1・なぜ水分が大切なのか
人間のカラダは性別や年齢で差はありますが、ほとんどが水でできています。
胎児では体重の約90パーセント、新生児では約80パーセント、
子どもでは約70パーセント、成人では約60~65パーセント、
老人では50~55パーセントを水が占めています。
体内から水分(血液)がなくなってしまえば、それは死を意味することになるのです。
なぜなら、水分(血液)で60兆個の細胞に酸素と栄養を送り届けているからです。
ところで、なぜ、成長するにしたがって水分の割合が減ってしまうのでしょうか?
それは、生きるために必要な脂肪がカラダについてくるからで、
その脂肪の分だけ水の割合が少なくなるのです。
成人の水分量は60~65パーセントと前述しましたが、
これを男女に分けてみると、女性のほうが水分量の割合が低くなっています。
これは一般的に男性より女性のほうが、脂肪が多いからです。
また、成人と老人を比べると、老人の水分量はさらに少なくなります。
この違いは脂肪の多い少ないだけではなく、細胞内の水分の低下が原因です。
筋肉が衰えるのと同様に、細胞内の水分が減っていくのは、
老化現象のひとつだと考えられています。
まさに老化とは、ブドウが干しブドウになるような感じです。
また、水分は私たちのカラダの代謝を司る酵素を活性するのに
なくてはならない物なのです。
なので、水分がなくなると酵素が働かなくなり、
カラダの機能が正しく働かなくなるので病気にもなりやすくなるのです。
脱水状態とはまさに機能が正しく働かなくなる状態です。
2・正しい水分補給
先にも書きましたが、私たちのカラダは成人で
体重の約60~65パーセントが水分で構成されています。
この水分の働きで、栄養素や代謝物の運搬、体温の調節などが行われ、
生命の機能が保たれています。
健康を維持するのに毎日水分補給をする必要があるのは、このためです。
人間のカラダが1日に排出する水分の量を合計すると、
約2.3リットルにもなります。
おもな排出分は、不感蒸泄(皮膚や呼吸を通して水分が失われていること)
として約1リットル、尿や便として約1.3リットル。
健康な人は、1日の排出量とほぼ同じ約2.3リットルの水分を
飲食物から補給する必要があります。
平均的な食事で約0.6リットル、食べ物を分解して
エネルギーを得る際にさらに0.2リットルの水分を摂取できるますので、
残りの約 1.5リットルを飲料水から摂取することになります。
この摂取量と排出量のバランスがくずれると、さまざまな症状があらわれるのです。
水分が不足すると、脱水症や熱中症の原因になることはよく知られています。
また、過剰に摂取した場合、水中毒という症状が引き起こされ、
内臓に負担がかかり、カラダがだるくなったり消化不良を起こしたりすることがあります。
特に一度に大量の水を摂取しないよう注意が必要です。
これは人間に限った事ではありません。
植物も一度に大量の水を与えると根ぐされをおこします。
全ての事に言える事ですが、どんなに良い物でも、ことでも、~過ぎは良くありません。
水分補給の方法は、一気にたくさん飲むのではなく、
1回コップ1杯程度(150~250ミリリットル)の量の水を1日に6~8回飲み、
1日の必要量(約1.5リットル)を補給するというものが挙げられます。
朝起きたとき、通勤で歩いたあと、スポーツをするとき、
入浴前後、就寝前などにこまめに水分を摂れば、
水分不足に陥ることなく、また水分の摂りすぎでカラダに負担をかけることもなく、
疲労回復や健康維持に役立てられます。
ちなみに食事中はあまり多くの水分を摂ると消化能力が低下しますので、
食事の前30分ぐらいまでに水分補給をしておき、
食事中は食事に含まれる水分を補う程度が良いです。
現代は、火を使い水分がなくなっている食事が中心ですので
食事中に水分を摂らないと食べづらいかも知れませんね。
(その際も最低限にしましょう)
3・水分の摂取方法
1)朝起きたとき
朝起きたとき私たちのカラダは、寝ている間に皮膚や呼吸を通して水分を失い、
水分不足に陥っている状態です。
血液濃度も高く(ドロドロ)なっているため、朝一番の水分補給は重要です。
2)スポーツをするとき
一昔前は、運動中に水分をとると疲労が増すと言われていました。
しかし運動中には大量の汗をかき、水分はもちろん
ミネラルもカラダから失われてしまいます。
体重の2%の水分を失うと軽い脱水症状に陥り、
動作反応の低下や食欲喪失などの症状があらわれます。
適切に水分補給をしないと、熱中症や熱けいれんを引き起こしかねません。
こまめにミネラルを含んだ水分を摂取する事が有効です。
3)入浴前後
入浴による発汗で、私たちのカラダは水分を失います。
