昔、英国の銀行の東京支店で為替ディーリング業務に従事していた頃、私は業務の一端で『ロイター』という情報提供会社のスクリーンに出す東京市場の概況を英語で書いていました。東京市場が閉まる頃にロンドン市場が開くので、ロンドン本社のスタッフへの引き継ぎと銀行のお客様への情報として、その日の東京時間の為替市場がどんな動きだったのかを伝えるため、簡潔なマーケット・コメントを提供していたんです。

ある日の夕方、私がコメントを書き終えた後、欧州市場の動向を見るべく為替情報配信を専門とする他社のスクリーンを見ていたら、その日に私が書いたコメントと、全く同じコメントが掲載されていました。その会社は私が書いたコメントを、そっくりそのまま自社スクリーンに転載していたのです。英語への苦手意識が強い私は、英国の他社に自分の英語で書いたコメントがパクられたことに気を良くし、ロンドンの英国人スタッフに「見て、見て、私のコメントがパクられてるの」と知らせました。


するとロンドンの英国人同僚は即座に為替ディーリング部門のヘッドに報告し、私が勤めていた銀行から、パクった為替情報配信会社に公式な抗議が申し入れられました。そして何日か後、パクった情報配信会社のスクリーンに、「XX年○月×日の東京市場概況コメントは(私が当時勤めていた)XX銀行によるコメントでした」という正式な謝罪文が掲載されました。


英語音痴で英語は大の苦手の私でも、
英作文が出来るという意外な評価を受けることがあります。私は密かに、英作文が出来るのは、英文法をたたき込まれているからではないかと思うのですが・・・。

例えば、ご存知のようにアメリカを始めとする英語圏での学校に留学したい人たちの外国語としての英語のレベルを計測する試験、TOEFL(Test of English as a Foreign Language)があります。今はどうだか知りませんが、その昔、私が留学を志した頃、TOEFLで、英作文能力を試すためのセクションが試験的に設けられました。そして、その回の受検者の中で私は、「英作文」セクションで唯一満点を取り、スコアが突出していたので一瞬目を疑いましたが、トップとなりました。


自慢するわけでも謙遜するわけでもありませんが、それが英語表現として特別上手だったとか、素晴らしい語彙を使ってとびきり印象的な文章だった、のではありません。ただ、私の書いた英語が、
文法的に正しくて間違いがなく、意味は通じるで、減点されなかったのだと思います。やはり同じTOEFLで、文法セクションはいつも満点だったので、減点法で採点する日本の大学受験の時に身に付けた正しい文法が役に立ったんだと思います。

また、ビジネス・スクール時代には、宿題や試験の要点を解説する際に、生徒の出したものがサンプル・アンサーとして授業で使われ、私の解答も何度か採用されました。別に私の解答が、並いる英語ネイティブ学生の解答より優れていたのではないでしょうが、
「読むに耐える」文章だったから使われたんでしょう。英語のネイティブ・スピーカーって、要点は伝わるけど文法の正確さに無頓着だったりしますもんねぇ・・・。

だからやっぱり、文法をきっちり押さえていることが大事なんですねぇ・・・。大学受験の時、独創性とか理解力では差別化が出来ず、簡単なことを間違えないで早くやる
「緻密さ」が合否を分けるんだと実感したことを思い出します・・・。


普段はおっちょこちょいでガサツな私ですが、思わぬところで結構、緻密だったりして・・・???