天官賜福の好きすぎる言葉を集めてみました。よくある天官賜福の名言ではなく、個人的に感銘を受けた言葉です。

①花城「人に頼るより、深淵を這い出そうとするなら自分でなんとかしないと。毎回誰かが助けてくれるわけじゃない」(新版の言葉)

 

花城のこの人生観が好きです。どんな逆境の中でも、いつも自分で道を切り拓いてきた彼だからこそ言えるし、とても説得力があります。

 

苦境にいる時、ひたすら嘆きながら誰かが助けに来てくれるのを待つより、自分で何とかした方が良いに決まっています。この言葉には共感しかありません。

 

②師無渡「ないものは勝ち取るまで。ない命格なら改めるまで!我が運命は天ではなく私が決める!

 

師無渡がしたことはともかく、この気概が何よりも好きです。命格や運命だからと諦めるのではなく、運命に抗うところに奇跡も感動も生まれるのです。もちろん人に迷惑をかけない前提ですが...。

 

③新版で、賭坊で賭け事をする時に女郎が言う決まり文句“孤注一掷、死亦無悔”(一か八か、決めたら死んでも悔いはない)と、花城の「骨灰を差し出したなら、相手が砕いて壊そうが、撒いて遊ぼうが別に構わない

 

この気概が好きです。ここまで潔い人になりたい。

 

④謝憐が花城の手相を見て適当に言った言葉:

 

我慢強く耐え忍ぶ性格だね。執着心も強い。困難に見舞われるけど、信念は固くてそれを守ることを大切にしている。大抵のことが禍転じて福となし、危険に遭っても吉となる。この命数は幸福が長く続く。君の未来はきっと錦のように美しい花が咲き乱れていて、円満で明るい

 

この言葉は、作者から読者への祝福でもある気がしてなりません。''忍耐強く'' ''信念を守って''生きたいと思えます。

 

⑤花城「好きでも、最後もし別れたのなら、それはただ好きだっただけだ。道が進みやすいかどうかは自分で決められない。しかし、それでも進むかどうかは自分で決められる

 

花城のこの言葉、大好きです。どんなに険しい道でも、諦めるか進むのかは自分次第なのです。

 

あの強くて完璧な花城でさえ、八百年かけて進んで、最終的にたどり着いたことに思い至る時、前進する勇気をもらえます。

 

⑥花城が謝憐を手を引いて歩く姿の描写が、芸術性が高すぎて好きです。

 

小説ではこう描写されています。

 

「今のこの状況は、得も言われぬほど怪しく奇異で、魅惑的だった。少年が片方の手で謝憐の手を引き、もう片方の手で傘を差してゆっくり歩を進めていく様子は、なぜだか妖艶で風月無辺、心の奥に切々と訴えかけてくるような深い愛惜を感じさせる」

 

原文:斯情斯景,诡魅至极。但那少年一手牵他,一手撑伞,缓缓前行,却是无端一派妖艳的风月无边,款款缱绻。

 

この日本語訳もとっても素敵なのですが、言葉が少し難しいので、原文の方が心に沁ます。意訳するとこんな感じです。

 

この情景は、この上なく魅惑的だった。少年が手を引きながら傘を差し、ゆっくり進む姿は、陶酔してしまうほどに美しく妖艶で、名残惜しくて恋焦がれてしまう

 

原文最後の''缱绻''は恋人に対して使う「恋焦がれる」「離れたくない名残惜しさ」を意味するので、ここでも少しそういったニュアンスを出してあげたい信徒心...。

 

この描写の芸術性高すぎませんか。好きすぎます。字の練習に永遠に書いていたいぐらい好きすぎます。美しいものに心を打たれた時に、こんな詩的な表現ができる人になりたい...。

 

⑦「美しいものがこの世に存在する。それだけでありがたいことなんだ

もう、まさにこの小説のことです!