そのため、入浴前後にはミネラルを含んだ水分補給をすることが大切です。
長湯の方や、サウナに入る方は、失う水分を想定して
入浴前に水分を摂る事も大事です。
4)就寝前
朝起きたときと同じように、就寝前の水分補給も大切です。
睡眠中に失う水分を想定して、コップ一杯の水分を摂る事が重要です。
※コップ一杯の水分摂取があなたのカラダを元気にします。
3・体内での水分の役割
私たち人間の体は、胎児で体重の約90パーセント、
新生児で約80パーセント、子どもで約70パーセント、
成人では約60~65パーセント、
老人では50~55パーセントが水で満たされています。
この体内の水分は、どのような働きをしているのでしょうか。
体内の水分は、大きく細胞内液と細胞外液に分けられます。
細胞内に存在する細胞内液は、体内水分の約3分の2を占めています。
一方、残りの3分の1である細胞外液は、
体内を循環する血液とリンパ液、
細胞と細胞の間に存在する細胞間液に分けられます。
血液は、カラダの隅々まで酸素、栄養、ホルモンなどを運ぶ
重要な役割を担っていると同時に、老廃物や過剰な物質を運び出し、
体外に排泄するという大切な働きをしています。
その血液の半分以上は血漿(けっしょう)という液体です。
そして、血漿のほとんどが水でできています(血漿の水分は91パーセント)。
血漿にはナトリウムイオン、塩化物イオン、タンパク質など
さまざまな成分が溶けていて、カラダに必要な栄養や酸素は、
この水分にのせて運ばれているのです。
また、体内のすべての血液は、循環の過程で腎臓を通過し、クリーニングされています。
このクリーニングがおこなわれなければ、体内に老廃物が溜まってしまうのです。
腎臓は、血液の中の不要物を多量の水(1日に170~180リットル)とともにろ過し、
その後まだ必要なものと水分を再び吸収し、
残った不要物と水分を尿として膀胱へ送っています。
成人で健康な人の平均的な1日の排尿量は、約1.2リットル。
最低でも500ミリリットルの尿を排泄しないと
老廃物(新陳代謝など多くの生化学反応の後に出る体に不要な成分および有害物質)
を出し切ることができないと言われています。
腎臓はまた、体内の水分調節にも一役買っています。
水分の補給が少なければ尿を濃縮し水の排出を減らし、
多ければ尿の量を増やして余分な水分を放出し、
体内水分量のバランスをキープしているのです。
また、体内の水分は、体温を調節する上で大切な役割を持っています。
私たちの平熱は36~37度ですが、体温が2度でも上がると体調を崩します。
このように体温の調節というのは、人が生命を維持する上でとても大切な機能なのです。
例えば汗をかくことは、体温を一定に保つための重要なシステムです。
水は蒸発するときに熱を奪う性質を持っており
(気化熱:水1ミリリットルあたり約0.6キロカロリー)、
汗をかいたときにこれが利用されます。
つまり、皮膚から汗が蒸発するときに熱が奪われるため、
皮膚表面の温度が下がるのです。
夏に気温が上昇したときや、運動をして身体温度が高くなったときなどに
汗をかくのはこのためです。
こうして、体温の上昇を防いでいます。
<カラダの中の不要な熱>
人間は皮膚から600ミリリットル、呼気から400ミリリットル、
無意識のうちに蒸気の形で水を排泄しています。
これは、代謝活動の結果発生した余分な熱を、
水の気化熱にかえて蒸気として外へ出しているということです。
つまり水は、余分な捨てるべき熱を受け取り、外へ運び出す役割をしているのです。
4・どういう水が必要なの
「清ければ魚棲まず」 という言葉がありますが、
キレイな水がカラダに良いと言う訳ではないのです。
和歌山県紀伊半島の山間の集落に「牟婁病=むろ病」という
不思議な病気があることは、昔から知られていました。
この病気になると、脳と脊髄の働きが失われるため、
手足の筋肉が次第に萎縮し、力がなくなり、
胸部の呼吸筋や食物を飲み込むのに必要な筋肉まで
動かなくなって衰弱します。
そして、この病気の治療法はありません。
和歌山県立医科大学のグループ(木村名誉教授たち)は、
この恐ろしい神経病の原因をはっきりさせるため、
この地方に出張した折、ここを流れる古座川の
「水が水晶のように澄んでいる」のに驚いたといいます。
「水清ければ魚棲まず」ということわざがあるよう、
実際、古座川には、その時、魚の姿が見られませんでした。
この病気は、神経学的に「筋萎縮性側索硬化症」といい、
脳と脊髄の変性を起こす病気でした。
世界的に見て、紀伊半島はこの病気の発生率が最も高い地域だったのです。
かつて中国の指導者として君臨した「毛沢東」も
晩年には、この病気で苦しみ他界しました。
