遺跡内部へと足を進めた姫璃香とコウの視線の先には『本当に此処は遺跡か?』と思える位の景色が広がっていた。


その景色とは……



「うわぁ♪凄~い♪」
「確かに…とても遺跡内部とは思えない光景ですね♪」

「コウもそう思う?」
「ええ♪太陽光の届いていない筈の遺跡内部に、まさかこんなに綺麗に【天精華】と
【魔精華】が同時に咲き乱れているなんて誰が想像出来ます?」

「思わないわね♪(笑)」
「でしょう?(笑)」



2人の目の前には、2種類の花が咲き乱れている。
その様子は神々しくも有り、妖艶な綺麗さを醸し出していた。








【天精華】
遥か古<イニシエ>の時代に天使が人類に伝えたとされる神々しいオーラを放つ不思議な花。

【魔精華】
天精華と同様に、遥か古<イニシエ>の時代に魔族が人類に伝えたとされる妖艶なオーラを放つ不思議な花。

どちらも見た目以上の事は分からず、どんな解析装置を以てしてもどういった花なのか不明である。
「さあ、行くわよ♪」
「了解です♪」


2人はテンションをあげながらその場所に向かった。












「さっきは遠目で分からなかったけど、近くまで来ると意外に大きいわね…」
「そうですね…」


2人は探していた場所に着いたのだが、予想外の大きさに感嘆の声をあげていた。
見上げているのは過去の遺産【遺跡】だった。

只、何故遺跡を探していたかは未だ秘密らしく詳細は分かっていない。




「姫璃香さん、とりあえず先に進みましょう」
「そうしますか♪」


遺跡の大きさに呆けていた2人だが、気を取り直して遺跡内部へ進む事にした。

















.
コウが指差す方を向いた姫璃香は目を輝かせながら叫んだ。


「キャー!!アレよアレ!!」


姫璃香はコウの背中をバシバシ叩きながらハシャぐ。


「コフッ…痛いですよ姫璃香さん」


叩かれたコウは少しむせながら姫璃香に抗議するが…


「まぁ、良いじゃない♪」


目的の物を見付た事でテンションがうなぎ昇りの姫璃香に軽く流される。

【†遺跡†】


山中に広がる森の中、何かを探す2人の人影が在った。





「姫璃香さん、そっちはどうですか?」
「ん~まだ見付かんない…コウの方は?」

「まだです…
そう簡単には見付かりませんか……ん?」


コウは姫璃香に何も発見して無い事を告げるが、直後に何かが視界に入った為、動きを止めてその方向を見て指差した。


「姫璃香さん、アレ何でしょう?」
「ん、どれどれ?」


姫璃香はコウの指差す方向を見てみた。


「キャー、アレよアレ♪コウやるじゃない♪」


姫璃香はコウの背中をバシバシ叩きながら褒める。


「ゴフッ…アレが探していた入口ですか……ケホッ」
「そうよ♪」


姫璃香は「嬉しさの余りイッちゃいそう…」とか何とか言っていたが、コウは聞いて無いことにした。

【プロローグ】


プラネット暦352年…
人類は銀河系の2/3を統べる迄になっていた。

星々の間を縫う様に進む
『惑星間連絡船(通称:シップ)』や、様々な種族が共同で立ち上げた『銀河統一政府』(通称:銀河政府)などが有り、人類の新たな繁栄をもたらしていた。





