あの声が聞こえるようになったのはいつからだっただろう・・・
眠るといつも聞こえてくる、あの声。
眠るといつも聞こえてくる、あの声。
最初の頃は怖くて眠る事が出来なかった。
眠ればあの声が聞こえてくる。
低く、地を這うような声が・・・
眠ればあの声が聞こえてくる。
低く、地を這うような声が・・・
だが段々その声を聞くのが怖くなくなっていた。
それどころかいつの間にかあの声を聞きたいと願うようにさえなっていた。
それどころかいつの間にかあの声を聞きたいと願うようにさえなっていた。
今夜もあの声が聞けるという快感と恐怖が心の中に同居するようになった。
そこまではまだよかったのだ・・・
最近では眠りの中であの声を待ち望むようになっていた。
心の中に入り込んで来る低く、甘いささやき。
そこまではまだよかったのだ・・・
最近では眠りの中であの声を待ち望むようになっていた。
心の中に入り込んで来る低く、甘いささやき。
そして今夜も聞こえて来るあの声。
「殺せ。殺せ。殺せ。死にたくなかったら殺せ。」
眠りの中であの声に陶酔し、思考は暗闇に溶けて行った。
そしてその顔は満足そうな微笑を浮かべていた。
その微笑みには不思議な安らぎがあった。
「殺せ。殺せ。殺せ。死にたくなかったら殺せ。」
眠りの中であの声に陶酔し、思考は暗闇に溶けて行った。
そしてその顔は満足そうな微笑を浮かべていた。
その微笑みには不思議な安らぎがあった。
「いやねえ。また殺人事件ですって。」
「そうですってね。これで何人目かしら?」
「4人目でしょ。今朝のワイドショーで言ってたわよ。」
「怖いわね。それにしても、こんな小さな街で4人も殺されるなんて。また身体をメッタ刺しだったらしいわよ。あたりは血の海で真っ赤だったって。ほんとに、警察は何やってるのかしら。早く捕まえて欲しいわ。気持ち悪くて夜もゆっくり寝ていられないわ。」
「本当ね。ああ~怖いわ。」
こんな会話が街のあちこちで交わされていた。
この街で最近立て続きに3件の殺人事件が起こっていた。
そして昨日また、4人目の犠牲者が出たのだった。
この街で最近立て続きに3件の殺人事件が起こっていた。
そして昨日また、4人目の犠牲者が出たのだった。
1人目の被害者はサラリーマン、2人目は公園で野宿していたホームレス、3人目が20歳の女性、そして4人目が中年の女性。
被害者に共通点が無く、それぞれの被害者の間につながりも出なかった為、捜査本部では通り魔の仕業と見ていた。通り魔という事で動機も特定出来ず、捜査は難航していた。
被害者に共通点が無く、それぞれの被害者の間につながりも出なかった為、捜査本部では通り魔の仕業と見ていた。通り魔という事で動機も特定出来ず、捜査は難航していた。
通り魔、無差別殺人という活字が連日新聞の紙面を飾っていた。
さらに週刊誌では犯人が猟奇魔か変質者ではないかという分析をする評論家の記事を載せ、住民の不安をことさら大きくしていった。
最近では寄るとさわるとこの話題ばかりで、重い空気が街を覆っていた。
さらに週刊誌では犯人が猟奇魔か変質者ではないかという分析をする評論家の記事を載せ、住民の不安をことさら大きくしていった。
最近では寄るとさわるとこの話題ばかりで、重い空気が街を覆っていた。
瞳は3人目の犠牲者、桐野ルミと高校生の頃同じクラスだった。
ルミとは親友という間柄ではなかったが、近所に住んでいた事もあり一緒に帰る事も多かった。
ルミは高校に入学した頃はおとなしい無口な少女だった。
ルミとは親友という間柄ではなかったが、近所に住んでいた事もあり一緒に帰る事も多かった。
ルミは高校に入学した頃はおとなしい無口な少女だった。
それが2年生の夏が終わった秋頃から人が変わったようになってしまった。
派手な化粧をし、髪を金髪に染めて真っ赤な爪という派手な姿で登校するようになった。
