今回は、『笑戏言乱我亦乱卿』の章の紹介(前半)です。

 

ざっくり、旧版の「兄さん、結婚しよう」や「もう結婚して、家に妻がいる」のあたりですね。早くも甘くなりそうで楽しみです。

 

p245「右手の若邪をいつでも攻撃に出られる大勢にして、右手を芳心の柄にかける」、p246「謝憐は剣の柄から手を離して答える」が削られ、謝憐の警戒が新版では少し緩まっている印象です。

 

p247「ずっと昔、謝憐がまだ太子だった頃・・・」から始まる7行の輦輿に関する回想部分が削られています。

 

p247下段「図らずも、野鬼に出くわして・・・」から始まる4行がなくなっています。

 

p248「この輦輿って絶対に奥様を乗せるためのものよね!」の後に少し追加があります。

 

新版ではこの後に、謝憐「・・・」が続き、骸骨達が「殿下、どうなさいましたか?」と尋ねます。

謝憐「うん・・・」きっと女鬼達が冗談を言っただけなので、「何もないよ・・・君たちの城主はどこなんだ?」と尋ねます。

 

骸骨「そう遠くありませんよ。殿下、少し休んでいてください。すぐに着きますから」

 

この後に、「連日あちこち駆け回っていた謝憐は、輦輿に座るとわずかに眠気を感じて・・・」の文章に繋がります。

 

 

そして、ここにも追加があります。

 

p249「この輦輿はなんとも絶妙に作られているというか、一人で座れば広いのだが、二人で座ると少し窮屈で、一人がもう一人の膝の上に乗るのにぴったりの広さなのだ」の後です。

 

黄金の骸骨達はまた動き出し、奇妙なことに、今まではずっと安定していたのに、この時は揺れだして、謝憐は少し気を抜いていたので、花城の身体の上に身体ごとぶつかってしまい、二人とも倒れてしまいます。

 

二人とも驚き、「ごめん!」と言います。

花城は低い声で言います。「そんなのなんでも・・・」

 

謝憐は慌てて座り直し、「そうだ!三郎、彼ら(骸骨達)が、君が私に何か言いたいことがあるって言ってたんだけど、何だい?私もちょうど疑惑と推測があって、話したかったんだ。これはまだ解決してない気がする。なんて言うか・・・始まりな気がするんだ」

 

不意に二人の視線が交わります。紅幕の外からは、紗の幕の中で二人の交差する人影しか見えません。そして紅幕の中では、花城は少し笑いました。

 

師青玄はずっと兄に対して敬愛していたのに、危険を脱して兄の顔を見た瞬間あんな反応をするなんて、ある怖い考えが頭をよぎったのです。

 

師青玄を騙して扉を開けさせたのは、師無渡である可能性はないのか?

 

花城は「いや、これはもう終わったんだ」

 

キッパリした口調に謝憐は唖然として、「三郎?」と口にします。

 

花城はじっと謝憐を見つめ、謝憐も彼をじっと見つめ返します。

 

「兄さん、俺を信じる?」

 

「信じるよ」

 

「だったら信じて。風師、水師、地師、霊文、裴茗、この五人の神官とはできるだけ距離を置いた方がいい」(このあたりは旧版のp251のあたりですね)

 

こんなふうに改変されていました。

 

つまり、p249の「『さっきはちょうどいい時に離れたね』」から、「兄さん、結婚しよう」のくだり、その後の謝憐の心の描写など、p251の「いや、この件はもう終わったんだ」までが全部ごっそり無くなっています。

 

「兄さん、結婚しよう」を楽しみにこの章を読み始めたので、少し残念です...えーん

 

でもその代わり、新版では輦輿が揺れて、謝憐が思いっきり花城に倒れ込んだようなので、それを糧に頑張ります。

 

 

p252の「その後、道中で謝憐はずっと思い悩んでいた」の後、「あれから二、三言話したが、・・・」からの9行(菩薺観の様子について)が無くなっています。

 

「別の場所に引っ越せばいいんじゃないかな」のあたりと、「なんなら俺のところに来ればいいよ」はそのまま残されていました!

