周りの人からサポートが得られず、すべてをひとりで抱え込んではいないでしょうか。また、周りの人に協力してもらおうとお願いした「頼みごと」が、実は一方的に周りの人に仕事を押しつけていることになってはいないでしょうか。

思いやりのある頼み方を身につけて、信頼ある人間関係づくりと自分自身の能率アップにつなげましょう。


■相手を活かすポイント

仕事を頼むことで、大きな仕事も効率よくこなすことができます。
しかし、頼み方ひとつで、逆にあなた自身の負担が増えてしまうこともあるのです。
頼み方が雑になってしまうと、情報が誤って伝わったり、やる気を引き出せなかったり、責任感を持ってもらえなかったりします。
頼みごとをうまく伝えられずに、もどかしい想いをした経験が一度はあるのではないでしょうか。

仕事を頼むときに、相手と上手に関わっていくためのポイントとして、次の3つのポイントが重要です。
この3つのポイントを大切にすることで、自分の思いやりが相手に伝わり、相手のやる気を引き出してくれます。

仕事を頼む前【下準備】…相手に何をどこまで伝えるか、頼みたい内容を具体的に整理します。
仕事を頼む時【頼む】…相手がやる気と責任を持って仕事を進められるよう、必要な情報を提示します。
仕事を頼んだ後【フォロー】…長期間よい関係を続けるには、仕事を頼んだあとのフォローが大切です。上手にフォローすることによって、相手のやる気を引き出し、「いきいき」につなげることができます。


■仕事を頼む前の下準備

相手に仕事を頼むには、入念な準備が必要です。
この準備が相手のやる気と努力を引き出し、あなたの期待したとおりの結果に近づけます。
仕事を頼むことが決まったら、下準備として、次の1~5の内容を記入した依頼メモを作成しましょう。
依頼メモを作成することによって、自分が頼みたい事が整理され、相手に情報を正しく伝えることができます。

 

●依頼メモ

①仕事全体の概要…仕事全体における頼みごとの位置づけ。
②具体的な仕事内容…仕事全体のうち、どの部分の仕事をどの程度頼むのかといった具体的な仕事内容。
③頼む相手とその理由…誰に仕事を頼むか、仕事を頼む理由を納得してもらえるような相手の長所。
④期限…いつまで任せればいいか。仕上げればいいか。
⑤必要な資料、材料、情報…仕事を進めるためにはどのような資料、材料、情報が必要か。

①仕事全体の概要
仕事全体における頼みごとの位置づけを明確にします。
一見どんなにつまらない仕事でも、仕事全体における位置づけを示すことで、その仕事の意義と重要性が相手に伝わります。
その結果、相手のやらされ感が減り、貢献意識とかかわり行動(コミットメント)が増えてきます。

 

②具体的な仕事内容
自分が相手に何をどこまで求めているのか、相手の責任の範囲を明示します。
このことにより、あいまいさから生じる相手の不安やストレスを低減させます。

 

③頼む相手とその理由
誰に仕事を頼むか、依頼する相手を決めます。
その際、「きみは仕事がていねいだから」のような長所を含めた一言を考えておくとよいでしょう。
相手は「自分は必要とされている」という自分自身の存在感を確認することができ、やる気が高まります。

 

④期限
いつまで仕事を任せればいいか(仕上げればいいか)期限をあらかじめ設定しておきます。
しかし、実際に頼む際は、おたがいに納得のいく現実的な期限を設定することが大切です。
一方的な設定ではなく、相手が自分で選択し、決める機会を授けることによって、仕事への責任がより上昇します。

 

⑤必要な資料、材料、情報
仕事を進めるためにはどのような資料、材料、情報が必要か整理しておきましょう。
必要なサポートを提供することで、一方的な仕事の押しつけではないことが伝わります。
また、自分の期待した成果に近づけることができます。


■仕事を頼む時の仕事の依頼

たとえ入念な下準備ができていても、一方的に仕事を頼むだけでは、依頼相手のやる気と努力を引き出すことはできません。
責任を持って仕事を仕上げてもらうためには、いくつかの工夫が必要です。
仕事を頼むときのポイントとして次の4つがあげられます。

