まだチョコレートを買うつもりで来たのではなかったが、どうせ買うのだからと瑠衣は裕康に聞いた。
「ねえ、裕ちゃん。チョコレートいる?」
「ねえ、裕ちゃん。チョコレートいる?」
「そうだなあ・・・食べられるんなら何でもいいよ。」
瑠衣はムカッとして思わずつっかかるような口調で裕康に聞いた。
「どういう意味?私からのチョコレートはいらないって事?それとも他の誰かからもらう予定でもあるの?」
「い、いや。そういうわけじゃないよ。チョコレートだろ、くれるんだったら何でも。いやいや、チョコレートすごくほしいよ。」
「何ですって!」
裕康はあわてて答えたがかえって瑠衣の機嫌を損なう事になってしまい、そそくさと売場の前から離れて行った。
「もう~!ほんとに。何あれ。」
瑠衣が呆れてその場に立っていると、誰かがぶつかって来た。
トレンチコートを着た30代半ばの小柄な男だった。
今時トレンチコートを着ているのは珍しい。
おまけにそのコートはひどくくしゃくしゃで薄汚れていた。
トレンチコートを着た30代半ばの小柄な男だった。
今時トレンチコートを着ているのは珍しい。
おまけにそのコートはひどくくしゃくしゃで薄汚れていた。
男は落着きがなく、周りをきょろきょろと見ていた。
しかしぶつかってしまった手前なのか、瑠衣が立ち上がるのを待っていた。
しかしぶつかってしまった手前なのか、瑠衣が立ち上がるのを待っていた。
「す、すいません。大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です。」
瑠衣は服の汚れを払いながら男に言った。
瑠衣は服の汚れを払いながら男に言った。
「よかった。あの、すいませんがこれ持ってて下さい。後で取りに来ます。お願いします。じゃあ。」
そういうと男は瑠衣にきれいにラッピングされた小さな箱を押し付け、足早に走り去って行った。
「あ、あの~ちょっとこれ何ですか?困るんですけど・・・行っちゃった・・・あの人取りに来るって言ってたけど、どうやって取りに来るんだろう・・・」
瑠衣は無理やり渡されたその小さな箱を手に取りもう一度よく見る事にした。
10cm角ほどのブルーの小さな箱だ。
包装紙は目の前の売場にもある有名なチョコレートメーカーのものだった。
その上に可愛いピンクのリボンまでかけてある。
10cm角ほどのブルーの小さな箱だ。
包装紙は目の前の売場にもある有名なチョコレートメーカーのものだった。
その上に可愛いピンクのリボンまでかけてある。
「チョコレートかな?でも、これどうしよう・・・しようがないな~。少し待ってみるか。」
瑠衣は男の走り去った方向を見たが、男の姿はもうとっくに見えなくなっていた。
つづく