紀伊半島の場合は、工場の廃棄した毒性物質が病気を引き起こしたというのではなく、
古座川の水があまりにも美しく澄んでいて、
化学的には「純水」に近く「カルシウム」が足りないことが問題と判明しました。
化学的にきれいな純水であっても、
生物(生命体)はミネラル成分を含まない水を長い間利用し続けると、
恐ろしい病気になるという事例です。
きれいな水=純水という言葉は、とても耳触りが良いですが、
純水は生命体に調和しない水なのです。
現在は、交通も便利になって、カルシウムを含む食品が自由に入手できるので、
川水の中にカルシウムが少なくても摂取する方法はいくらでもあります。
ですので、カルシウム欠乏を起こすことはありません。
しかし、他の地方との往来の少なかった時代には、
川水や井戸水の中にカルシウムが少ないと、その水で栽培した農作物、
その水で育った草を食べた家畜までがカルシウムの欠乏に陥り、
食べる物すべてにカルシウムが少なくなってしまうことが珍しくなかったと考えられます。
ミネラル成分は、水分から摂取するだけでは十分ではありません。
きちんとした食事から摂取することが基本なのです。
私たち人間(ヒト)は、体内に海を持っていると表現されますが、
海水と羊水との成分を比較すると、下表のようになります。
成分名称 |
水分(%) |
固形成分(%) |
化学成分(mg/L=ppm) |
|||||
|
|
|
Cl- |
Na+ |
Mg2+ |
S2+ |
Ca2+ |
K+ |
海水 |
96,5 |
3,5 |
19,000 |
10,500 |
1,300 |
884 |
400 |
380 |
羊水 |
約98 |
約2 |
3,700 |
3,000 |
20 |
|
80 |
150 |
ミネラル成分(金属イオン群)の体内での働き
1.細胞内外の浸透圧の調整をする。
細胞外液にはNa+(ナトリウムイオン)が多く、
細胞内液にはK+(カリウムイオン)が多く存在していて、
細胞膜内外のバランスを取っています。
病態の人は、このバランスが崩れています。
赤血球を純水にさらすと、浸透圧の調整ができず、破裂してしまいます。
また、純水中に金魚を入れると、たちまち死亡します。
Ca2+(カルシウムイオン)が不足すると、神経系に悪影響を及ぼし、
イライラ感が募り暴力的になり、
人間が長期間に渡りミネラル成分のない純水を飲用すると、
内臓疾患を引き起こすのです。
2.ミネラル成分は体内酵素を働かせる触媒
私たちの体内には無数の酵素が準備されていて、
食事の分解、消化、吸収を助けたり、老化を防いだりしていますが、
酵素は水のある場所で働く事を知らない人がほとんどです。
ちなみに以下のような事実があります。
「実験してみたら逆浸透(RO)膜型浄水器で作った純水中での酵素の力は、
ミネラル成分がないので、東京都の水道水に比較して3分の1しか発揮しなかった。
体内酵素の働きの低い人は、体力・免疫力が弱く、O-157などに感染しやすくなる。」
と言うことです。
元気でいるには、バランスの良いミネラルを含む水の摂取が必要なのです。
ミネラルの必要性を改めて知る事実
逆浸透(RO)膜型浄水器による純水
この型の浄水器が多用され始めたのは、ベトナム戦争の時以来でした。
米軍は、ベトナムのジャングルに入り込む海兵隊に
小型の逆浸透膜型浄水器を携帯させました。
兵隊たちは、泥水を濾過して飲む必要があったからです。
マニュアルには、
「泥水を浄化した後の水には、ミネラルの錠剤を溶かして飲みなさい」
と書かれていたそうです。
それは、ミネラル成分のない水を飲み続けると、
健康に悪い(内臓疾患の原因になる)からです。
記憶に新しい湾岸戦争の時には、
米兵たちはペットボトルの水(ミネラルウォーター)を持参しました。
米兵たちがボトルウォーターを飲んでいるシーンが
テレビで放映されたことを覚えている方も多いはずです。。
中国大陸の場合は、水が悪いので、ホテルでは各部屋に毎朝湯冷ましを用意してくれます。
水が悪いと言う背景から、中国では、
米国製の逆浸透膜型の浄水器による純水ブームが1998年の夏まで続いておりました。
しかし、健康に悪いことが判明したことから、
上海市の政府は、1998年の8月以後、
公共の施設(幼稚園、小学校、中学校など)での「使用禁止」の通達を出しました。
私達のカラダに必要な水分とは、バランス良くミネラル分が含まれている水分なのです。
本来、この水分は野菜や果物に含まれていたのですが、
現代の野菜、果物は作り方が変わり、
ほとんどと言ってよいほどミネラル他の栄養素は含まれていません。
ミネラルをバランスよく含んだ水分を摂る事は、
熱中対策はもちろん、生物が生きてく上でなくてはならない条件なのです。