ミイラ取りがミイラ的なお話になってしまうかもしれません。
私は過去に多重債務や友人だと信じていた人に唆されて多額の債務の連帯保証人になってしまったり、反社会的な人たちにいいように利用され、もう後は首を吊るしか無いのかと、思い詰めるところまでの経験をしてきたことがあります。
ボロボロに打ち砕かれながらも今からこうして生きてこられているのは、見捨てずにいてくれた家族と、私を大切に思ってくれた友人たちのおかげです。
今となっては笑い話にもできるくらいにはなっていますが、それでも、当時の辛さや絶望感は忘れてはいけない教訓として、頭の片隅にとどめています。
私が相談員として、相談者の方に良く思っていただけたのは、その人たちが直面している経済的な困窮状況の辛さを経験していたから、精神的な負担が積み重なり未動きできない中で、自身で考え、起こせる行動が凄く狭まってしまっていることを知っているからだと思います。
もちろん、すべての方が全く同じわけではありませんが、お金の無い苦しみは、心を蝕むと思います。
心に負担を抱えてしまうと、それまで当たり前にできていたことすらままならなくなるのです。
給料日までの生活費がどうにもならなくて消費者金融に頼り、その返済に追われ、日雇いの仕事を掛け持ちして。
そうしていく中で、だんだんとお金の振り分け方もわからなくなってしまっていた時代があります。
消費者金融で、月々の返済をすると、一部「利用可能額」が発生するんです。
返済したその直後にその利用可能額分を引き出して、ひとまずの生活費に充てて。
悪循環の始まりです。
現在は、様々な貸付関係は、その方の収入の何割までとか、法定利息についても当時より緩和されていますので、中々そこまでにはなりにくいのかもしれません。
消費者金融の貸付利率が28%?とかの時代の話です(汗)
「◯臓を売って返済しろ!」と恫喝する貸金業者がニュースに取りざたされていた少し前の話ですので、若い世代の方にはあまり馴染みが無いと思います。
こんな事には馴染みなど無い方がよいですね。
実際に、私は多額の連帯保証人になってしまい、友人だと思っていた人が一切支払いをしていなかった事実を知らされた時、その方法を考えたことがありました。
実際にそういった類の人にアポイントを取ったこともあります。
幸い?その相手からは「まだ若いのだから、辞めておきなさい。君の状況ならまだ、他にも方法があるはずだ」と諭されて、私の臓◯は無事です。
あ、これは今よりもネットの規制が緩ん緩んだった時代の話ですので、今はどうなのか知りませんよ。
当時の私は色々と未熟で浅はかでした。
今の私が成熟しているとは言いませんが、当時よりは少しマシになっていると信じたいです。
料金が払えず、電気が止まったことは何度もありました。
ガスも、最後の砦と言われていた水道すらも止められたことがあります。
近くに田んぼの用水路があったので、そこからバケツでお水を拝借し、トイレを流したこともあります。
思考が鈍り、その日生きることしか考えられなくなり、やがて、その日をどう生きればいいのかすらわからなくなっていましたね。
夜勤で勤めていた会社の給湯室で身体を拭いて、頭を洗わせてもらったこともありました。
それ以前のバイト先で知り合った先輩が見るに見かねて、お風呂使っていいよ、と合鍵を貸してくれたことも思い出しました。
今の私にはお礼なんてできないよ、と言ったところ、時々飯を作っといてよ。冷蔵庫の食材は好きに使っていいし、お前も食べたらいい。と。
洗濯も、俺のも一緒にしといてくれるなら助かる、と。
返せる宛は無かったので、お金を借りることはしませんでしたが、その方の優しさに救われました。
色々あって、現在は正社員でも正規職員でもありませんが、人様にちゃんと伝えられる仕事についています。
経済的な困窮状況に陥っている方の中には、私が経験したそれよりもまだ道が沢山ある方もいらっしゃいます。
なんとか再建するための方法が提案できるうちは、提案したい。
それが、私の生活保護相談員としての枠を超えていたとしても。
そう思って相談者の方に様々な方法を提案してきました。
「フィナンシャルプランナーさんですか?」と尋ねられたことも何度かありましたが、残念ながら私はただの相談員でした。
可能性の提案しかできなかったのです。
そこからどう動くかはその方次第。
それでも可能な限りの後押しはしたいと思っていました。
例えば、市が行っている無料法律相談。
これは、とても時間が短いのです。
いきなり法律相談に行って、現状を完結に説明できるでしょうか?
なので、私は弁護士さんが読んでいただけたらすぐに状況がわかるような「法律相談用シート」を自作しました。
結局これを活用した職員さんはほとんどいませんでした。
部署の管轄枠を越えている、というのが理由なのでしょうね。
相談に来られる方に取ってはようやく勇気を振り絞ってやってきた場所なのに。
ほんの少し、そのシートに今の状況を記入するお手伝いをして、法律相談につなげることで解決する問題もたくさんあったのです。
まあ、そんな私の「余計なお世話」を気に入らなかった方が多かったのでしょう。
私は今、相談に携わることは一切なくなってしまいました。
これは、正規職員では無い私に過剰に負担をかけている状況を改善しなくてはならない、という、私に対しての優しさでもあるのだと思います。
しかし、本当の意味でお金の無い生活をしたことが無い人たちに、この人たちが抱える不安や焦燥感、苦しみを理解できるのでしょうか。
一度、電気もガスも水道も止まって、日雇いに行く交通費すらギリギリ足りないかもしれない生活を二月ほど経験してみればいいのに。
と少し意地の悪いことを考えてしまうときがあります。
なまじ、私は経験があるために肩入れしすぎるという部分は役所らしからぬ対応だったのかもしれません。