そして史郎は徐々に気がついた。
町の人々の眼も営業所のみんなと同じ眼をしている事に・・・
史郎は愕然とした。
「いったい、どういう事なんだ」
史郎は行方不明だという前任者の事が気になって仕方がなかった。
しかし、営業所のみんなに聞いても端正な顔に微笑を浮かべ知らないというばかりだった。
そんな日が続いていたある日、史郎は深夜遅くに営業所のみんなが連れ立って歩いているのを見かけた。じっと見ているとやがて町のあちこちから4,5人ずつ歩いてくるのだ。みんな同じ方向を目指しているようだった。
史郎は後をつけた。
みんなは町の公民館に向かった。
そっとドアから中を覗くとそこにいたのはキラキラと銀色に輝く身体にフィットした服を着た大勢の人だった。
みんなの顔を見て史郎は驚いた。
大勢の人の顔はみんな同じ表情だった。
「課長、見ましたね。」
いつの間にか史郎の後ろに営業所のみんながいた。
「何なんだ! お前たちは誰なんだ?」
「そうですね。あなた達人間より進化した新しい人種とでも言えばわかるでしょうか」
「新しい人種?」
「ええ。あなた達のような低脳で野蛮な人種から私たちは進化したのです。」
「進化だって?」
「はい、もうあなた達にこの世界を任せておくわけにはいかない。
このままでは後20年も経たないうちにこの地球は滅びてしまう・・・
環境を破壊し、愚かな戦いを懲りる事もなく何度も繰り返す。
あなた達人間が滅びるのは勝手だが地球が滅びるのは困るのです。
私たちはその為に立ち上がることにしました。
すでに旧人類から我々新人類へと少しづつ入替わっています。
もうこの町には旧人類はあなただけです。
前任者の高野課長もあなたと同じように我々の秘密に気づいた為にこちらで処分しました。」
「何を言ってるんだ。お前たちになんか乗っ取られてたまるか!
俺たちだって地球が滅びちゃ困るんだ。
俺たちの手で地球を守ってみせる」
「あなた達のような低俗な旧人類に出来ますか?くっくっくっ。」
乾いた笑い声が深夜の町に響いた。
気がつくと建物の中から人々が史郎に向かって来る。
史郎は眼の前に立つ新人類を押し退け、わめきながら、深夜の町を走った。
何がなんでもやるしかなかった。
これから永い戦いが始まるのだ。
新人類と名乗る者達と、そして己の欲望のまま環境を破壊し続け戦う事を止めない人類達との戦いだ。
しかし、やるしかないのだ。
生き延びるためには他の道はないのだ。
新人類たちに乗っ取られてしまう前に自分達がやらねばならないのだ。
史郎の耳にあの言葉が渦巻いていた。
「あなた達のような低俗な旧人類に出来ますか?くっくっくっ。くっくっく・・・・・」
おわり
町の人々の眼も営業所のみんなと同じ眼をしている事に・・・
史郎は愕然とした。
「いったい、どういう事なんだ」
史郎は行方不明だという前任者の事が気になって仕方がなかった。
しかし、営業所のみんなに聞いても端正な顔に微笑を浮かべ知らないというばかりだった。
そんな日が続いていたある日、史郎は深夜遅くに営業所のみんなが連れ立って歩いているのを見かけた。じっと見ているとやがて町のあちこちから4,5人ずつ歩いてくるのだ。みんな同じ方向を目指しているようだった。
史郎は後をつけた。
みんなは町の公民館に向かった。
そっとドアから中を覗くとそこにいたのはキラキラと銀色に輝く身体にフィットした服を着た大勢の人だった。
みんなの顔を見て史郎は驚いた。
大勢の人の顔はみんな同じ表情だった。
「課長、見ましたね。」
いつの間にか史郎の後ろに営業所のみんながいた。
「何なんだ! お前たちは誰なんだ?」
「そうですね。あなた達人間より進化した新しい人種とでも言えばわかるでしょうか」
「新しい人種?」
「ええ。あなた達のような低脳で野蛮な人種から私たちは進化したのです。」
「進化だって?」
「はい、もうあなた達にこの世界を任せておくわけにはいかない。
このままでは後20年も経たないうちにこの地球は滅びてしまう・・・
環境を破壊し、愚かな戦いを懲りる事もなく何度も繰り返す。
あなた達人間が滅びるのは勝手だが地球が滅びるのは困るのです。
私たちはその為に立ち上がることにしました。
すでに旧人類から我々新人類へと少しづつ入替わっています。
もうこの町には旧人類はあなただけです。
前任者の高野課長もあなたと同じように我々の秘密に気づいた為にこちらで処分しました。」
「何を言ってるんだ。お前たちになんか乗っ取られてたまるか!
俺たちだって地球が滅びちゃ困るんだ。
俺たちの手で地球を守ってみせる」
「あなた達のような低俗な旧人類に出来ますか?くっくっくっ。」
乾いた笑い声が深夜の町に響いた。
気がつくと建物の中から人々が史郎に向かって来る。
史郎は眼の前に立つ新人類を押し退け、わめきながら、深夜の町を走った。
何がなんでもやるしかなかった。
これから永い戦いが始まるのだ。
新人類と名乗る者達と、そして己の欲望のまま環境を破壊し続け戦う事を止めない人類達との戦いだ。
しかし、やるしかないのだ。
生き延びるためには他の道はないのだ。
新人類たちに乗っ取られてしまう前に自分達がやらねばならないのだ。
史郎の耳にあの言葉が渦巻いていた。
「あなた達のような低俗な旧人類に出来ますか?くっくっくっ。くっくっく・・・・・」
おわり