Killing time -18ページ目

Killing time

よくわからないようなことをちょこちょこ呟くだけ。
小説を書いては消してをしているかも


自己満足の為に書いているので、ペタは出来るときにしかできません。

なんとなく書きたくなったんで書いたんだけど、意味わからん状態になったよ。

えっと、新キャラ出てます。こっちではキャラ設定をあげてないやつですが、結構気に入ってるやつです。

もしかしたら続き書くかも。




「こちら、刀神湊人。任務終了、応援が着次第帰投します」


耳につけた通信用イヤホンから、上司の返答はなかった。

いつものことなので、特になにも思わず、湊人はただ電池を食うだけのイヤホンの電源を一時停止に切り替え、湊人を囲むように倒れている男性達に近づく。数十名が廃虚である結局作られずに放置されたままであるコンクリートがむき出しになっている建物の床に虫の息で倒れ込んでいる。その男達に近づき、いつもより多く持ってきた手錠をつけていく。付け終わると、床に転がし、柱を背にしてその場に座り込む。胡座をかいた足の間に日本刀をたて、肩に寄りかからせるとその日本刀を抱くように腕を回し目を閉じる。

先ほどまで鉄と鉄がぶつかり合う音が響いていたというのに、今は男達の唸り声が聞こえるだけで、静かだ。痛みに耐え切れないのか息を強く吸い出し、呼吸音が段々と大きくなってきた。

ゆっくりと、湊人が目を開く。

その表情は冷たいものだった。まるで汚らわしい物を見ているような冷たい視線を浴びていることにすら気がつかない。その様子すらも、ただ湊人を冷たく見る。すでに任務は終了しているし、これ以上男達を傷つけたところで湊人の心が軽くなる訳でもないし、やりすぎだと上司に叱られる羽目になるだけだ。もう一度目を閉じたところで、カツカツとした足音が聞こえ、急いで目を開いた。日本刀を握り、すぐに立ち上がり、かかとを揃えた姿勢で来るであろう人物達を待つ。

待っていた人物達はすぐに湊人と男達がいる階に上がり、部屋に入ってきた。頭を軽く下げてから、姿勢を崩す。


「中立派、及び潜入者2名。一般市民13名、確保しました」


男達に向けていた顔とは違った笑顔を見せ、さっさと廃虚から出て行く。

湊人からすれば、中立派などどうでもいい存在であるのだが、異能者のみに関わらず一般人にまで薬を売りさばいた異能者麻薬組織の壊滅の手助け。さほど大きくない組織だが、下っ端として一般市民である少年達が30名ほどと、幹部が5名、部下異能者が10名潜入者が数名いたという情報を入手しており、そのことは湊人にも伝えられている。幹部、及び残りの一般市民、異能者、幹部達は別部隊が始末することになっており、湊人はただこの場で取引を行おうとしている者たちを捕まえるために痛めつけておけと指示されていた。その指示通り、峰打ちで動けなくなるまでに痛めつけ、あとは逮捕するための別部隊に引渡し、終わりだ。

仕事も終わったことだし、と刀を木刀袋にしまい、背中にかけて胸元にしまってある拳銃がちゃんと使えるかを確認してから、報告書を作るために警視庁への帰り道を辿る。


「過激派じゃなかったのは少し残念だったな」


伸びを一つしてから、不満そうに呟いた。




■ ■




竹は少し困惑していた。

いきなりお世話になっている庶務課の知り合いに手合わせしたいからと呼び出され、訓練室へと来てみたはいいが、そこにいるのは知り合いではなく、自分と同じように短髪の男が立っていた。亜麻色の竹と違って男の髪は白だし、竹よりは年上であろうが竹の方が身長も大きい。なによりの違いは体の細さだろう。男の方は、肉を食べることを勧めたくなるほどに細い。

男の方も、竹の姿を見ると驚いたように目を開いているので、竹と同じようにこの状況を理解していないらしい。訓練室は予約せいで、間違っても別の人間がいるということはない。つまりは、知り合いが連れてきたのだろう。すぐに変人として広まっている知り合いのせいだと理解した竹は、男に声をかけることにした。


