河合隼雄著「より道 わき道 散歩道」・・・ | モバイルおやじ@curbのブログ

河合隼雄著「より道 わき道 散歩道」・・・

河合隼雄著「より道 わき道 散歩道」

2015年3月20日 第一版第一刷発行

創元こころ文庫

 

<目次>

 まえがき

I 子ども

 

三年寝姫 ほんとうに怖いのは誰か 夏休みの宿題 心と心が通じる体験 私の長所 「甘え」の大切さ

思春期の怖さ 「わかること」と「わからぬこと」

 

II 人間関係

 

「怒り」の意味 長期休暇のすすめ 井戸端会議 素晴らしい王朝時代の男女関係 先住民の知恵

男と女に「永遠の愛」は成立するのか

 

Ⅲ 人生

 

「心」を甘く見すぎぬように 心の病のもつ意味 必ずよくなる ふたつの失敗 いつ泣けるか

女性の生き方 「さあ、やるぞ」 日本人の宗教性 オカルト・ブームの裏側 「我身にたどる」

ボクの個人主義はこれや ケルトのおはなし

 

Ⅳ 本

 

木に登る豚 海外での『源氏物語』フィーバー 司馬遼太郎『花神』 芹沢光治良『教祖様』

竹宮惠子『風と木の詩』 グリム童話はなぜ読まれるのか グリム童話「ラプンツエル」

現代人の生き方のヒント 『源氏』というシンフォニー 「待て、しかして希望せよ」

スイスで出あった日本神話 東洋と西洋が切り結ぶ場

 

Ⅴ 音楽

 

バッハと私 一枚のCD 童話三題 音と心 児童文化と音楽の饗鳴 目に見えない形

物語のなかの音楽

 

Ⅵ 文化・社会

 

日本文化と羊の話 ITとit “のんき型”ボランティアのすすめ 新しい市民大学のあり方

二十一世紀の日本人 多心論 日本人としてのアイデンティティ 日本の心と文化

 

Ⅶ 道草の拾いもの

 

エラノス会議に出席して 現代人とマンダラ 私の夢分析 使うほど豊かになる心

目に見えないもの 爪切り 命に触れる 私の養生術 ナバホ国への旅 謎とき大好き

父の思い出 夕焼け小焼

 

初出一覧

解説 楕円形を描いた人 松家仁之

《河合隼雄セレクション》シリーズによせて 河合俊雄

 

 

これは、著者まえがきにもあるように、新聞や雑誌なそ、あちこちに書いていた最近のものをまとめて本にしたものです。

 

以下、心に残った言葉をいくつか書き留めておきます。

 

“子どもの心が育っていく根本にあるのは、子どもが「安心感」に包まれているということだと思う。”

“子どもに対する「しつけ」も大切である。するべきこと、するべきではないことについて、はっきりと筋を通すこと。しかし、このような「しつけ」も、その底に「甘え」の支えがあってこそ意味があるし、効果的なのである”

 ※これは発達心理学の分野のことですが、むかし土居健郎著「甘えの構造」を読むのを途中で断念した  

  記憶があります。あれは素人が読むというよりは学者向きの本です。

 

“このような実際的な問題に対して、われわれ専門家はどのように対応しているのか。(中略)私の場合で言えば、私は「原因」を探ろうなどどいう気持ちをほとんど持っていない、と言っていいだろう。原因などわからなくても、よくなればいいと思っている。”

 

“一般の人々はどうして「原因」を知りたがるのだろう。(中略)人間は自分の周囲に生じる事象を、それなりに「わかる」ことを必要とする。そして、わからないときには不安を感じるのだ。”

 

“「もの言わぬは腹ふくる」と昔の人が言ったが、やっぱり喋らずにいると、腹に「一物」が溜まってくるのが人間というものではないだろうか。人間は喋ることによって、心の安全を保持している。”

 

“現代人は、自分に与えられた幾つかの人形(側面)を使いながら生きています。それらを巧みに操って、ときには金儲けをし、ときには異性のこころをとらえようとします。しかし、あるときは思いのまま操れることもあるでしょうが、あるときは人形が自分の意に反してあらぬほうに勝手に動いてしまうこともあります。それどころか、かえって人形に自分が操られているのではないかと思えるときさえあるはずです。”

 

“人間は「眼の動物」と言われたりするほど、生活を視覚に頼っている。(中略)この傾向があまりにも強くなると、目に見えないものは実在しないと考えたり、信頼しないということになったりする。現代人はこの傾向が強く、言うなれば、人間全存在としての体験を視覚による体験によって限定してしまっていることが多い。心が知らぬ間に、堅く、狭くなっている。そして、堅く、狭い心ほど傷つき安いのだ。”

 

“自分を信じるというときの「自分(セルフ)」は、通常の自分をはるかに超えたものなので、それを信じるには相当な謙虚さを必要とするのである”

 

 

河合隼雄さんは、すでに17年前の2007年に79歳で亡くなっていますが、残されたたくさんの著作から今も多くの示唆を得ることができます。

 

心理学を学び、それを実業として永く研鑽を積んだ人の言葉というのは、説得力があって学ぶことがたくさんあります。

 

私個人としては、キャリア心理学の日本における草分け的存在の國分康孝さんの著作から多くのことを学んだと感じています。

 

しかし、河合さんの家系はお父さんが歯科医で、子どもがみんな医者や学者というのもすごいですね。

遺伝子レベルで普通の人とは出来が違うんでしょうかね?