【赴任】


~~♪~♪

お客様にお知らせ致します。
当機は間も無く、惑星『ヤハウェイ』に到着致します。
惑星間連絡船【ノア】を御利用頂き、誠にありがとうございます。

当機は間も無く、惑星『ヤハウェイ』に到着致します。
お忘れ物等無き様、お気を付けて降機願います。


当機は間も無く、惑星『ヤハウェイ』に到着致します。


~~♪~♪







ドサッ


見た目より重いのか、重量物を置いた時の様な音を立てて荷物が置かれる。


「フゥ…確か迎えが来るって聞いてたんだけど、何処に居るのかしら?」


女性は辺りを見回しながら呟いた。


「居ないわね……ん?」



女性は何かに気付いたのか、視線をその方向に固定する。


「すみませ~ん!!遅くなって申し訳ありません!!」


「先程到着したばかりですよ?…クスッ」

「いえ、お迎えに遅れたのは事実ですから…
ヤハウェイ政府第3席の【アレン=F=ストライド】です宜しくお願いします」

「出迎えご苦労様、今回の赴任でヤハウェイ政府主席に成りました【スノウ=T=桜】です宜しくね♪…ニコッ」

「はっ…ハィ、宜しくお願いします
では、こちらです」


アレンは一瞬スノウに見惚れてしまったが、慌てて返事を返しスノウを連れて送迎車に向かった。

その際、スノウは頭上に『?』を浮かべ、アレンを不思議そうに見ていたが、アレンの案内に黙って付いて行った。















ズガアァァァン!!


アレンがスノウを連れ送迎車の有る宙港出口へ向かっている時、出口近くのカフェバーが爆音と共に吹っ飛んだ。


「!?…アレン、宙港封鎖並びに増援を!!」


「了解しました」



アレンは無線で増援依頼後、近くのインフォメーション・カウンターに行き宙港の責任者を呼び出していた。

スノウはアレンに指示を出した後、爆発の有ったカフェバーに近寄り現場保存の為、一般人を近付け無い様にしていた。



5分もすると宙港の警備局の者と思われる集団がやって来た。


「おい!!其処の女、何をしている?」


「ん?私の事ですか?」



些か横柄な態度を取る警備局員?にスノウはそんな態度を軽く流し聞き返していた。


「女、お前以外に誰が居る?」


「ふ~ん、それで何か用ですか?」


スノウの若干挑発じみた返しに男は眉間に皺を寄せるも、職務に全うなのか淡々と質問を進めた。


「其処で何をしているのか聞いている」


「ん~、現場保存?」

「何で疑問系なんだ?」


「さぁ?…クスッ♪」

「まぁ良い、此処は我々に任せて退いてくれないか?」


「嫌です!!」

「…は?」


スノウが拒否した瞬間男は凍り付いた様に固まり、口をパクパクしていた…
何とか自我を取り戻した男は自分の聞き間違いかと思い聞き返す。


「ね…念の為、もう一度聞く、此処は我々に任せて退いてくれないか?」


「い・や!!」

「理由は何だ?…」


「理由ですか?」

「あぁ…」


「それは…」

「それは?」


「私が、此の惑星『ヤハウェイ』の政府主席だからです♪」




スノウは満面の笑みを浮かべ『ビシッ』っと音でも出そうな位の勢いで、男を指差して言い放った。



「そうか…その主席様が……ん?主席?














ええぇぇぇ!?












