楽しい遊び 東京異端審問 | Killing time

Killing time

よくわからないようなことをちょこちょこ呟くだけ。
小説を書いては消してをしているかも


自己満足の為に書いているので、ペタは出来るときにしかできません。

またまた、喜蓮登場。こいつホント、使いやすくて。まだキャラシ上げてないですけどね。


元々竹は喜蓮側。だけど、書いてる途中に「全部母親悪くね?」と思って、発狂=自我を失うと、間違った考え方して、別側にしたww

だけど、愛を勘違いしちゃってる辺りは一緒。だから、狂気(くるき)家に好かれる。





血が通ってるのか?と思うほどに白い肌をしているのに、それを隠すように黒い服を身にまとっている女が、今、俺の目の前にいる。

ぞわりと寒気が背中を駆け巡った。その感覚のお蔭で、女がどんな人物がよくわかった。


アズミと秋奈が言っていた女……か


警戒しながら、じっと女を見つめると、女がニヤリと笑った。鋭い歯が見えて、少しだが恐怖を感じた。


「あぁーたまんない。その怒りとか、恐怖とかもういろんなものを混ぜたその眼! ほーんとたまんない! ゾクゾクするさねぇん」


二人から聞いていた以上に狂ってやがる。睨まれているというのに、女はそれを喜んでいる。寒気が止まらない。


「あらぁ。引いちゃってる? それでもいいけどさね」


女のしゃべり方は俺を挑発しているように聞こえる。

警戒心をさらに強めて、女の後ろに目を向ける。協力者らしき影は見られないし、俺の後ろにも誰かいるような感じはない。きっと、女一人で来ている。油断はできないけど。


「うん、アタシが一人か確認しているさね? 安心してほしいさね。竹君の力は二人以上。でも厄介さで言えば月島の方が上なのさ。だーかーらー、アタシ一人で全然問題ない」


テレパシーの異能者じゃないっていうのに、どうして俺の心の中がわかるのか。なんだ、俺が動揺しているのも、こいつはわかっている気がする。


「もう一つ!安心していいさね!兄弟には、手を出さないから。無所属の二人を攻撃しても意味がないさからね」


「兄さん達のことまでも知ってるとは思いませんでした……すごい情報収集能力ですね」


「敬語なんて使わなくていいさね! ほら、月島みたいに、タメ語にしてごらんなさいな」


「警戒心の現れだとでも思ってください」


全然読めない。なんだ、この女は何がしたいんだ。さっきからその場から一歩も動いてないし、攻撃してくるようなそぶりも見せない。やっぱり仲間が?


「そりゃ残念さ……ね!!」


女の手がグンと、伸びたような気がした。

すぐに、二人から聞いていた、女の異能が頭をよぎり、体が勝手に横に動いた。いた場所を見れば、やっぱり竜巻が渦巻いている。


……仕方ない、か!


意識を腕と脚に集めて、女を顔を見れば、やけに楽しそうに笑っていた。新しいおもちゃをもらった子供のような、顔で。




■ ■




ガツンと凄まじい音を立てながら、男の鉄へと変化された腕が容赦なく腹に叩き込まれた。息が詰まり意識が消えてしまいそうになったが、強く歯を噛みしめて、それを耐え、空間移動を使ってその場から少しだけ遠い場所に離れる。

アタシの異能じゃ、そこまで遠くには飛べやしないから、逃げるなんていう選択肢は最初からない。まだ、逃げる気なんてないしね。

男のぎらぎらと輝く、純粋に戦いを楽しんでいる子供のような目がアタシをじっと見ている。ぞくりと体が震え、こっちも楽しくなってきた。

今度は鉄になった足が顔に向かってきていた。咄嗟に腕で顔を庇ったせいで、腕がすごく痛い。でも、その痛みさえ、今のアタシにとっては楽しみを増やす、スパイスになる。


「クヒッヒヒ!」


アタシが笑うと、子供のように笑っていた顔が、きょとんと不思議そうな顔をした。だが、すぐにその顔が楽しそうな顔に戻る。


「フッハハッ!!ハハハッ!」


まるで、私を真似るように男は笑った。


――そっか。こいつ異能使ってる時は自我がほぼなくて、本能に任せて戦ってんだっけか


カッカッと熱くなる体とは逆に、頭はどんどん冷えていく。そのお蔭で冷静に男が次に繰り出す音が、よく聴こえる。体の軋む音で、大体の動きはわかる。


ほーんと怖いぐらいに耳がよくて、自分でも引くさね


昔から耳がよかった。そりゃもー怖くなるぐらい。意識すれば、相手の体が動く音が聴こえたし、よーく耳を澄ませば、顔の動きの変化の音だって聴こえた。ただの地獄耳だと思えば、そうも思えてきたから、ちっとも変には思わなかったが、小さいながらに、そんなことが他人に知られれば白い目で見られるとわかったから、ずっと黙っていた。だけど、ずっとフルに使っていた。

