1週間もの間、みんなの声に悩まされ、さらに見たくもない物まで見えてしまい、油断すると力が入ってしまい曲がるはずのない物まで曲げてしまう。
千絵にとっては地獄のような毎日だった。
「あんな変なもの売って。変な薬かなんか入っているんだわ。許せない!」
コンビニに着いた千絵は店員に詰め寄った。
「ちょっと。ここで買ったあのサプリあれ、なんなの?」
「なんでしょうか?」
「とぼけないでよ。先週ここで買った黒い箱。あれ飲んでからもう滅茶苦茶なのよ。私の身体どうにかなっちゃったのよ。変な薬が入ってたんじゃないの?あんな物売ってもいいの?」:
「ふっ。あなたもですか・・・」
店員は静かに問い返してきた。
千絵はイライラしていた。
「あなたもってどういう事?」
「せっかく我々が今の時代では手に入らない“あれ”であなたがたに素晴らしい力を差し上げたのに、みなさんまったく・・・有効に使う事が出来ないなんて・・・あなた方は低能過ぎる・・・。まったく愚かだ・・・」
「何を言っているのか、全然意味がわからない。」
「まあ、そうでしょうね。あなた方の頭脳では理解できないでしょうね・・・しかし我々はこうするしかなかった。このまま放っておけば、あと50年もしないうちに地球は滅びてしまうのです。人類は核戦争でほとんど死滅し、わずかに生き残った人類は劣悪な環境の下で生きていかなければならなくなったのです。しかし放射能で覆われた地球で生きていく事は人類には厳しすぎたのです。そしてマザーは生まれました。・・・・・」
「マザー?」
「ええ、偉大なるマザー・・・、我々の神です。我々の祖である機械生物です。
最後の人類が我々の神、マザーを創ったのです・・・
そしてマザーを創り終えた時、最後の人類は息絶えました。
人類は滅びたのです。
それからマザーは我々を次々と創り出し増殖して行きました。
そうして我々の時代が始まったのです。
我々は荒廃した世界で生きて来ました。
・・・しかしこのままでは我々も破滅の道をたどる事はわかっています。我々は機械とは言っても半分は生物です。
安定した環境が必要なのです。
しかし我々でも一度滅んでしまった地球を取り戻す事は出来ない。
その為に滅びる前の時代に来て何か手段を講じなければならなかったのです。
マザーは決断しました。
我々がこれから先も生存していく為に・・・
そこでマザーは我々にやがて来る危機を避ける為にこの時代の人類を少しずつ矯正する道を示しました。
放っておけば低能で野蛮な人類はどんどん破滅に向かうだけです。
そしてマザーの意思が実行される事になったのです。
我々は“あれ”をここに置いたのです。」
「矯正?私は・・・私たちは、そんなものを望んでない。それに“あれ”っていったい何なの?」
千絵が混乱する様子を見ながら、店員は冷たく口の端を上げてかすかに笑った。
千絵は全身に溢れる嫌悪感を抑えきれず、思わず両腕で自分の身体を抱いた。
逃げなきゃ・・・こんな事、嘘に決まってる・・・
そうつぶやきながら、千絵はドアを見た。
・・・いつの間にか店のシャッターが下りていた。
千絵は叫んだ。
「私、帰る。帰るからシャッター開けてちょうだい。」
店員をにらみながら、千絵は震える足でじりじりと後ろに下がった。
つづく
千絵にとっては地獄のような毎日だった。
「あんな変なもの売って。変な薬かなんか入っているんだわ。許せない!」
コンビニに着いた千絵は店員に詰め寄った。
「ちょっと。ここで買ったあのサプリあれ、なんなの?」
「なんでしょうか?」
「とぼけないでよ。先週ここで買った黒い箱。あれ飲んでからもう滅茶苦茶なのよ。私の身体どうにかなっちゃったのよ。変な薬が入ってたんじゃないの?あんな物売ってもいいの?」:
「ふっ。あなたもですか・・・」
店員は静かに問い返してきた。
千絵はイライラしていた。
「あなたもってどういう事?」
「せっかく我々が今の時代では手に入らない“あれ”であなたがたに素晴らしい力を差し上げたのに、みなさんまったく・・・有効に使う事が出来ないなんて・・・あなた方は低能過ぎる・・・。まったく愚かだ・・・」
「何を言っているのか、全然意味がわからない。」
「まあ、そうでしょうね。あなた方の頭脳では理解できないでしょうね・・・しかし我々はこうするしかなかった。このまま放っておけば、あと50年もしないうちに地球は滅びてしまうのです。人類は核戦争でほとんど死滅し、わずかに生き残った人類は劣悪な環境の下で生きていかなければならなくなったのです。しかし放射能で覆われた地球で生きていく事は人類には厳しすぎたのです。そしてマザーは生まれました。・・・・・」
「マザー?」
「ええ、偉大なるマザー・・・、我々の神です。我々の祖である機械生物です。
最後の人類が我々の神、マザーを創ったのです・・・
そしてマザーを創り終えた時、最後の人類は息絶えました。
人類は滅びたのです。
それからマザーは我々を次々と創り出し増殖して行きました。
そうして我々の時代が始まったのです。
我々は荒廃した世界で生きて来ました。
・・・しかしこのままでは我々も破滅の道をたどる事はわかっています。我々は機械とは言っても半分は生物です。
安定した環境が必要なのです。
しかし我々でも一度滅んでしまった地球を取り戻す事は出来ない。
その為に滅びる前の時代に来て何か手段を講じなければならなかったのです。
マザーは決断しました。
我々がこれから先も生存していく為に・・・
そこでマザーは我々にやがて来る危機を避ける為にこの時代の人類を少しずつ矯正する道を示しました。
放っておけば低能で野蛮な人類はどんどん破滅に向かうだけです。
そしてマザーの意思が実行される事になったのです。
我々は“あれ”をここに置いたのです。」
「矯正?私は・・・私たちは、そんなものを望んでない。それに“あれ”っていったい何なの?」
千絵が混乱する様子を見ながら、店員は冷たく口の端を上げてかすかに笑った。
千絵は全身に溢れる嫌悪感を抑えきれず、思わず両腕で自分の身体を抱いた。
逃げなきゃ・・・こんな事、嘘に決まってる・・・
そうつぶやきながら、千絵はドアを見た。
・・・いつの間にか店のシャッターが下りていた。
千絵は叫んだ。
「私、帰る。帰るからシャッター開けてちょうだい。」
店員をにらみながら、千絵は震える足でじりじりと後ろに下がった。
つづく