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Killing time

よくわからないようなことをちょこちょこ呟くだけ。
小説を書いては消してをしているかも


自己満足の為に書いているので、ペタは出来るときにしかできません。

余命短い悪人ときぐるみを着た男が世界の楽しさ、哀しさ、愛しさを知る話書いてー。 ってことでやってみたよ。診断メーカーの診断を改造して、自分好みに書いてみたよーっていうおふざけネタです。

悪人少女は萌える!



で、この前みたいにあらすじ、らしきものを書いてみた。


表ではいい子ちゃん、裏では最低のクズである桃山涼奈(とうやますずな)はお呪いによって原因不明の病に蝕まれ、寿命はあと一年と宣告される。そのお呪いを”お返し”するためにとある陰陽師がいる場所を訪れようとするが、不幸なことにトラブルに巻き込まれてしまう。逃げている途中で陰陽師に救ってもらえたが、それでも不幸は止まらない。

いきなり抱き上げられ、そのまま空に向かって跳ばれるわ、男のパンツ一丁姿を見せられるわ、コーヒーをぶっかけられるわ、しかも本性までバレてしまう。そんな不幸に見舞われ、さっさと治したいと思う涼奈だが、”お返し”するためには人の悩みを解決する必要があると言われ――。

悪人性格の女子高生と、変人三人組陰陽師達の奇妙な人助けの物語が始まる。


的なのを予定しているよ。できるとは限らない





私は、最低のクズと言われても仕方がないような人間である。

名も名乗らずいきなりなんだと思うだろうが、今はその気持ちは無視しろ。話を続ける。

表ではいい子を演じきり、裏では他人の努力を嘲笑って踏み躙ってきた。性格が悪いだなんて言われても、特に何も思わなかったし、そんなこと最初から知っている。だから、表ではつまらないいい子ちゃんを演じているんだ。いい子ちゃんはいいことばかりだからな。

例えば、私の本性を知ってそれを周りに言いふらそうとした奴がいるとする。でも、周りの奴らは私がいい子ちゃんだと思っているから、そいつの言葉は信じられずに、言ったやつが白い目で見られるようになる。私はそのことを聞いて傷ついた振りをするか、知らない振りして笑顔で話しかけるか、すれば周りからはさらにいい子ちゃんだと思われ、持て囃される。正直、本性を隠しているのにストレスは溜まるが、便利なことこの上ないからやめるつもりはない。それに、ストレスが溜まり過ぎたら、これをやればいいんだ。少しアレンジを加えてな。あまり同じことばかりいうように仕向けると、本当なのではと疑われる危険が有る。そんな危険はご遠慮したいから、毎回同じように本性はバラさない。多少嘘を付いたりもするし。

周りから白い目で見られることに耐えられるようなやつは選ばず、絶対に耐え切れずに転校していくか、引きこもるであろう気に入らないやつだけを選ぶ。たった一回やるだけでかなりのストレスを解消できる。スリルもあるし、楽しくて仕方がない。

こんなクズの私だが、親はいたって普通の金持ちだ。両親二人が、社長兼副社長を交代で代わり番こしながら働いているので家にはいない。金持ちだ、不思議なことじゃない。未だにイチャイチャと気持ち悪いぐらいに仲がいいが、私に興味がないわけではないらしい。らしい、というのは子供の頃からほぼ会ってないのだ。連絡するといえば電話。たまにテレビ電話、ぐらい。メールは送っても一ヶ月返ってこないこともあるぐらいだから、使わない。なぜ、合っていないかというと、二人には休みがまったく一切ないのだ。もちろん、10分程度の休憩なんかはあるが、休み、がないのだ。だから家には滅多に帰ってこないし、帰ってきても二人でイチャイチャしてるし、いやその真ん中に入れって言われたら全力で断るけども。まぁ、とにかく理由はこれだ。

ではなぜ、私がクズになったのか。

それは知らん。気がつたらこうだった。としか言えない。いや、正しくは”覚えていない”というべき、なんだろう。私は幼い頃、小学生の記憶がない。一年生から六年生まで、すっぽりと抜けている。なんでも精神的問題からくる記憶喪失、だとか。そういえば、この時ばかりは両親が駆けつけ、手を引かれて一緒に病院に行った。小六、の頃だったかな。

