先日、小学校の同級生と新宿のとある場所で会合した。彼は県内で最高峰の高校から、国立大学へ進み、いまは教頭先生をしているという事だった。


わたしのような俗物とは大違いだ。師範学校出は人格からして違うなぁ、改めて自身との違いを噛み締めながら、お互いが過ごした遠い小学生時代に思いを巡らした。


暑い夏、蝉の音、地平線まで続く田んぼ、そんな環境で我々は育った。世帯年収は200万にも満たないだろう、第二次ベビーブームの世代だから、兄弟が多い。経済的に治安的にもけっして良いとは言えない環境で、親は必死になってわたしたちを育ててくれた。


同級生の母親は、団子を作って売り歩いて家計の足しにしていた。わたしの母親は美容師をして、家計助けた。他には内職で電球作ったりネジを組んだりして、家計の足しにして生活していた。余裕などない、だけどみな笑顔を絶やさず一生懸命に生きていた。



お互いの親に共通していた事は中卒だった事だ。高等教育を受けていない親、子どもたちにしてあげられることは、こうしたら一流企業に入れるとか、えらくなれるとか、導く事ではなかった。義務教育以上の世界を知らず、正確にアドバイス出来なかったのだろう。ただ、社会的規範を身につけて、みなのお手本となるよう、強く繰り返した。これしかできなかったのだ。だからみなただただ、やみくもに一生懸命働き、子どもたちの将来へ投資した。


そんな事を思い出しながら、同級生との話しは続く。


後続の行末と、我々の育ちについて、田舎にはない新宿の一流ホテルで小一時間ほど、アイスコーヒーを片手に語り合った。わたしは好き放題はなした、教頭先生に向かって俗物の主張は続いた。


そろそろ時間かな、我々は大変な環境で育った訳だが、なんとかこうして語り合えている事に、2人で感謝した。


帰り際に「まだ元気に団子作って売り歩いているよ。」と聞いた。


わたしは、生きているうちに親孝行できなかった申し訳なさを噛み締め、同級生の母親の笑顔を思い出した。


目頭が熱くなった、ゲリラ豪雨で良かった。

傘を持たずにずぶ濡れで帰宅した(^^)


Life is a Great Journey