移植3日前に放射線全身照射

(TBI)を開始。

 

移植が決まり、

私が一番恐れていたのがこの治療だ。

 

自分で血液を作れなくなるほどの

放射線を全身に照射する。

造血幹細胞移植をせず

放っておけば数日で死に至る。

後には戻れないのだ。

 

我が子をそういう状態にさせる。

それだけで怖かった。

 

TBIは午前と午後の1日2回を3日間。

 

『全身から焦げた匂いがする』

『一切笑わなくなった』

『表情がなくなった』

等の経験談を聞いていたので

どうなるのかとても不安だった。

でも小さい子は案外ケロッとしている

というのも聞いたので

長男は大丈夫かもしれないとも思った。

 

1日目

朝7時45分放射線科へ行き

位置決めをして薬で長男を眠らせる。

長男を残し全員が部屋の外へ出る。

照射が開始される。

ベッドを回転させて

反対側にもじっくり照射。

全部で1時間弱。

その間私は照射部屋の側にある

椅子に座り必死に涙をこらえた。

病名告知以来の辛さだった。

 

長男は病室へ戻っても1時間ほど寝続けた。

起きた後は遊ぼう!となったけど

やはりしんどいのか横になって

ウノやトランプをした。

 

2回目は15時から。

朝と同じことを繰り返す。

でも今回は鎮静の薬が効いてないのか

目をうっすら開けている。

そして酸素飽和度が低い、80台だ。

酸素マスクをしているがなかなか上がらない。

でもそのまま全員外に出た。

大丈夫だろうか、不安がよぎる。

担当医に聞いてみる

 

「目を開けてましたけど動いたりしないですか?」

 

「開いてましたけど薬で動いたりはできませんよ」

 

照射中部屋から声がワーワー聞こえる。

部屋を見る窓とモニターは先生たちが

チェックしてるけど私のところからは見えない。

放科の先生がマイクで長男を

なだめる声が聞こえてくる。

反対側の照射前に

部屋へ入り鎮静の薬を足す。

それでもやっぱり目が開いている。

 

大丈夫なんだろうか・・・

放射線全身照射とはいうが

当たっちゃいけないところには

鉛を置いてガードする。

ただその鉛がものすごく小さい。

当たり前だ、もし鉛が大きければ

放射線が照射できない範囲が増え

リスクが高まる。

なるべく小さく大事な場所のみガード、

そういうことだろう。

だから照射前にしっかり位置決めして

鎮静をかけて開始する。

でも動いてちゃ意味がない・・・

 

長男には動いちゃダメだと

強く言い聞かせた。

でも薬が入った状態で言うことを

ちゃんと聞けるかどうか・・・

 

全員が部屋から出て

照射が始まる・・・前から

ワーワー言ってる!

 

大丈夫かよ・・・

 

2日目、3日目も鎮静は

薬を追加するがあまり効かなかった。

 

※長男は鎮静が効きにくく

薬を入れるとすぐに酸素が下がるので

マルクなど毎回薬の量の調整が難しかった。