さて、そんな私であるが、先日いきなり寿命を言い渡された。

いきなり過ぎて驚くだろう。私もそうだった。

あと何日生きられるのか、なんという病気なのか、の前にこの世界について説明しておこう。と言っても、魔法があるわけでも、種族なんてものがあるわけでもない。あるのは、おまじないと呼ばれる奇跡に近いものだけだ。これは、幸運をもたらす場合はおまじないと呼ばれ、不幸をもらたず場合はお呪いと呼ばれている。説明はこれだけだ。このまじないが科学的に立証とか、使い方の説明書ができた、とかはない。ただ、私が子供の頃に爆発的に支持されだし、今ではできないと笑われる、レベルまで日常となっている。おかしいことだが。ちなみに、私もできるといえばできるが、記憶がないせいでどうして支持されだしたのかはわからない。ネットで調べて、爆発的に指示、と書かれているだけで詳しくはどこにもない。困ったものだ。

この説明だけで頭のいい人はわかるだろう。

私はそのお呪いにかけられたわけだ。原因不明の病に蝕まれ、寿命はあと一年。長いような短いような、微妙だ。お呪いだが、解くことはできない。できるのは、”お返し”と呼ばれる、まぁ簡単にいうとお呪いを使用者に無理矢理返すことだ。つまりは、私が助かる代わりに、私を病に蝕ませたやつが死ぬと、ざっまぁ!

あ、でも、痛みなしで死ねる病らしいからその点はダメだな。きっと返されたら、と怖かったんだろう。お呪いをしていいのはお返しをされる覚悟があるやつだけだ!ってな。

今回も、両親がすっ飛んできて、病院に引きずられただの病気ではないとわかった途端に陰陽師のところに引きずられ、それでやっと呪いとわかった。少し昔の陰陽師は裏に隠れて根強く仕事をゲットして生きていたらしいが、今では正々堂々前に出て大学でおまじないの講義をするとかしないとか。そんなことは関係ないか。

その陰陽師がいうには、お返しは素人やると酷いことになるらしい。ということで、お返し専門を仕事としている陰陽師がいるからそこに行けと。――お呪いだと教わった陰陽師はかける専門で解く専門ではないらしい――

両親はそれを聞いてまるでセクハラみたいに私を撫でくり回し、泣きながら帰っていった。しっかりしろ、社長と副社長。とにかくだ、あとは私一人でやるしかない。お金は両親のだがあるし、問題ないだろう。正直、明日学校で演技をしまくり、かけやがった野郎を焙り出してやりたいところだが、お返しをされて精神的に苦しんでいる顔を見て爆笑するのもいい。むしろ両方やろう。そうしよう。お返ししたあと、家に行って爆笑してやろう、そしてそれを見て爆笑してやろう。

行き先は『うざぎ陰陽師事務所』。陰陽師はよく寺にいたりしそうなイメージだが、最近ではこういう事務所が増えてきている。すこしふざけたような名前だが、両親の知り合いが進めた陰陽師だ、大丈夫だろう。……多分。

うん、そういえば言い忘れたことがあったな。私の病だが、厄介事に巻き込まれ病、だ。つまりは、事故とかに巻き込まれ一年以内に死ぬ病気で、今まで同じお呪いに掛けられた人はお返ししない限り一年間、一切家から出ないようにとしていたのに関わらず、なにかしらの事件に巻き込まれ命を落とした。そうだな、簡単に言えばアニメの主人公だったらヒロインとの出会いの場である周りから見たら不幸でしかないものに巻き込まれるわけだ。例えば、危ない人達が危ない取引をしようとしていたのに出くわした、とかな。


「ありえない、ありえない、ありえないぃいい!!」


全速力で走っているはいいが、さすが危ない人というべきか、足が早すぎる。運動能力は幸い高いからしばらくは逃げれるだろうけど、最後までいけるかというと多分無理。いや、近道をしようと怪しげな倉庫の近く、というか中に入ったわけだがそんなところでしかもまだお昼と呼べる時間にしてるとは思わないだろう!不幸病だ、こんなの不幸病だ!