「えっと、鵺さんはご存知ですか?」


苦笑いを浮かべながらも、知り合いのことを知っているか尋ねることにした。

すると、驚いたままの顔だった男が、微笑みを浮かべた。


「知ってます。警察庁異能庶務課雑用処理班、の班長の鵺さんだよね、キミは?」


「あ、申し遅れました。捜査課の昴竹といいます!」


「これはご丁寧にどうも。同じく捜査課の刀神湊人と言います」


挨拶が終わり、どうしたものかと二人で悩んでいると湊人のスマホが鳴った。竹に断りを入れると、スマホを確認し出したのだが、すぐに大きな溜息を吐き出した。


「『今日は竹くんの稽古をしてあげてほしくて呼んだの! ぬいは仕事があるのでいけないですの! あとはよろしく頼むの湊人くんならできる!』……自分勝手だなーもう」


いきなりハイテンションになった湊人に驚き目を見開くと、少しばかり頬を赤く染め、恥ずかしそうに咳をしたあとに、スマホの画面を竹に向ける。

どうやら、先ほどのはメールだったらしくスマホ画面にはメールの画面が表示されている。


「えっと、手合わせすればいいってことでしょうか?」


「うん、そういうことみたいだね。えっとー……まぁ、最初は異能使いながらにしよっか」


「あ、はい! よろしくお願いします!」


頭を深く下げてそう言いながらも、竹は鵺に言われた言葉を思い出していた。



■ ■




日本刀を盾がわりにし、そのまま竹の体制を崩させるために受け止めたものを日本刀の向きを変えて下へと流す。湊人の思い通り、体制を崩した竹を沈めるため、すぐさま足を振り下ろしたが当たる一歩手前で相手は獣のような体制のまま後ろに跳ぶことで避けられてしまう。

やられた、とは思いながらも左手に持った自動型拳銃を相手に向け、躊躇することもなく発砲する。間もなく撃ったはずだが、竹は大きくその場から離れることでそれも避けてしまった。

戦闘を始める前の少しおどおどとした雰囲気とは違い、今は戦闘を楽しんでいるのか目を光らせ、まるで獣のようだ。本能で戦っているのか、予想しない動きを見せる竹に湊人は心の中で舌打ちを打つ。身体変化の能力者らしく、手が手首から湾曲した刃物へと変わっている。身体強化の異能まで使っているせいか、湊人の方が押され気味だ。

竹には見せていなかったが、メールの最後には手加減してあげてね、と書かれていた。

その言葉通りに、竹には能力を使わせながらも湊人は能力をまったく使っていない。


 最後まで、と思ったんだけど……。


このままだと負けるのは湊人の方だ。仕方ないか、と短く溜息を吐いてから、異能を発動させる。

普段は黒の瞳であるはずの左目が青に変わった。

湊人の能力は相手の能力をコピーするものだ。ただ、コピーするための条件があるため、竹の能力をコピーすることはこの場ではできない。そのため、使用するのはすでにコピー済みである、一生使い続けることができる、身体能力向上の異能。脚力のみを向上させ一瞬にして竹の目の前に移動した日本刀を振るう。肘から先すべてを腕の形を保ちながらも鉄に変えガートされてしまったため、ダメージは0と言っていい。それなら変化するよりも早くダメージを与えられるように、と拳銃を空中に高く投げる、落ちてくるまでの間にまずは右手で素早く日本刀を振り回し腕以外の場所を狙い、手を回せなくなると左手に持ち替え、同じように振り回す。腕以外を狙ってはいるが、鉄にさせたままの腕を動かすことで大半のものはガートされてしまっている。それでも、数回の峰打ちを当てることはできたため、それなりの効果があったと言っていい。落ちてきた拳銃を空いている方の手で掴み、後ろに1回跳ぶことで竹から離れる。

身体能力向上のおかげで、たった1回しか跳んでいないというのにかなりの距離を開けることができた。ふぅ、を息を吐いてから、今度はもう一つの一生使えるコピーした異能である、水と電気の混血を使うことにした。青かった目が下の黒に戻り、代わりにその横にある刺青の花がふわりと揺れる。三日月の上に花の蕾が今にも咲きそうになっている、という刺青のはずが突然その蕾が開いた。

咲いた花はクレマチス。湊人の恩人である、姉が大好きだった花だ。

そのクレマチスがふわりと風に揺らされたように動くと同時に湊人が動き出した。上に高く跳び上がり、拳銃を竹に向ける。その拳銃の前に球体の形をした水が現れた。球体の真ん中に向けてぐるぐると流れながらも、大きくなりながらも、球体を保ち続ける。湊人の体が下に下がる直前に、湊人は拳銃を横に振った。それが合図になったのか、水が竹目掛けて動いた。

咄嗟に横に避けたはいいが、体のほぼ半分に水がかかってしまった。

勘に従い避けたはいいが、一体なんのための水だったのかわからず、首を傾げた。水が打撃系のような攻撃だったとしても、床は一切凹んでいないし、びっしょりと体の半分が濡れてしまったが、それ以外に異常はない。

