ急いだ。
エレベーターが動き出すと、突然天井の灯りが点滅を始めた。
何回か点滅していたが、急に灯りが強くなったような気がした。
冴子が天井を見上げているとやがてエレベーターは止まった。
冴子はエレベーターを降りた。
「雅人~。お母さんよ。どこ?」
雅人の姿は見えない。
目の前に階段が5,6段続いていた。
その階段を昇れば屋上への扉がある。
冴子は階段を昇り、ドアノブに手をかけた。
ドアがギ、ギーっと音を立てた。
さらに冴子が力をこめてドアを押すと、夜の空気が冴子を包んだ。
つづく