①直接会って依頼する
②依頼メモの項目をもれなく伝える
③相手の意向を確認する
④最終的な責任は自分にあり、依頼後もサポートする意志を伝える


①直接会って依頼する
メールや電話だけで依頼した場合、「仕事の重要性が低い」「自分は尊重されていない」と認識され、手抜きや反発、不満を招きます。
大事な仕事ほど、直接会って依頼することが重要です。

 

②依頼メモの項目をもれなく伝える
引き受ける側のやる気と努力を引き出すためには、必要な情報を過不足なく伝えることが重要です。

 

③相手の意向を確認する
一方的な押しつけは相手のやる気を損ねます。自己選択、自己決定による納得感が重要です。

 

④最終的な責任は自分にあり、依頼後もサポートする意志を伝える
「頼みっぱなし」「やらせっぱなし」ではないことが伝わり、頼んだ側への信頼感が上昇します。
また、仕事の重要性を確認することにもつながります。


4つのポイントにそって仕事を頼むことで、相手のやらされ感が減り、頼みごとを正しく相手に伝えることができます。


■仕事を頼んだ後のフォロー

仕事は相手に仕事を頼むことで終わりではありません。
「頼んでしまえばこっちのもの」と思っていると、その気持ちは確実に相手に伝わり、自分に対する信頼感は低まります。
長期間よい関係を続けるには、仕事を頼んだあとのフォローも大切です。

フォローを効果的に実行するには、次の4つの手順に従うとよいです。

①仕事の進み具合を確認する
②フィードバックをする
③サポートを提供する
④お礼とねぎらいをする


①仕事の進み具合を確認する
頼んだ仕事がどのくらい進んでいるか、進捗状況を確認しましょう。
ただし、あまりこまめに確認しすぎるとうるさく思われますから、相手の力量に合わせて調節しましょう。

 

②フィードバックをする
仕事の進捗状況や内容に応じて、よい点・改善点をフィードバックしましょう。
まずはよい点を、次に改善点を取り上げます。改善点を指摘する際には、なぜうまくいかないのかという原因追求ではなく、どうしたらうまくいくのかという解決志向の姿勢が相手のやる気を高めます。

 

③サポートを提供する
相手のニーズに応じて適切なサポート(情報 、材料、資料、言葉かけ)を提供しましょう。
相手の望まないサポートはありがた迷惑にしかなりません。
相手のニーズに応じて適切なサポート(情報、材料、資料、言葉かけ)を提供することが重要です。

 

④お礼とねぎらいをする
頼んだ仕事が完了したら、相手に仕事を引き受けてくれたお礼を伝え、それまでの努力をねぎらいましょう。
相手へのねぎらいは、金銭や地位・名誉だけではありません。
相手の努力を認めることも、「自分の努力が報われた」という思いにつながり、十分にねぎらいとなります(心理的報酬)。
その際、できるだけ早く、よい点を具体的にほめることが、相手の満足感を高めます。
このような小さなやりとりが積み重なって、良好な人間関係が保てるのです。


■仕事を上手に頼むことで得られるもの

仕事を頼むことで、頼んだ側は自分の時間を節約し能率アップをはかれるほか、周りの人にマネジメント能力をアピールすることができます。
一方、引き受けた人も、自分の存在意義を確認し(自尊心が向上し)、チームや組織に貢献したことで満足感を得、仕事で必要なスキルを身につけることができます。

このように、仕事を上手に頼むスキルは自分自身の能率アップだけでなく、組織全体の活性化にも役立つといえるでしょう。


■まとめ

最後に、思いやりのある頼み方 についてまとめてみます。

仕事を頼む際は次の仕事を頼む前・仕事を頼む時仕事を頼んだ後が大切です。

 

仕事を頼む前:依頼メモの作成


 ・仕事全体の概要
 ・仕事の内容
 ・頼む相手とその理由
 ・期限
 ・必要な資料・材料・情報

 

仕事を頼む時:仕事の依頼


 ①直接会う
 ②依頼メモの内容を伝える
 ③相手の意向を確認する
 ④サポートの意志を伝える

 

仕事を頼んだあと:フォローの手順


 仕事の進み具合の確認 ⇒ フィードバック ⇒ サポート ⇒ お礼とねぎらい