 

新版ではその後に、謝憐が何か言いたそうにしているのを見て、花城は「どうしたの?」と尋ねる場面があります。

 

謝憐はすぐさま後ろを向いて、「なんでもない、なんでもない」と言います。

謝憐は、花城がただ言ってみただけなのを分かっていました。

 

と改変されています。

 

この辺りは旧版の方が謝憐の心理描写が詳しいので、旧版の方が好きです。

 

 

p254 田植えをしている花城を見て、「謝憐は心から感心して言った」の後、改変があります。

 

謝憐「君は本当にすごいな・・・」

 

花城「こんなのなんでもないよ」

 

花城はいつの間にか、水田の中で拾った雑草で、適当なツノを編んで、それを一頭の牛の上に置くと、

「兄さん、見て、妖怪」と言います。

 

謝憐はそれを見て、笑いすぎて、危うく自分を水田の中に植えてしまうところでした。

 

 

ここにも改変があります。

村長「あれはどこの若者なんです?随分働き者だし、すごいじゃないですか!」

 

謝憐はプッと笑い出して、花城に「少ししたら、きっと誰かが君に、結...結婚してるか聞きに来るはずだよ」と言います。

花城は片眉を上げます。少しすると、本当に何人か尋ねに来ました。

 

p255の「妻」の説明で、「金枝玉葉の貴人」という部分が無くなっています。

「子供の頃から好きで、何年もずっと好きで・・・」と繋がります。(ここは改変されていなくて嬉しい)

 

みんなが残念そうに散った後、少しぼんやりして聞いていた謝憐に、花城が水を差し出します。

 

「兄さん?」

 

謝憐は適当に数口飲むと、彼に返します。花城は竹筒を受け取り、自分で一口飲み、喉仏を上下させます。

謝憐はついに我慢できなくなり、「本当なの?」と尋ねます。

 

「ん?何が?」

 

謝憐は袖をたくし上げて、顔を熱く照らす太陽の日差しを遮り、「妻は美人で、才徳兼備で、小さい頃から長年ずっと好きで、千辛万苦を重ねてやっと追いついて受け入れてもらったって」

 

「あぁ、嘘だよ」

 

謝憐はホッと一息つきます。

 

しかし、花城は続けます。「でも、全部が嘘ではないんだ。まだ受け入れてもらえてないだけなんだ」

 

謝憐「・・・」

 

花城の手が顔の前で揺れます。「兄さん?」

 

謝憐はふと我にかえります。「仕事だ、仕事だ!休んでて、あと少しだから、私がやるよ!」

 

彼はほとんど田んぼに突進していったのです。少しして、うっかり自分が植えた苗が途中から曲がってしまっていることに気がつき、泣くに泣けず、笑うに笑えなくなりました。

 

このあたりは、雑巾をクシャクシャする描写が無くなっています。あの、雑巾をくちゃくちゃにする描写、結構好きでした。

 

新版では謝憐の反応の描写が改変されていますが、皆さんは新旧、どちらの方が好きですか?

 

 

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まだ章の途中ですが、なんだかキリがいいので、この章の残りの紹介は次回にしたいと思います。

 

(この章、実はまだ半分以上あって、今日はなんだか怒涛の改変でお腹いっぱいになったのもあり、力尽きました)

 

最近は、お仕事が少し立て込んでいて、一つの山を乗り越えたら、息抜きに新版と旧版の読み比べをして、同時にブログの更新もして...という感じです。

 

まだあとふた山あるので、早くて来週か、遅くても再来週までには落ち着いたらいいな、と思っています。

 

 

余談です。

 

もうすぐ中秋節ですね。思わず、三千灯の中秋宴に思いを馳せてしまいます。

 

この季節は無性に月餅が食べたくなります。

 

月餅とは言っても、スーパーやコンビニで売っているものではなく、本格的な月餅が食べたくなります。

 

個人的には、蓮餡の中に塩漬卵の黄身が入った「蓮蓉蛋黄月餅」が好きで、あまり日本ではメジャーではないので、なかなか市販で売ってなくて、

 

去年はどうしても食べたくて、ネットで安いものを注文したのですが、味が少し残念だったので、

 

今年は美味しいのが食べたくて、少し奮発して有名店の手作りのものを注文してみました。

 

 

私は「蓮餡」一択なのですが、一緒に頼んだ「豆沙(こしあん)」の方は、家族にはとても好評でした。(味見したら確かに美味しかった)

 

蓮餡とは言っても、変なクセはなく白餡ベースなので、食べやすいと思うのですが、アヒルの塩漬け卵の卵黄が入っているので、それだけで抵抗のある方もいると思います。

 

(アヒルの卵とは言っても、個人的には、味は普通の卵の卵黄だと思います ←細かい味の違いがわからない人)

 

でも、甘い餡の中に、少し塩っぱい卵黄が入っていて、好き嫌いがはっきり分かれてしまうので、「おすすめ」しにくいので、冒険が好きではない方は「こしあん」とかの方が無難かも...。(まずいじゃないか!の責任は取れない...)

 

 

卵黄が入っていない蓮餡の月餅もあるようです。

 

こればっかりは好みの問題なので、何とも言えませんが、もっと日本でもメジャーになって美味しい蓮餡の月餅が出回って欲しいです。

 

お月見は、だいたいお団子を食べながらですが、本格的な月餅を食べながらもきっと風流ですよね。

 

殿下と三郎も月餅を食べながらお月見するんだろうか...。気になります。