不良仲間と夜遅く出歩いているらしく、暴走族と付き合っているという噂もあった。
そういったルミの素行は教師の知るところとなり、クラスの中でも浮いた存在になっていった。
派手な化粧をし、髪を金髪に染めて真っ赤な爪という派手な姿で登校するようになった。
不良仲間と夜遅く出歩いているらしく、暴走族と付き合っているという噂もあった。
そういったルミの素行は教師の知るところとなり、クラスの中でも浮いた存在になっていった。
学校は進学校だった為何度も注意されていたらしい。
当然父兄にも連絡をしたがその頃すでにルミの両親の仲は破綻していた。
父親は外に愛人を作りほとんど帰って来なくなり、母親はそんな夫でも戻って来る事を願っていた。
しかし愛人に子供が出来、夫は離婚を切り出した。
母親はその前から夫を失う事に耐え切れず酒に溺れるようになっていた。
結局離婚が成立した後、重度のアルコール中毒を患い、朝も昼も酒無しで過ごせない身体になっていた。
当然父兄にも連絡をしたがその頃すでにルミの両親の仲は破綻していた。
父親は外に愛人を作りほとんど帰って来なくなり、母親はそんな夫でも戻って来る事を願っていた。
しかし愛人に子供が出来、夫は離婚を切り出した。
母親はその前から夫を失う事に耐え切れず酒に溺れるようになっていた。
結局離婚が成立した後、重度のアルコール中毒を患い、朝も昼も酒無しで過ごせない身体になっていた。
こういった家庭の状況がルミを追い込んだのだろう・・・。
ルミは3年になった頃には登校する事も少なくなり、益々荒れていった。
やがてもう少し頑張れば卒業出来るという夏休みの間に高校を退学した。
ルミは3年になった頃には登校する事も少なくなり、益々荒れていった。
やがてもう少し頑張れば卒業出来るという夏休みの間に高校を退学した。
瞳はルミが退学した事を新学期になってから知った。
すぐに家を訪ねたが誰も出て来なかった。
それから事件が起きるまでルミの事は頭の隅にかろうじて残っているという状態だった。
すぐに家を訪ねたが誰も出て来なかった。
それから事件が起きるまでルミの事は頭の隅にかろうじて残っているという状態だった。
テレビのニュースでルミの事を聞いた時、瞳は一緒に通学していた頃のルミの無邪気な笑顔を思い浮かべた。
すぐに自宅を訪ねたがすでに売却されていた。
自宅を売却した後は、少し離れたアパートに母親は住み、ルミは母親と離れ1人で暮らしていたそうだ。
すぐに自宅を訪ねたがすでに売却されていた。
自宅を売却した後は、少し離れたアパートに母親は住み、ルミは母親と離れ1人で暮らしていたそうだ。
ルミはスナックで働いていたがその日も仕事を終え自宅への帰り道の途中で奇禍に遭ってしまった。
瞳はルミの葬儀に出席したが、両親はいなかった。
ルミの短い人生を思って瞳は涙を流した。
ルミの短い人生を思って瞳は涙を流した。
ルミの葬儀には刑事が来て、参列者の話を聞いていた。
しかし連続殺人とは言っても通り魔の犯行という見方が強かった為調べはうわべだけのように見えた。
ルミが殺され、さらにまた犠牲者が出ていたが全く犯人の目星はついていなかった。
しかし連続殺人とは言っても通り魔の犯行という見方が強かった為調べはうわべだけのように見えた。
ルミが殺され、さらにまた犠牲者が出ていたが全く犯人の目星はついていなかった。
そういう状況の中での捜査は雲をつかむようなもので捜査本部でも士気があがらなかった。
しかし住民の不安は増すばかりで、世間の警察に対する風当たりはきつかった。
新聞紙面でも警察の無能を笑うような記事が増えていくばかりだった。
つづく
しかし住民の不安は増すばかりで、世間の警察に対する風当たりはきつかった。
新聞紙面でも警察の無能を笑うような記事が増えていくばかりだった。
つづく