積まれていたダンボールを崩して、足場を潰してから走る。

怖くて怖くて、特に顔が厳つくて、と思いはするがなぜだか頭は冷静になる一方だ。どうすれば逃げれるか、どこを崩して足元を潰すか、そのことばかりに頭が回る。今度はかけられていたパイプ鉄を崩して潰して、もう正直作業化してきた。

一度叫んですっきりしたんだろうか、怖いが恐怖、ほどではない。とにかく、人通りが多いところに出れば下手に手は出してこないだろう。

と、思って出てみたはいいものの。


「休日なのに人っ子一人いないってどういうことなの!」


あぁ、不幸病かけやがったやつ絶対許さない。倍でお返ししてやろうか。

不幸でしかない。大通りに出てしまったせいで障害物となってくれるものがほとんどなくなってしまった。もう足に頼ってとにかく走るしかない。

くっそ、と心の中で悪態をつき、もっと早く走るために足を入れたところで、上に影がかかった。走りながらも上を見上げると、目に入ったのは女性の足。丁度いい肉付きで、尋常じゃないぐらいに短い短パンからはほぼほぼ腰と尻が見えている。しかも、上は胸の下までしかないであろう黒のタンクトップだけと、痴女かとしか思えない、格好である女が上から降ってきていたのだ。ぎょっと目を見開き、しかし動きを止めるわけにもいかず、とりあえず走って、女の下から抜けたところで、足でブレーキをかけつつ、もう片方の足を降ることで後ろに向く。きゅっと音とともに、うまい具合に回ることができたが、そんなことより気になるのは女の方だ。


「魔式・壱の型! の、必殺技! ジャンピングゥウーーキーーーック!!」


よくわかんないけど、女の人すっげぇ!

変な掛け声とともに、女は足の片方を伸ばし、片方は曲げる――飛び蹴りの姿勢――とそのまま危ない人達に突っ込んでいった。まるでボーリングのピンみたいに面白いぐらいに弾け飛ぶ。心の中では爆笑だが、それを他人の前で出す私じゃない。驚いたままの姿勢で、女を目線にいれ続ける。

ちなみに、女が使っていたのは陰陽師が使える唯一のおまじない以外の術式のようなものだ。使えるのはもちろん、陰陽師の血を引くものだけなんだが、女のそれはすこし違う気がする。名前的に。


「なっさけない男達ばっかだねぇ~」


腰に手を当てて完全に地面で伸びている男に呆れてから、こっちを見てきた。


「ん? 君が桃山涼奈ちゃん、か?」


「え! あ、はい、そうです……けど。あなたは?」


なんで私の名前を知っている、という言葉は今のところ置いておいて、いやわかってるけど。


「あぁ、そういえばまだ名乗ってなかったな。アタシは、赤城戦嬢(あかきせんじょう)。うさぎ事務所の陰陽師だ、よろしく! あと二人いるんだが……置いてきちまったからな、どこにいるんやら」


うむうむ、口には出さないが言ってしまおう。だろうと思ってたよ、と。きっと私が尋ねる、ということを伝えておいてくれたんだろう。

さっきも言ったが、術式を使用できるのは陰陽師の血を引くものだけなわけで、今のところ陰陽師になっときゃ飯には困らないから、使えるならなっていない方がおかしい。っていうことで、最初から薄々思ってはいた。言いたいことはもう一つ、こいつ馬鹿じゃねーの、だ。

陰陽師ってのは、色々恨みを買う。おまじないを教えたり、お返しをしたりするためだ。おまじないをかけるには本名と誕生日を知っていなければならない。大体は名前だけで十分だが、例外で誕生日、または別の情報を知っていないとできないものもある。だから、お呪いをかけられないように、陰陽師ってのは名前を隠す。名乗るは偽名で、本名は信用できる人にしか教えることはないらしい、と聞いたことがある。両親から紹介された有名陰陽師のあの人は、蒼井と名乗ってから偽名だよと後ろにつけていたりした。なのにだ、この人普通に名乗ってるからバカとしか思えない。……いや、偽名なのか?戦嬢なんて、名前中々つけないし、そういうことにしておこうとりあえず。どうせこれっきりの縁だ。


