年金改正は5年に1回行われることが慣例になっているようです。
2024年から2025年にかけて、活発な作業、議論、法令化が行われているようです。
頻繁に、(殆ど読んでないけど)新聞、あるいはネットのニュースに登場しているようです。
公式発表、あるいはニュースベースで気になるトピックスと、自分なりの見解をまとめてみたいと思います。
所得税の基礎控除・給与所得控除の引き上げ
ニュースベースでいちばん大きな話題になっているのは所得税の基礎控除と給与所得控除の引き上げだとみられます。
ちまたでは「103万円の壁」の引き上げと言われたり、「176万円への引き上げを~」といわれているやつです。
2024年12月11日、自民党、公明党、国民民主党の3党幹事長会談の合意では、「国民民主党の主張する178万円を目指して来年から引き上げる」(→産経新聞HP)とされているものの、2025年引き上げは、与党案、=政府案では123万円への引き上げとなっています。
細かいことは、税制改正大綱(→リンク)にかかれていますが、中身は2つあり、所得税の(1)給与所得控除の引き上げと(2)基礎控除の引き上げの2つが合わさったものです。
このうち明示されてはいませんが、給与所得控除の最低額を10万円引き上げる(だけ)とのことですから、おおよそ給与所得控除は給与等の収入金額が1,875,000円以上の方には、影響なく、今回の引き上げは事実上無意味になるものと思われます。
また基礎控除は、合計所得金額が 2,350 万円以下である個人の控除額が 10 万円引き上げるとのことです。具体的な改正後の金額は下に記しましたが、例えば私の場合ですと控除額が10万円増えて、所得税額は22462円下がることになります。
(ちょっぴりうれしい)
この減税分は今年に限っては年末調整で戻ってくることになりそうですし、来年以降は毎月の源泉徴収額が減ることで機械的に実現されることになります。
つまり放っておいていいわけですね。
現在の給与所得控除
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
| 1,625,000円まで | 550,000円 |
| 1,625,001円から | 1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
| 1,800,001円から | 3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
| 3,600,001円から | 6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
| 6,600,001円から | 8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
| 8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
おそらくの給与所得控除の改正案
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) | 給与所得控除額 |
| 1,875,000円まで | 650,000円 |
| | | |
| 1,875,001円から | 3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
| 3,600,001円から | 6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
| 6,600,001円から | 8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
| 8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
あらたな基礎控除
基礎控除の額は次のとおりとなる。
イ 合計所得金額が 2,350 万円以下である個人 58 万円
ロ 合計所得金額が 2,350 万円を超え 2,400 万円以下である個人 48 万円
ハ 合計所得金額が 2,400 万円を超え 2,450 万円以下である個人 32 万円
ニ 合計所得金額が 2,450 万円を超え 2,500 万円以下である個人 16 万円
在職老齢年金の支給停止調整額の引き上げ
在職老齢年金制度とは、年金とそのときの賃金の合計が一定額を超えると年金が減額される制度です。
同じ年金保険料を払い続けても、ただ厚生年金加入事業所で働いているというだけで減額される(ことがある)という不理屈な制度です。減額された年金は後日帰ってくることもありません。
もう少し詳細を書けば、年金をもらう額である老齢厚生年金の基本月額と、おおよそのボーナスを含めた年収の12分の1となる総報酬月額相当額の合計が支給停止調整額(令和6年度基準だと50万円)を超えると超えた部分の半分が減額されるという仕組みです。
なお、今回の年金改革とは関係ない従前の仕組みとして、令和7年度の支給停止調整額が51万円になることがすでに発表されています。(→厚生労働省)
この基本月額は加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額で、老齢基礎年金や経過的加算額(いわゆる国民年金部分)は含まれません。
また 総報酬月額相当額は、 (その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12
で計算されるので、過去1年間のボーナスが反映されます。特に定年後など給与減額直後は注意が必要です。
さらに70才以上でも 「標準報酬月額」、「標準賞与額」は、それぞれ「標準報酬月額に相当する額」、「標準賞与額に相当する額」として、厚生年金適用事業所に雇用される場合で、通常の労働者の4分の3以上の時間働くなど70才未満だと厚生年金加入者となるような働き方をした場合、同様に適用されます。
(もっと詳細は→日本年金機構HPへ)
さて今回の年金改革では、不理屈な制度を解消しようと厚生労働省では議論が進んでいて、12月の社会保障審議会年金部会の資料(→リンク)では、この支給停止調整額を撤廃、71万円へ引き上げ、62万円に引き上げの3案が議論されて、引き上げの方向は確認されたものの、内容はその後の調整、いわゆる政治決着に委ねられた感じです。引き上げるとバーターとしては財源が必要になるということ。政府としては小さくしたいんでしょうね。
その後、2025年1月には、支給停止調整額を62万円に引き上げる方向で調整中と報道されました。(→例えば、朝日新聞)
62万円に引き上げるとすれば、年間744万円までが支給の停止からはずれることになります。けっこう多くの方には朗報となると思います。
では、具体的に私の場合で計算してみましょう。
60歳3月まで働いた場合の65歳からの報酬比例部分の見込みは164万円です。65才まで働くと183万円の見込みです。基準月額に直すと15万円ほど。
一方、支給停止調整額は62万円に引き上がる見込みなので、支給停止調整額は年額では744万円相当です。この金額と支給停止との差額は561万円となるので、これ以上の年収があると減額が始まります。ちなみに現段階では65才以降働く気はないので、そこは問題ないのですが、年金を繰り上げた場合は関係します。
60才3月(54ヶ月繰り上げ)で支給開始すると、報酬比例部分の年金見込額は129万円です。ですので、615万円を超えると支給停止になります。60才以降の給与見込みは745万円なので、130万円支給停止調整額を超えることになるので、おおよそ65万円減額されることになりそうです。5年とすると325万円。もらう年金の半分がもらえない。となってしまうのです。
繰り上げて受給すると、将来の収入が下がるので、将来の税金や保険料が下がるのですが、さすがに325万円を将来の保険料や税金の減額で取り返すのは難しそうなので、私の環境では、後8年の間にはもう一段の支給停止調整額の引き上げを期待したいところです。