 

たった一度しかない人生、少しでも沢山の時間、美しいものを見て、美しいものを聴いて、美しいものを考えたいと思うのです。

 

一日は人生の縮図で、一日二十四時間の中で、少しでも「幸せ」と感じる瞬間が増えれば、人生全体の幸福度も自ずと増すのではないかと思っています。

 

そして、それはある程度「意識」することで確実に増やせるのではないかと思います。

 

天官賜福を愛でる時間が何よりも幸せです。静かな夜に、好きな飲み物を淹れて、天官賜福の音楽を流しながら、愛でる時間が最高です。

 

読む時間も、考察する時間も、皆さんと感想を語り合う時間も、全てが愛でる時間なのです。

 

この作品がこの世に存在する。それは暗い山を照らす灯のように、それだけでありがたいのです。

 

 

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他にも感銘を受けたり、吟味したくなるような言葉がたくさんあります。

 

「人が神だと崇めればそれは神となり、糞といえば次の瞬間に糞となる。人の価値や存在を決めるのは他人であり自分ではない」

 

「自分の寿命を十年延ばすか、敵の寿命を十年縮めるか選べと言われたら、迷わず後者を選ぶ。それが人間だ」

 

「人は上に行けば神になり、下に行けば鬼になると言われているが、人は上に行っても下に行っても、人でしかない」

 

「苦いものをずっと食べていたら苦さに慣れてしまうもの。しかしある日、誰かが一口甘いものをあげれば、甘さを思い出してしまい、再び苦いものを食べた時に、きっと顔に皺を寄せる」

 

「誰かにとっての苦痛は、他の誰かにとっては、大した悩みではないように思えてしまう」

 

「心の中に美しい景色があれば、他人に興醒めなことを言われても平気だ」

 

「何十年来の知人でも、一朝一夕の間に赤の他人になる。気が合えば一緒に過ごして、気が合わなければ別れればいい。この世に終わらない宴はないから、お互い気の向くままでいい」

 

「一度何かを好きになったら、それだけを永遠に心に刻んで、他のものが入る余地なんてなくなる。千回でも、一万回でも、何年経ってもずっと変わらない」

 

「恐怖がなければ、勇敢もない」

 

随所に素敵な言葉で溢れていて、考えさせられます。

 

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余談です。

 

実は、天官賜福の記事を書き始めた当初は、日本ではまだ二巻までしか小説が出ていないことを知らず、数記事書いた後に、気が付きました。

 

天官賜福を読んだ後の感動と、残されたいろんな謎について、誰かと語り合いたいと思い、記事を書き始めました。そのため当初は、読了した方向けの記事のつもりでした。

 

残された謎や人物について考察しようと思うと、どうしても二巻目以降の内容に触れる必要があり、結果的にネタバレ記事が多くなりました。

 

実は、作者は時折、''読書体験の質に影響するので、ネタバレをしないようにしてほしい''とおっしゃっていました。

 

自分自身も、ネタバレせずに読んだ方が、いろんな真実が明るみになった時の驚きや感動が大きいと思っています。そのため、心のどこかで常に、葛藤や罪悪感を抱えながら更新してきました。

 

コメントを頂く中で、''怖くて読めないかもしれないから、ある程度内容を知った上で読みたい''とおっしゃる方や、''続きが気になりすぎて次の巻まで待てない''とおっしゃる方も多数いて、そういった方のお役に立っているのならば、と思い葛藤が和らいだ部分もあります。

 

そして徐々に、記事を読んでくださっている方の中には、中国語や英語の小説を翻訳しながら読み終えた方もたくさんいることが分かりました。

 

そのため最近は、まとめたいテーマで必要になった時は、冒頭に注意書きをした上で、あまり深く気にせずに書いていこうと思っています。

 

 

 

そして日々、皆様の温かいコメントに励まされています。

 

コメントを通して感想を頂く中で、更新を楽しみにして下さる方が沢山いらっしゃることが分かり、前進する勇気をもらえます。

 

また、読書状況を教えてくれた方も多数いて、記事を書く度に感想を下さる方々のニックネームが浮かびます。

 

小説を読み込まれている方もいらっしゃるので、原文との違いを少し入れてみようとか、少し違った角度で考察してみようとか。

 

アニメしか観てない方やまだ一回しか読んでいない方もいらっしゃるから、過去編の箇所は少し説明を増やしてみようとか。

 

できることに限りがありますが、なるべく多くの方にとって、意味のあるものにしたいと思っています。

 

考察記事をたくさん書いていて、ありがたいことにお褒めの言葉をいただくこともあるのですが、実はコナンを観てもいつも犯人が最後まで分からない人なのです。←

 

なので考察記事も、主観と偏見と淡い期待が混じった考察なので、あらかじめお許しくださいませおやすみ