「二葉って彼氏いねーの?」
午前中の退屈な授業を終えた昼休み。
学食へ行かない“弁当組”のみんなと一緒に昼食を食べていると、そんな事を一人のクラスメイトが聞いてきた。
「いないよ。興味ない・・・っていうか周りにいる男があんたらみたいのじゃねぇ。」
私はそう即答すると、最後に大袈裟に溜息をついてみせた。
「でた!二葉の毒舌!その顔で毒舌って違和感ありすぎだろー。」
「ほんとだよねー。こんなにかわいい顔してるのにー!」
そう言って私にみとれるクラスメイト。
「つまりこの顔につりあう男がこの学校にはいないってことよ。ちょっとは男を磨いて来なさいよ!男子共!」
食べ終わった弁当を片付けながら、私は男子に上から目線の喝を入れる。
女子からは「そうだそうだー!」と同意の声があがる。
「二葉にこういうこと言われても腹が立たないのはなんでなんだろうな。」
「・・・それが格の違いってやつじゃね?」
男子は何かを諦めたような顔をして、よくわからない事を言っている。
弁当を片付け終わった私は「トイレ行ってくる。帰ってくるまでにはいい男になってなさいよ!」そう軽口を叩いて席を立った。
恵まれた家庭に生まれ、何不自由なく育った私に神様はさらに二物も三物も与えた。
容姿端麗、頭脳明晰、傍から見ればこれほど完璧な人間などいないと思える程であった。
唯一問題があるとすればこの癖のある性格なのだろうが、友達にも恵まれていた私は大して気にしてもいなかった。
間違いなく私は幸福なはずだった。
しかし私は、年々自分の心が凍りついていくのを意識していた。
具体的に何か不満があるというわけではなく、ただ漠然と変わらない日常が退屈で仕方なかった。
高校3年の二学期、卒業まであと半年程・・・。
卒業してしまったら、きっと親に決められたレールの上を進むだけの人生が待っているだろう。
その前に、心の底から楽しめる“何か”に出会えればいいのに。そんな事を考え、望みながら伸ばした手が空を切る、そんな毎日を過ごしていた。
トイレを済ませた後、なんだか教室に戻る気になれなかったので、ぶらぶらと中庭まで歩く。
中庭に出て、近くにあったベンチに腰掛け呆けていると、少し離れたところで退屈を打ち砕く声が聞こえてきた。
「今!今惚れました!付き合って下さい!」
思わず視線を向ける。
(やるなぁ。こんな人の多いところで、あの声量で告白か・・・。1年生・・・か?)
目が離せずに引き続き様子を覗いながら聞き耳をたてていると、やがてもう一人男子生徒がやってきた。
何やら楽しげに話している男子二人に対して、最初は困惑の表情を浮かべていた女の子。
しかしその表情は次第に怒りを帯びていき・・・次の瞬間、なんとコップに入っていた飲み物を男子の顔にぶっかけた!
そして去っていく女の子に対して、笑い転げる男子二人。
(ふーん。あの子ら・・・おもしろそう・・・!)
私は立ちあがり、まだ笑い合っている男子二人のもとへと歩いていく。
凍てついた心に小さな火が灯ったのを・・・私は確かに感じていた。

↑
みじかいよみもの・・・のはずが
何か続きものになってきてるっていう\(^q^)/
ごめんなさい、書きたかったんですorz