Simple is natural-自由と民主主知をもうやめる

世界金融恐慌以前の問題で、常日頃、思っていたことの多くが
この本で説明されていた。
思い、感じることは多くてもそれを言葉で、しかも説得力をもって
伝えることって難しいので(これくらい複雑な世の中ともなると)
佐伯啓思氏の器量には恐れ入る。
と同時に、自分の考えていたこともそれほど筋違いではないのだと嬉しくなった。

題名だけ読むと、何が始まるのか!?と少々おどろくかも。
たまたま、知り合いにあって「何を読んでいるの?」と聞かれ、
この本を見せたら、「すごいものよんでるね。」とびっくりされた。

「自由」と「民主主義」自体を否定する内容ではないです。
何を持って「自由」を「自由」とし、「民主主義」とするか。
今までの歴史の流れにまったく疑問を持たずにいると、そんなことは考えることもない。
読むことで内容の深さを自身が感じなければ、著者の言わんとすることは理解できない。

日本とはどういう国であろうとしたいのか、これからどう国を立て直していこうとするのか、
根本的に抜け落ちているところを、かなりはっきりと指摘しています。
国の文化・思想というものをこれからはっきり示すことができなければ、
世界各国との対等な関係づくりは難しくなるかもしれない、という示唆もごもっとも。

読み終わってから、「2008年正論大賞受賞」となった講演会の記録を元に執筆されたことを知りました。
正論大賞、というものがあることも初めて知ったけれど、
この本の言い分が、「正論」として認められたことに溜飲が下がります。
みな、そう感じてはいるけれど、どうそれを行動に示していいのかがわからない。
それくらい、日本の文化・思想というものはマニュアル化とは程遠いニュアンスで成り立っているものだと
改めて感じました。