友人の顔の変化で、いまどんなことを思っているのかを聴き、うまいことそれに合わせ、嫌われない様にと生きてきた。

今だってそうだ。働いている先でも、相手を聴いて、愛想よく当たり自分を知られないようにと生きている。

うまいこと生きられるし、戦いの時は相手の動きを知れるし、すっごく便利な耳だ。異能じゃない所は不気味で仕方ないけどさね。


飛んできた鉄の拳を避け、男に足を払うと男は面白いぐらいに転けた。それに苦笑すると、男は不機嫌そうな顔でアタシを睨んできた。

子供と遊んでいるみたいな感覚。遊んでる相手はとっくに20は超えてるし、アタシとは一歳しか離れてないけど、すごく年下のような感覚に襲われるのは、本能で動く獣のようになっているからだろうかね。

最大限の力を使って、遠目に移動して、相手との距離を多く取る。


動きが滅茶苦茶過ぎて、ずっと耳を澄ませてないと聴こえないさね。月島の方が厄介なんて嘘ついてみたけど、こっちの方が数倍厄介さね。


「チッ一人で来るんじゃなかったさね。正直逃げたい」


アタシをすぐに見つけた男は、足のバネに変え、こちらに向かってロケットのように飛んでくる。


「まぁ……一つでも傷をつけたら、逃げる気だったけどな。あーもうホント楽し過ぎ!!」


最近口癖になっていた「さね」という語尾さえ忘れ、向かってくる男に意識を集中する。体の軋む音で左腕が出てくる可能性を弾き出し、それを避ける準備を気づかれないようにと、注意しながらする。


当たりッ!


鉄に変わった左腕が何度も狙ってきている腹に吸い込まれる。腹にその打撃が打たれてしまう前に、ちょっと横に移動。

すっと手を出し、手の平の上に小さい竜巻を作り出しそれを移動させてやれば、後は勝手に動き出す。いつもだったら、腹に穴をあけるそれだが、今まで襲ってきたこいつの仲間が情報を教えているはずだから、避けられることは確定だ。それでもいい。傷一つつけられるなら。


少しだけ肉が切れる音が、聞こえた。

体全体が歓喜を上げる。ぞくりとした快感に似た感覚が走り、成功したことを感じる。


「それじゃあおさらば! 竹君、楽しかったさね!」


思ったままを伝え、移動した。




■ ■




女が、だんだんと遠のいていく。普通の異能者のように遠くへと飛ばないのか。

もう戻ってくるような雰囲気もなく、すっと異能を使うときに出てくる人格に似た自分を引込める。するとどっとした疲れが襲い、危うくその場に倒れてしまう所だった。

疲労からの溜息を吐いて、ゆっくりとその場に座る。

ジンジンとした痛みを発する、腕を見れば、少しだけ(とっても結構深めだけど)切れていた。戦っている最中にコートは脱ぎ、袖を捲っていたから、服は切れていないので、手当てをすれば心配をかけることもない。


読まれる、みたいだった。俺の動きすべてを見透かしている、まるでテレパシーを持つ異能者のようだった。だけど、女の異能は風と空間移動。三つ目をもつ異能者なんて聞いたことないし、異能じゃない。じゃぁ……一体なんだ。


「特技……て所かな」


ずっと中から見ているとき、女は楽しそうに笑っていた。特徴的な笑い声をあげて笑っていたし、俺がそれを真似するように笑えば、さらに女は楽しそうに笑った。

足を払われて、転けてしまった時は、苦笑していた。まるで、子供が転けてしまった時のように。


「随分と印象が違うな」


傷をつけたら、帰っていくあたりは一緒だけど。

なんだが、違和感が残る。それは一体――


ポケットに入れていた携帯が震える。思考を切り上げ、携帯に出るとムカつくほどの陽気な声が聞こえてきた。


『たけちー焼肉食べに行こうよ。ね、いいっしょ。仕事終わったっしょ! お姉さんと一緒に行こうよぉ~』


「女装してなかったらね」


苦笑を混ぜながら言うと、梅兄は嬉しそうに笑い、


『はーい!』


と言って電話を一方的に切った。ブツリといきなり切れた電話に苦笑して、立ち上がると足元がふらふらとした。壁に寄りかかって呼吸と意識を整え、すこし遠い所に落ちているコートとリュックを取り、中から包帯と消毒液、コットンを取り出す。傷口を綺麗に消毒して、包帯を適当に巻き付ける。怪我は結構する方だけど、大体はやってもらう方で、やり慣れていないから結構雑になってしまう。

仕方ないから、後で治してもらおう。

消毒液を中に戻し、血で汚れたコットンをコンビニで買って食べ終えたパンのゴミとかが入っている袋に入れて、立ち上がる。

兄達と合流するために、いつもの焼肉屋へと足を動かした。




焼肉屋に行くと、知らない人まで、いてびっくりするのは後の話。

のちにあげるつもり。