「よろしくお願いします。あの、まだお二人いるんですか?」


「おう。君が追われているのが目に入ったからそのまま飛んじゃったからな、多分近くにはいるんだろうが……仕方ない」


やれやれといった感じで溜息を吐くと、携帯を取り出し多分その二人に電話をかけ始めた。昔は手に取って、耳に当てて電話をしていたらしいが今は腕時計のように腕に巻く式のものが主だ。あとは手に持つタイプのがあるが、それでも音を聞こえにくくする可能性があるので耳に当てるものではなく、まぁ、あるにはあるがほとんどの人間は使っていない。ちなみにこれ、登録した人物しか使えずないようになっている。


「ん、そ。んじゃ、事務所でってことで。はぁ? 大丈夫よ、いざってときは魔式使うし」


相手側の声は聞こえないが、電話はちゃんとできてるらしい。今最高についてないからな、私の不幸が伝染るとかあるかもしれないと思ってたけど、そんなことはないらしい。いや、そうだろうけども。

暇だし、女、もとい赤城さんの格好をもう一度見てみる。

ハレンチすぎる格好だが、多分タンクトップはもう少し下まであったのかもしれないけど、胸が大きすぎて小さく見えるだけだったみたいだ。別に羨ましくはない。羨ましくない。私だって胸あるもん。下は異様に短い短パンと、少しヒールが高めのブーツ。手には指の第二関節まである指ぬきグローブ。腰までと長めの赤毛の上には同じ赤のキャスケット帽子。格闘ゲームに出てきそうだ、やったことないけど。


「よっし、また変なことに巻き込まれたらめんどくさいから、首に掴まって」


よっこいしょという声とともに腕を掴まれ、そのまま首に回される。腕で首を苦しくないように挟むと、そのまま抱き上げられた。さすがに横抱きじゃなくて、片腕に乗せるっていう抱き方で、これならスカートの中が見えたりしないだろうけど、私だって軽くない。重くもないけどな、ここ重要!


「え、ちょ、重いですよ!?」


「いやいや、軽すぎだけど、私の半分しかないんじゃね? ご飯ちゃんと食べてるかー?」


そりゃ、あんたは胸があるからね、比べたら軽いだろうね!どちくしょう!


「そんなこと、な」


「あーはいはい。それ以上喋ってると舌噛むから口閉じて」


「え、はぁ!?」


否定しようとしたのを言葉を重ねられて止められて、その上、いきなり体をいつもよりも多い重力が体を襲った。すぐにその重力が軽くなったと思い、慌てて下を見ると、すでに赤城さんの足は地についていなかった。明らかに、地面より10メートルは離れてる。


「い、いやぁあああああああっ! ばっかじゃ、!」


下を見てしまい、恐怖のあまり自分でもうるさいと思うほどの絶叫をあげ、ついでに罵声を浴びせようとしてしまった。慌てて舌を噛まないように気をつけながら口を閉じて、罵声が出ないように歯を噛み締める。馬鹿じゃねーのなんて言ってしまったが最後、本性がバレてしまう。困る、それは困る。自業自得とか言われるのが一番、むっかつくからな。でも、声に出さなきゃいい。だから心の中で心ゆくまで罵声してやる。


 最初から思ってはいたけど、馬鹿なんじゃないのこのアマァ!


赤城さんに向かって心の中で罵声、罵声、罵声、を浴びせ続けつつ、ただ目を向けるだけで心の目では睨みつけていると、にっこりとした笑顔で返してきた。

綺麗な赤城さんの顔面を殴りたくなった。




■ ■




黒色のうさぎのきぐるみ頭部を被り必死に止めようとしている男と、その男に押さえ込まられながらも服を脱ごうとしている男と、その二人を見ながらせんべいをばりぼり食べ爆笑している赤城さん。

全員纏めて殴ってやりてぇ。いいよね、これやっても私怒られないよね、本性バレるからやらないけど。拳を握り締めることで殴りたくなる思いを抑え、このバカ騒ぎが終わるまで待つ。茶ぐらいだせ、おい。そこのうさぎでもいいからはよしろ、殴りたくなるからァ!