不満そうな顔を浮かべた竹は湊人に文句を言うために顔をあげて気がついた。湊人がニヤリと笑っていた。


「ハハッ楽しいなおいっ!」


普段の竹からは想像できないような言葉なためか、少し話しただけの湊人も少し驚いている。


「それは嬉しいな。でも、この程度で満足してもらっちゃ困るよ!」


にっこりと笑いながらも、湊人はもう一度上に高く飛び、水を球体に溜めてから放つ。特になにもない、ということがわかった竹は水に突っ込み、また上にいる湊人に鉄にした脚での回し蹴りを放つ。日本刀ですぐにガードした湊人だが、壁がすぐそばにあったためか、壁に激突し、下に落ちていった。床ギリギリのところで日本刀を壁に突き立て慌てて着地した湊人と違い、竹は慌てることもなく着地し、壁に刺さった日本刀を抜いていた湊人に向けて跳ぶ。

前にまっすぐ跳躍した竹だったが、地から足が離れたと同時に、失敗したと気がついた。

湊人がなにかをしたわけではない。ただの直感だ。

すぐに、足をバネに変えて後ろに跳ぼうと思ったが、その時には遅かった。

ニヤリと笑った湊人の日本刀を握った腕が、ビリッと光った。

やはりか、っと竹が舌打ちをした直後に、目が青くなった湊人が目の前に迫り、いつの間にか閉じていたクレマチスの蕾が再び開き、声を出せないほどの激痛が全身を襲った。




■ ■




目を開くと、真っ白な天井が目に入った。すぐに訓練場の高い天井だ、と気がつき起き上がろうとしたが体に上手く力が入らないので諦めてそのまま寝ていることにした。

一度目を閉じてから、倒れる前にあったことを思い出す。

水をかけられたのは感電させるためだったんだろう。威力は抑えてくれていたようだが、痛いことにはかわりないしまだ少し体がビリビリとしているような気がする。直前に湊人の手が肩に触れたような気がしたが、異能を使っている最中のことはあまりよく覚えていない。湊人がどんなことをしていたのかというのはわかるのだが、されたという感じより、されているのを見ていたという感覚に近い。重い頭を軽く振ると訓練質のドアが開いた。頭を動かすことで、ドアの方を見てみるとペットボトルを二つ握った湊人が立っていた。竹が起きていることに気がつき、慌てて湊人が駆け寄る。


「起きた? ごめんね、昴くんあまりに強いから早く終わらせるためとはいえ、感電させちゃって。あ、無理して起き上がろうとしなくていいよ!」


痛みをこらえながらも、上半身を起こそうとしていた竹をすぐに湊人が支え再び寝かせる。

すみません、と小さく言うと湊人が苦笑した。


「それにしても驚いた。戦闘中は普段とは全然違うんだね」


「あ、えっとそのーなんていうか。異能を使ってる最中はあんまり自我がなくて……すみません」


「無意識、ってこと? 無意識であれって、なんか自信なくなるなぁ……」


「いや、負けたの俺ですし、刀神さんは強いじゃないですか。コピーの異能ですよね?」


「師匠が厳しいお陰で少しは、ね。うん、そうだよ条件があるからほいほいコピーできるわけじゃないけど」


その言葉に竹の脳裏には少しイラッとくるセリフと共に一人の男が浮かんだが、頭を軽く振って頭の中から追い出して、よっこらしょ、と起き上がる。痛みが少しは引いてきたが、クラッとする。頭を手で抑えて、息を吐き出すと、湊人が水の入ったペットボトルを渡してきた。お礼を告げてから受け取り、蓋を開けて飲む。気がつかなかったが、喉が渇いていたようで、普段飲んでいる水と変わらないはずなのに少しおいしく感じる。


「あ、そういえば鵺さんが刀神さんの本気が見たいなら元過激派だ、とか言ってみるといいと言っていたんですが……」


「あの人そんなこと言ったのか」


呆れたように溜息を吐き出し、少し間を明けてから湊人はどこか遠くを見つめてポツリと呟いた。


「過激派は殺したくなるほど嫌いなんだ。例え元であっても」


突然冷たい瞳になった湊人にゾクッと寒気が走った。

妹が過激派、という秘密があるからだろう。もし妹がこの人と出会って、過激派とバレてしまったら、と考えると今にも体が震え出しそうだ。


「あ、でも見境なくってわけじゃないよ。人に傷つけたりする過激派だけで、ただ異捜の人間が嫌いでーみないな人はどうでもいいし。それでも人を傷つけるなら容赦しないけど」


笑顔で追加の言葉を言っている湊人であるが、竹は冷や汗が止まらなかった。妹は人を傷つけたりはしないが、異捜の人間が嫌いで多分湊人のような人が声をかけたりしたら迷わず攻撃をしてその間に逃げようとするかもしれない。湊人が例え逃げるような存在であっても、人を傷つけるような行為をした人間を逃がすとは思えない。妹が湊人と偶然会うなんてことない可能性の方が高いが、ある可能が0なわけじゃない。気をつけるように妹に言っておこう、と竹の体を心配している湊人の話を聞きながらも決めた。