がんで余命3カ月を宣告されている俳優・入川保則(71)が、著書「その時は、笑ってさよなら‐俳優・入川保則 余命半年の生き方」(ワニブックス刊)を25日に発売することが14日、分かった。がんが見つかってからも延命治療を拒否するなど、独特の死生観を持つ入川が死、仕事、家族などについて赤裸々につづった。71年間の思いをたっぷり詰め込んだ入川は「この本が人生の幕です」と“遺言”ともいえる作品の出来栄えに満足している。
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 余命3カ月を宣告されている名脇役が、入魂(にゅうこん)の1冊を書き上げた。「その時は、‐」は死を受け入れる覚悟を決めた入川が「死のあり方」「仕事のあり方」「家族と人生のあり方」「日本のあり方」「映画と芝居」について、思いをつづっている。
 今作を遺言代わりにする覚悟だ。出来栄えに満足する入川は「これからもちょこちょことは仕事がありますが、この本が僕の人生の幕です。いい形で幕を下ろせるので、いまはホッとしています」と穏やかな口調で語った。1人でも多くの人に読んでもらいたいという気持ちは強いそうで、体力の続く限り、全国の主要都市でサイン会を行う計画もあるという。
 3月のがん告白会見を見た出版社から企画が持ち込まれ、約3カ月かけて書き上げた。戦争体験に始まる独特の死生観や、どのようにして死を寛容に受け入れるようになったかといった重い部分は読みごたえ十分。一方で、“バツ3”と失敗続きだった結婚生活や、お経まですでに自身で録音した“自分葬”の準備の様子まで盛り込まれた。巻末には3月2日、都内の喫茶店で行った本紙の取材から始まる“がん告白”以降の1カ月の日記も付いている。
 前書きで「この本が出るころには、死んでいても不思議のない人間です」と記している入川だが、まだまだ元気。最後まで笑顔を貫き、その生きざまを見せつける。