「ふっふふふ。もう遅いのです。あなたは“あれ”を体内に入れてしまいました。“あれ”は薬ではありません。」

「どういう事?」

「“あれ”はマザーが造り出した、ごく小さな機械生物です」

「機械生物?」

「ええ、“あれ”はもうあなたの身体の中で増殖しています。
その証拠に聞こえるはずのないものが聞こえたでしょう?
身体も今までとは比べ物にならないほど機能が向上しているはずです。

ふふふっ。今もどんどん増殖していますよ。こうしている間もね。」

「・・・」

「あなた方はやがて機械生物にすべてを食い尽くされます。
そして我々と同じ機械生物になるのです。
我々は万能なのです。病気も死も無い、感情というやっかいのものも必要なくなるのです。」

「いやあ~。やめて~。」

千絵は耳をふさいだ。
しかし、耳をふさいでも男の声は頭の中に響いて来る。

「大丈夫ですよ。そんな事を考えられるのも、もうわずかです。
これからは個人の思考などいりません。
マザーの意思が全てになるのです。1週間もすれば、あなたも機械に生まれ変わるのですから・・・」

千絵は視界が揺らぐのを見た。
そして次に店員を見た時、目の前にいたのは人間のマスクをはずした機械人間だった。

「ぎゃああ~~~。」
次の瞬間、暗黒の世界が訪れた。



3ヵ月後、ある地方都市に新しくコンビニが開店した。
真新しい店内にはいろんな品物が並んでいる。

そしてカウンターの中には千絵がいた。
そしてすぐ前の陳列棚には黒い箱が並んでいた。

自動ドアが開き、客が入ってきた。
千絵は唇の端を少し上げて微笑んだ。
「いらっしゃいませ」
 

                   おわり