「未来(みき)くん、だめ、女の子がいるから!」


「やめろ脱がせろ、暑い!」


「だっはっはっは! いいぞ脱いじまえよ!」


あー、だめだ。だめだ、抑えきれないよ、キレそうだよ。いやいや、耐えろ、耐えるんだ私。ここでバレたら数年間の努力が、今まで一度もバレなかったという努力が無駄になってしまう、耐えろ。


「ご、ごめんね。今、飲み物持ってくるね。アイスコーヒーでいい?」


「あ、はい。ありがとうございます」


いいぞ、うさぎ。きぐるみのせいで声が篭ってるが、ナイスだうさぎ。ついでにその服を脱ごうとしている男をぶっ飛ばせ。汚物をぶっ飛ばせ。

うさぎは部屋の奥へと行っていく。その間は、しっかりわかっているのか赤城さんが男を押さえつけていた。男はというと赤城さんに殴られても諦めず脱ごうとしている、気持ち悪い。


「変態なんだ、ごめんね」


アイスコーヒーを4つお盆に乗せて、うさぎ男が戻ってきた。

まるで、そのタイミングを狙うように男が赤城さんの手から抜け出し、バッと服を抜き出す。ズボンまでもを脱ぎ、パンツ一丁になりやがった。


「あっつい、暑いんだよ脱いでもいいよね!」


と、ウインク付きだ。これ、ぶん殴ってもいいよね。むしろセクハラで訴えられるよね、訴えてやろうかくそ変態脱ぎ魔野郎。訴えてやる!


「未来くんダメだってば!」


「あ、おまっうさぎ!」


さっきもそういえば未来くんとか呼ばれてたっけか。

と、私が一瞬考えている間に、うさぎがお盆を投げ捨て男の服をかき集めようとするが、今さっき言ったがお盆を投げ捨てたんだ。もちろん、お盆は空中を舞って、私の上に。


「ひやぁ!」


アイスコーヒーをこぼし、周りに落ちていった。冷たいアイスコーヒーがかかった上に、氷がどばっと制服の中に滑り込んできた。変な声も出るしもう、不幸病のせいかくっそがァ!

幸い、コップが当たったりソファの上に落ちたから割れることもなく、怪我をすることはなかったが、びっちょびっちょだ。氷が制服の中に入り込み、背中を伝ったり、制服がコーヒー臭くなったりしたが。

したが、うん、許せるわけねーよな!だっーちくしょう!なんなんだよ、不幸病かけたやつも、脱ぎやがった脱ぎ魔男も、それにびっくりしたかなんだかしらねーがかけやがったうさぎ、絶対呪う。お呪いかけてやろ、私と同じ不幸病をな、覚悟しろくっそ野郎!


「ちょ、今のもっかい。もっかい! JKの制服に入る氷ナイス」


「お前は一回死ぬか? なぁ、そうした方がいいんじゃないか、訴えられる前に」


いいぞ、赤城さんやれ。私が許可する、その変態野郎を殺れ!


「あああわあわ、ごめん、ごめんなさい! 今すぐタオル持ってくるね、赤城の服貸してあげて!」


「別にいいけど、アタシの服こんなのしかないぞ」


「……あの、水かけてもらっていいですか、ベトベトして気持ち悪いのでいっそかけてください」


「おーい、うさぎー。シャワーだ、タオルより先にシャワーだ!」


シャワー室あるなら、先に言えクソ共!

慌てて戻ってきたうさぎ男に案内されて割と玄関近くにある風呂場に入る。鍵をかけてベトつく制服を脱ぎ捨て、入れておいてと言われたカゴに入れる。地肌のにおいを嗅いで見ると、コーヒー匂い。別に嫌いな匂いってわけじゃないが、好きな匂いというわけでもない。この匂いが嫌いという人もいるし、というかベトベトして気持ち悪い。さっさと下着も脱ぎ捨てて、鍵を開けてからさっさと入る。

中はシャワーヘッドとボディソープとかが置かれている場所があるだけだが、少し広めだ。手を横に思いっきり伸ばせるというわけではないが、普通のシャワー室よりも伸ばせる。しかも綺麗だ。

少し熱めに設定してからシャワーを浴びる。まだ夏ってわけでもないが、少し暑くなってきたから汗も流せて丁度いい。変態脱ぎ魔野郎は絶対許さないが、うさぎ男は殴り一発だけで許してやってもいいかもしれない、いや二発は入れたい。