ちょっ!?主席!?ええぇぇぇ」


男は絡んだ相手が惑星政府のトップと知り軽くパニクっており、男の後ろに控えていた他の局員達も

同じ状態であった。

そこへ作業が一段落したアレンが近付きスノウへ問い掛けた。


「スノウ主席、何ですかこのカオスは?」


スノウはアレンに先程の事をそのまま伝えた。


「ハァ…馬鹿ですね、この人達」



アレンは警備局員に対し呆れていた。


その後、何とかカオス状態を収めたアレンは警備局員に政府からの増援が来るまで
『現場保存』『一般人避難』の指示を出して、スノウを連れ宙港を後にした。









「アレン、現場を彼等に任せても良かったの?」


「大丈夫ですよ主席、何か有れば連絡が来る様にして有りますから」

「なら良いけど…」


「それよりも主席、政府に到着したら次席に逢って頂きます、その後の予定については秘書が付きますので

秘書にお尋ね下さい」

「ん、分かった」


暫くの間沈黙が続いたが、アレンに依ってその沈黙は破られる。


「主席、主席は何故この職務を受けたのですか?」


「ん、何でそんな質問するのかな?」

「何でって、『ヤハウェイの主席』は常に命の危険に晒されるんですよ?
それを貴女の様な女性が成らなくても…」


スノウは目を見開き驚いた様だったが、直ぐに優しい眼差しをしてアレンに聞き返していた。


「アレン…貴方、私に惚れた?…クスッ♪」

「ちょっ!?」


「クスクス♪…ごめんなさい、貴方が可愛らしかったから少しからかっただけよ」


スノウに軽くあしらわれた感が残るが、アレンはこんなやり取りも悪く無いと思っていた。
だが、そんな気持ちを簡単に面に出せる筈も無く、照れ隠しの行動に出るのだった。


「主席!!」


「な…何よ、ちょっとからかっただけじゃない…」


スノウはアレンに叱られたと思い、頬を膨らませ拗ねていた。


「主席は簡単そうに言ってますけど、前任までの主席達も常に危険に晒され続けて、

中には精神的に壊れてしまった人も居るんですよ?」


「ぶぅ~」

「頬を膨らませたって何も変わりませんよ?貴女がそんなんじゃ先々心配でたまりません!!
決めました、今日から貴女の護衛は僕がします!!」

「……………」


アレンの突然の行動にスノウは呆気に取られてしまっていた。


「アレン…」


「何ですか?」

「護衛って事は部屋まで来るのよね?」

「部屋の中に入るかは主席次第ですが、部屋の入口までは御一緒ですよ」

「そっか…」


スノウはそれっきり惑星政府に着くまで沈黙したままだった。

30分程経った頃、惑星政府に着いた。


プシュー


送迎車の扉が開くと、アレンが先に降り、スノウをエスコートする様に手を差し出した。

スノウは差し出された手を見て一瞬キョトンとした表情をしたが、直ぐにニコッと微笑んで

「ありがとう」とだけ呟いた。

スノウは送迎車を降りると、早速次席官執務室へ向かった。
アレンも慌てて付いて行こうとするが、スノウの荷物が思いの外重い為、なかなか進めないでいた。


「重っ!!…(この荷物、何入ってるんだ?…)」



















スノウは今、アレンに連れられ次席官執務室の前に来ていた。


コンコンコン


「どうぞ…」


部屋から入室を促す返事が来た為、アレン・スノウの順番で執務室に入る。


「アレンです、スノウ主席をお連れしました」


「ん…」


スノウは執務室に入った瞬間絶句した。

通常ならば『片付いた部屋』か、逆に『未処理の書類の山だらけの部屋』を想像するだろうが、

この次席官は通常の左斜め上をいっていた。

次席官は椅子に座っているのだが、その格好や状況が余りにも変なのだ。




・足元は氷水がタップリの『金盥<カナダライ>』

・執務用の机の上には器から溢れんばかりの量が乗った『かき氷』(イチゴミルク味)

・頭の上に『氷嚢<ヒョウノウ>』

・右手に『ドリンク剤』

・左手に『タオル』(キャラクター物)

・服装は執務室にも拘<カカ>わらず『パジャマ』(水玉模様)


だった。




「紗耶香さん、【スノウ=T=桜】主席をお連れしました」

「ご…苦労…様……」


「只今、ご紹介に預かりました【スノウ=T=桜】です
【紗耶香=T=桐島】次席ですね?と、いうか…その格好はどうされたのですか?」

「あ゛ぁ゛~ずびばぜん風邪びぃぢゃっで……
熱が下がらなないのに仕事はやらなぐぢゃならなぐで……ズズッ」

「分かりました、紗耶香次席は只今より休暇を取って下さい
アレン3席、紗耶香次席の仕事は私が引き継ぎます。

これは命令です、良いですね?ニコッ」

「了解しました」

「ズノウ主席、あ゛りがどうございばずぅ~…ズビッ」


「紗耶香さん、動けますか?」


「ずびばぜん、無理っぽいでず…」

「アレン、彼女を直ぐに医務室へ連れて行って下さい」


「はい!!紗耶香さん失礼します」


「に゛ゃ!?」


紗耶香は猫が尻尾を踏まれた時の様な奇声をあげたが、アレンは気にせず紗耶香をお姫様抱っこすると、速やかに医務室へと向かった。









「大丈夫でしょうか?……」


1人部屋に残ったスノウは紗耶香を心配して呟いていた。