先日、以前からファンだったミュージシャンの方と
ヴァイオリンで共演させていただく機会があった。


その方のことは、私が中学2年のときに初めて知って、
その衝撃は今でもはっきりと覚えている。
なんてすてきなひと・・・!私もこんな風になりたい!
ひと目で大ファンになり、コンサートやイベントには
ほとんど足を運んだ。
その人柄も本当に魅力的で、それが今回直接お会いして、
やはり当時の私のイメージ通りのすばらしい人だったことに、
更に感激した。


当時私は高校に不登校になり、アルバイトをしながら
ファン仲間と遊んだり、コンサートに行っていた。
先が見えない状態で、なんとか自分を取り戻そうと
必死でもがいているような時期だった。
何年も経って、乗り越えたとは言っても、大変だった印象の方が強く、
自分の心の奥に記憶を閉じ込めてしまっていた。
だがその時に、その方に夢中になっていたからこそ
暗いトンネルも通り抜けられたのだと思う。
苦しみながらもなんとか音楽を続けてきて、
今やっと、それらのことを価値あるものに思うことができたのだ。


今回のライブでは、その方がご自分のお父様に贈った曲を
一緒に演奏させていただいた。
私の父が、仕事の関係でその方と直接お会いして
私宛のサインをもらったことをお話したら、
感慨深く受け止めてくださって、
「○○(私の名前)さんの良き理解者であったお父様に贈ります」と
MCで言ってくださった。
まるで父のことを知っているようにそう言ってくださって、
本当に、感無量だった。


本番では緊張してバリバリになっていたけど、
心を込めて、その方の声と自分の楽器の音が重なる感動に
酔いしれながら演奏した。
本当に本当に光栄な時間だった。
昔の自分が、ゴールテープを切る瞬間を見たような、
今の自分がバトンを受け取ったような
そんな気持ちになった。


今回のことも含めて、私はいま、過去の自分の経験の
洗い直し作業をしている気がする。
父が亡くなって灰がかぶってしまったことを
少しずつ受け止め直している。
自分は幸せに生きてきた、と次世代にはっきり
言い切れるようになりたいから。
少しずつでも、そうなっていきたい。


(※このアーティストのご希望により、誰か分かっても

 名前を書くことはお控えいただければと思います。)