ボディソープは桃の香りがするもので、結構いい香りだ。ボディタオルはおいてないから、手で泡立てに立てまくってから体に手を滑らせる。外からガタガタと音がするのは、赤城さんが私の服を代わりに洗ってくれているからだ。さすがにうさぎ男にさせるわけにもいかないので、赤城さんに頼んでおいた。洗ったあとは絞って、コインランドリーに持って行ってくれる。あの三人はよく事務所に寝泊りしたりしているらしく、ベッドはあるが、洗濯機がなく、近場のコインランドリーで洗濯をしているらしい。ってことで、私のもそこで洗ってきてくれるとのことだ。

髪にもべっとりとコーヒーの匂いが付いている。それに顔を顰めて、少し強めに髪を洗う。コーヒーと桃の匂いが混ざってなんとも言えないが、さっさと泡を落とし、もう一度髪を洗う。一回じゃ落ちている気がしないからな。人のものなわけだが、原因はあいつらにある。二回使うぐらいなら問題ない。

トリートメントは一回で十分だから、髪になじませておく。染み込むのを待つ間にもう一度体を洗って、流して、一緒にトリートメントも流す。家でしているのと、回数以外は同じ順番だ。

コーヒーの匂いが落ちたかというと、正直充満しているからよくわからない。髪を軽く振って少し水を落とし、外に誰もいないのを気配で確認してから出る。急いでタオルを取って、一様中に入り、体を拭いてからまた確認して外に出る。

いきなり入ってきてばったりなんて最悪だからな。確認大事。あの変態野郎もいることだし、いやさすがにそこまではしないと信じたいが。


「覗きとはいい度胸だな、いい加減にしろこのど変態野郎! 魔式、参の型!」


「ぐべぁあ!」


……今のは聞こえなかったことにしよう。

赤城さんの服、らしきものが置いてある。広げてみると、私よりかなり大きめなパーカーとやっぱりこれも大きめなTシャツ。短パンだ。さすがに赤城さんの服と同じ尋常に短い短パンじゃなかった。そこが心配だったんだが、よかったよかった。ちなみに、下着は魔式、とかいうのを使ってまで近場の服屋に買いに行ってくれた。サイズは、なんでかぴったりだ……英単語だけのものを教えたはずなのに、なぜに数字付きの方を買ったんだあの人。いやそれより、なぜわかった、サイズが!!

恐れを抱きながらも短パンの方はベルトも一緒に置かれていたから着れたが、どうもTシャツとパーカーが大きすぎて肩からずるずる落ちていってしまう。何度も直しながら髪をドライヤーで乾かしてから、出る。一様周りを見てみると、変態男が玄関に倒れ込んでいた。さっきので吹っ飛ばされたんだろう。少しどけられたように体が曲がっているのをみると、投げ飛ばしてから出かけたと見た。


「未来くんはほっといて大丈夫だよ」


体を抱き寄せ、その様子に引いているとうさぎ男が後ろから声をかけてきた。


「いいんですか?」


「自業自得だから、うん。赤城が帰ってくるまで時間かかるだろうし、座ってて」


さっきの事務所に戻ると、アイスコーヒーでびちゃびちゃになったソファはどこかに消えていた。仕方ないからもう片方のソファに座って、大人しく待ってやる。


「ごめんね。あ、俺の名前は葵十夜(あおいとおや)。蒼井先生とは違う葵、ね、よろしく」


「はい、よろしくお願いします。涼奈、です」


「うん、よろしくー。ちょっとわけがあってこんな格好してて、周りからはそのままうさぎって呼ばれてるからそう呼んでもいいよ。あっちに転がってたのは、黄新木未来(きさらぎみき)、変態だけど悪い人ではない……んだよ」


