弟、謹んで姉上に申し上げる。否、これは警告である。

 姉上が日々の鬱憤を昇華させるべく、人目も憚らず書き散らかしている高度情報化社会の最終末路的産物である「ブログ」なる日記風電子的書面において、私の発言や行動についての記述がところどころに散見されるが、現実世界における私の真の姿との乖離が甚だしく、これほどまでに自分が阿呆なかたちにデフォルメされることに驚きと驚きと驚きを感じている。よく芸能人や政治家が、週刊誌に根も葉もない事実を報道されたことに憤慨しているが、まったく同感である。火のないところに煙は立つのかと。私についての記述はそもそも空間もないところに煙が立っている。いわば四次元的捏造ではないか。
 もちろん先人達に習い、自らの名誉回復のために闘う意志はある…がしかし先立つものがない。もし、私の薄給・薄幸に同情した心ある方の資金援助により、見事、法廷闘争に持ち込めたあかつきには、現実の私を知る証人の出廷を、丁重にではあるが断固として拒否するつもりである。  
 だいたい「おねーちゃん」とはなんなのか。あのひらがな表記。私はあんな幼くもないし、間が抜けた感じでもない。どちらかというと姉上に対しては、普段から、親族でありながらも適度かつ紳士的な距離をおいた、そしてできれば見ず知らずの他人でいたいという願いを込めた呼びかけを心がけている。その努力を一切考慮することなく、どうせバーチャルな世界だから…といういい加減な醜筆姿勢のもとに、私の声帯から発せられる音声をそのままひらがなで表記するから「おねーちゃん」となるだけなのである。それを逆手にとり、このような電子的書面においてまっすぐに歪曲し、暴露するとは。私の名誉などあったもんじゃない。元からあったもんじゃない。
 あぁ、文明の神よ。私の絶無ともいえる名誉をさらに貶めるだけの偏った情報化など二の次にして、この絶妙なニュアンスを的確に反映し、他人行儀感を醸し出せる表音文字を創造し給え。

 というわけで、本題に入る。おねーちゃん…否、姉上への警告である。
 ①5人話(ひな祭りのようだ)の由来は英語だということ。
 ②訳されたのをネットでたまたま見たということ。
 ③次の原文を読んどいてということ。
 
  <You Are The Average Of The 5 People You Spend The Most Time With>

 以上である。

 これは、一方的に完結する警告文である。  
 したがって、このことについての電子書面における応答、電信電話等による遠隔的かつ威嚇的音声(後者は機器のせいではなかろう)を用いた報復、また内外の食卓における雑的会談の中に忍ばせた脅迫等は、一切、受け付けないこととする。
 特に食卓は、味覚を極限にまで鋭敏に研ぎ澄まし、眼前にある美味なるものに自己の精神を集中すべき戦場である。その戦いは、生命及び人格(姉上については大仏級の体格)を維持するための聖戦である。この正々堂々と対峙すべき聖戦において、神経繊細にしてか弱く、草食系絶対服従型男子である私を撹乱し、その雀の涙ほどの取り分から、さらに非人道的に略奪することを目的に、常套手段ともいえる脅迫行為に及ぶことは、いかに傍若無人であると社会的に認知されている姉上といえども、許されることではあるまい。食べ物の恨みを知り、その恨みを常時爆発させている(このエネルギーを世のために活用できないのか)姉上なら、たまには弟目線で物事(食べ物の配分)を考えてみてはどうか。さすればさらに人間の幅も広がるというものであろう。ちなみに横幅は住まいの坪数には過ぎたる程度に十分であることも付記しておく。
 しかし私も、精神年齢の問題はさておき、もう立派な大人なのである。ジャイアン的自己中心理論を完全構築し、その中に埋没しきっている姉上に、この私からの切なる訴えが届かないことなど、億も承知である。堀北真希とあびこの横断歩道で偶然出会い、すれ違いざまに「好きです。つぼ八。」と告白される可能性のほうが断然高いと確信している。もし、そのような告白をうけたなら、名を「つぼ八」と改め、彼女と共に生きていく所存であるから、母上には「コノミヤの国産しゃぶしゃぶ用豚肉がもうなくなりそうです。できればお米もください。」ということと共に、よろしく伝えておいてください。

 
                                         アホ弟より