アメリカの田舎生活は、住宅費などの生活費が低めに抑えられ、都会にはない不便さは時々ありますが、自然が豊かで快適に暮らせます。
しかしアメリカのどこにいてもで生きていくのに避けられないのが、高額な医療費。
私は幸いにも大きな病気はした事はありませんし、入院も出産の時しか経験がありません。
また会社の医療保険もまずまずなので、びっくりするほどの高額負担を強いられた事もありません。
しかし、アメリカでは医療保険未加入の人もいれば、怪我やガンなどの病気、生活習慣からくる病気で、処方箋薬の服用や定期的な通院が必要な方の医療費負担額は大きいと聞きます。
なぜそんな事を書く気になったかといいますと、Hubby(米人の夫です)の90代の祖母が「一切の治療を受けない」という意思表示をしました。
認知症などもなく、歩行がゆっくりな以外、自宅で一人暮らしが普通にできていました。先日までベーコン入りハンバーガーを食べられる食欲もありました。
唯一必要だったのは、数週間おきの輸血。
赤血球を自力で体が作れなくなっているためだとか。
でもこの輸血も、8月半ばから受けるのをやめました。
日本なら、病院やホスピスに入院のレベルだと思うんです。
ただ、この祖母は「お金がかかる治療をしても回復する訳ではない。生きている期間が少し延びるだけ。結婚して70年近く住んできたこの家で死にたい。」と、今年始めに意思表示をし、肉親の同意をもらい、その旨の書類を弁護士と共に作成し、署名をしています。
この話が最初に持ち上がった時、Hubbyは「祖母の家を僕達で買取り、祖母はそのお金でホスピスへ行くのはどうだろう」と私に相談しました。
買い取った家はリノベーションをして、貸し出すか売ればいいので。
私はOKしましたが、祖母がそれを望まなかったようです。
やはり家に愛着があるのですよね。
数日前まではベッドから自力で起き上がれていました。今は、ほぼ寝たきりです。
ホスピスから処方されたモルヒネで苦痛を感じないようにして、寝ています。
親族に何人か看護士がいますので、交代で見守っています。それ以外の私達は食事を届けたりしています。
義母が今日は、お葬式のアレンジメントの相談に葬儀社に行っています。
すでに祖母からお葬式の詳細について指示を受けているので、それを葬儀社に伝えるのだとか。
わが子にとっては曽祖母です。でもお別れの日が近づいています。
受けられる治療があるけれど、もう受けない。受ければ寿命が延びるけれど、もう充分生きたから。お金もかかるから。病院の送迎などで迷惑をかけるから。
というのが祖母の意思。
それをみんなで尊重しています。
でも、考えてしまうんです。
もし日本だったら、祖母はどういう選択をしただろうかと。
国民保険があるから個人負担額がアメリカとは比べ物にならないくらい低い日本だったら、と。
話は少し変わりますが、我が家には祖母宅の庭から移植したユリやラベンダーの花があります。
毎年きれいに花を咲かせます。受け継いだ花を、これからも毎年お世話していきたいと思います。
どのくらいアメリカの医療は高額なのか?去年書いた記事ですが、こちらをどうぞ↓