変態、という言葉に顔を少し顰めるとうさぎ男、もとい、あえて兎さんと呼ばせてもらおう、が苦笑した。あと、悪い人ではないというのなら間を開けるな、間を。


「あ、それやっぱり大きいよね……せんちゃん、赤城のことね。がTシャツしか持ってなくてさ。俺のパーカーになっちゃって、あ、お古だから安心してね」


「いえ、少し大きいだけですから。Tシャツだけでもよかったのに、ありがとうございます」


「ううん、Tシャツだけだと、ほら……あの変態が、ね。JKの腕ひゃっほーいとか言い出しそうだから……」


「…………苦労してますね」


兎さん、君は許してあげよう。すべてあの変態が悪んだな、あの変態さえ懲らしめればすべて収まるんだな、わかったよ全力で呪ってやるあの変態野郎。


「ひっどいな、僕変態じゃないんだけど。すべての愛らしいものを全力で愛でるのが趣味なだけさ」


「きっも……」


「うわ、ひっどい。でも女の子がそんな言葉使っちゃダメだよっ」


うわーい、殴りたいウザさだー。ウインクされても嬉しくないし、っていうか語尾に☆がつきそうな言い方をするな、気持ち悪い。手で口を隠しながら、体でも心でも、なんだっけ、黄……変態野郎でいいや、から引きまくり、なるべく兎さんの近くによると、変態野郎がニコニコ笑いながら顔をぐっと寄せてきた。殴り飛ばしてやろうか、くそ変態。


「萌え袖なんてかっわいいねー。うんうん、うさくん臭がするけど、かっわいー!」


思わず、ひっという声が口から出てしまい、全力で助けを求めて兎さんの腕を掴む。

気持ち悪い、気持ち悪い、いやぁ、気持ち悪い。あまりの恐怖にひっなんて声出したの初めてだ。


「未来ィイイイ! 魔式・伍の型! 魔式・参の型!」


「だ、ダブルはだめだっがはぁあ!」


私を救ってくれたのは、なぜか窓からカバンを背負って入ってきた赤城さんだった。いや、赤城姉さんと呼ばせてもらいたい救世主よ!

あの、魔式とかいうのを二度叫び、変態野郎の顔面を思いっきり殴り飛ばした。しかもうまい具合に目と目の間に拳を2発連続で叩き込んだ。すごい、両手でじゃなくて片手でだ。早すぎてよく見えなかった。しかし、変態野郎は頭を痛そうに抑えながらも、転がりうまいこと受身をとった。


「もう本気とかやめてよ。っていうか、涼奈ちゃん俺だけ変態野郎呼びとかひどくない?」


「……はぁ?」


「てっめぇええ未来ぃいいい!」


「ま、まった心の式使ったの?! 勝手に人の心詠むなっていってるじゃないか!」


理解した。つまりは、陰陽師しか使えないおまじないと使って私の心を詠み、私が心の中で罵詈雑言を言っていたのを聞いていた、と。


「この変態野郎!」


「罵詈雑言ありがとっ」


「気持ち悪いです!」


「本性出して言ってごらん、知ってるよ君の本性! いい子ちゃん演じて内心人を見下してるんだよね、うん性格悪いけど可愛いから、愛らしいねー」


「なに言ってくれてんだクッソ野郎がァア!」


ダッとソファから飛び上がり、ソファを蹴り飛ばして変態野郎に乗り掛かる。そのまま、首を掴んで近場の壁に力いっぱいぶつけた。そのまま怒りに任せて腹に本気の殴りを連打で叩き込み、片手だけで頭を同じく力いっぱい握り締め、もちろん全力で壁にぶつけ続ける。


「てめぇ、わかってんだろうな、死んで詫びろ全人類のためになァ!」


「ああああああ、あかきちゃぁ、このままだと未来くんが死んじゃうよ!」


「未来が完全に悪いが、そうだな。さすがにそろそろ助けるか……おーい、戻ってこーい涼奈ちゃーん!」


「ふっ、戻ってこい? 何を言っているんだかわかりませんね、私は冷静極まりないですよ? 安心してくださいこれは躾です。半殺しで抑えます、はい、自信はありませんけど、あはははは死ねおら、変態野郎!」


「いだだだだだっ、すごい意識してぎりぎりの痛みを与えてくる、Mに目覚めそごふあっ!」


「その口を閉じろ、この脱ぎ魔変態クソ野郎。いや、二度と開けないように縫い付けてやりましょうか、針と糸はどこかしら?」


殴りとぶつけることを全く止めずに、後ろを振り返ると赤城さんと兎さんがガクブルと震えまくっていた。完全に私に怯えまくっているが、どうでもいい。今はこの変態野郎を躾ることが先だ。それに、恐怖を与えとけば失礼なことはしないだろう、したら同じことをしてやるつもりだ。


「簡単に意識を失うな、ですよ? それじゃ躾にならないからなァ!!」


このあと私の体内感覚で数分。実際は数十分、私の罵倒と殴りつける音が続いたとか続いていないとか。さて、事実はどっちだかね。