梅原 猛著「古事記」増補新版・・・
梅原 猛著「古事記」増補新版
2012年7月24日 初版発行
2012年10月22日 第三刷発行
学研M文庫
<もくじ>
第一章 国生み
第二章 天孫降臨
第三章 異民族との混血
第四章 大和制覇
第五章 国の発展
第六章 国の衰退
古事記に学ぶ
あとがき
古事記論
先日読んだ角川ソフィア文庫「古事記」は2002年の初版発行で、この梅原 猛著「古事記」は2012年が初版。
角川ソフィア文庫「古事記」は「古事記」の全体像を掴むことを主題にして書かれ、本来の内容に基づき序文にも触れて上巻・中巻・下巻に分けて解説されていましたが、ここでは大きく六つの章に分け、主に人物や出来事などの項目毎に細分化し、「古事記」を一つの読物としてより親しみやすく且つわかりやすく著したものになっています。
とは言え、「古事記」自体に変わりはないので、今の日本語にされた内容についてもその表現方法に多少の違いはあってもほぼ相違はありません。
詰まるところ、この本の面白さは、219頁の「古事記に学ぶ」以降にあるように、梅原さんの「古事記」に対する認識、言い換えれば「古事記」を通して古い日本人の思想や宗教を知る手掛かりとし、またこれを文学書としてとらえ直す考えを述べているところでしょう。
そして、これまでどうしても読み解けなかった言葉の解釈についても、アイヌの言葉と関連付けることによって、アイヌがこれら古代人の言葉を倭人から借りたというより倭人がそれらの言葉をアイヌから借りたと考える方がより合理的だと言っています。
稗田阿礼は藤原不比等であるとし、柿本人麿が歌謡を作ったという仮説も実に画期的。
ここまで来れば、最後に本居宣長の「古事記伝」でも読もうかと考えましたが、まだその気力は湧かないし、日本書紀まではとても気持ちが届きませんね・・・。