昨日はイギリスのクリスプの話を書きましたが、ジャガイモ天国なのはイギリスだけではありません。

お隣のアイルランドは、イギリスをさらに上回る、ジャガイモ大好き国です。

 

歴史的に、イギリスの植民地だったアイルランドでは、小麦は輸出のための作物。

小作人として細々と働く大多数のアイルランド人の食卓では、自分たちに与えられた小さな土地で、しかも寒冷地の栄養の少ない土地でも収穫できるジャガイモが、大事な食料源だったのです。

 

そんなわけで、ジャガイモの大凶作が起きた1845年から1849年にかけて、アイルランドの人口は激減しました。餓死、疫病死、移民などによって、1841年には800万人以上いた人口が、10年後の1851年には150万人以上減っていたとのこと。このことをThe Great Famineと呼びますが、170年以上経った現在に至っても、アイルランドの総人口は、The Great Famine前の人口に追いついていません。

 

そんな背景もあるくらい。。。

アイルランドにおいては、ジャガイモは食事には欠かせません。

私がまだアイルランドに住んでいた頃、家主のキアランは料理ができなくて、ガールフレンドが毎日ご飯を作っておいていってくれてたのですが、たまに彼女がカレーライスなんて作って出ていくと、鍋を見るなり食料庫に飛んで行ってジャガイモを洗って蒸していました。

「コメなんて食べ物じゃない!芋のないディナーなんて食事じゃない!」

って感じみたいです。

 

そんなアイルランドのクリスプは???

 

 

私がアイルランドに住んでたのは10年以上前なので、ひょっとしたら今は多様なクリスプが出ているのかも?でも、多分、多分ですよ!

今もまだ、Tayto(テイトー)の独占市場が続いていると思います!!

King'sとかHunky Doryとかっていうアイリッシュブランドのクリスプもあるみたいなんですけど、私がいる時にはそんなの食べてる人少数派だったような気がする。。。

私もHunky Doryを食べるときは、Taytoが見つからない時だけでした。笑

クリスプの代名詞がTaytoになるくらいの、ほとんど社会的現象に近いものがありました。

 

スマートなパッケージが売りのイギリスグルメクリスプに比べると、キャラクターのMr. Taytoが手を振ってたりして割と俗っぽい?

でもアイルランドでは大人から子供まで大人気。

アイルランドでは、小腹が空いたらTaytoを食べるのです。

もちろんギネスにも合います!アートになっちゃうくらい(笑)

 

一番人気はこの赤い袋、Cheese&Onion味です。

チーズもネギもかなり臭うのですが、それだけにクセになる味というんでしょうか。

また青い袋のSalt&Vinegar味もなかなかです。

同じくジャガイモ大好き国から来てたドイツの男の子は、里帰りのたびにSalt&Vinegarの袋をたんまりと買い込んでドイツに帰ってました。

「ドイツにも同じようなのないの?」

と驚いて尋ねたら、

「ドイツのよりもTaytoの方が美味しいんだ。うちの両親がアイルランドに来たら気に入っちゃって、帰るたびに買ってきてって頼まれるから」

と言っておりました。

 

スモーキーベーコンやプローンクラッカー味もあるのですが、私の周りでは、これらはやや「ゲテモノ」扱いされておりました(笑)。アイルランド人は食に関しては保守的なところがあるので、慣れた味にこだわるんでしょうね。

 

さてお味は?

厚さは、イギリスのクリスプよりもかなり薄めです。

Walkersなんかと比べても全然薄い。

ほろっと崩れる感じがあります。

 

そして味はかなりのしっかりめ。

でもね〜、特にこのチーズアンドオニオン味が、イギリスのよりもネギ味が濃くて、本当にクセになるんです!口も指も臭くなるんだけど(笑)、まさにやめられない止まらない。

 

イギリスのスーパーでもたまに売っています。

インド料理なんかの「エキゾチックフードコーナー」に一緒に売っている。笑

でも、輸送中に壊れちゃうのか、ポテトがかなり粉々に壊れてしまっています。

久しぶりにアイルランドに帰ってTaytoを食べたら、やっぱりアイルランドのTaytoの方が全然美味しかったし、壊れてもいなかった。

なのでそれ以来、Taytoはアイルランドに帰った時の楽しみにして、イギリスでわざわざ買うのはやめてしまいました。

 

アイルランドに着いてTaytoを食べると、ああ〜アイルランドに帰ってきたなあ!としみじみします。

第2の故郷の味?笑

 

ちなみにジャガイモは英語でPotatoesですが、Spuds(スパッズ)とも呼びます。

日本語でいうと「ジャガイモ」と「芋」くらいな違い?

まあ要するにジャガイモを指すカジュアルな言い方です。

フランス人の友達は、ジャガイモはpommes de terreだけどpatatteとも言うんですって。それがPotatoesとSpudsの違いよ〜と言っていました。

 

アイルランド語(ゲーリック)ではsの音がshの音に変化しますので、アイルランド人はSpudsのことを「しゅぱっず」と発音します。わざわざ「ダサく」した面白い言い方で、日本語で言うと「んだんだ」みたいな、田舎者の方言って感じかな〜?